完全な非核化、終戦、平和を唱えた板門店宣言の後、北朝鮮はなぜ再び挑発してくるのか?(STR/AFP/Getty Images)
朝鮮半島情勢

板門店宣言から見抜く北朝鮮の「心理戦術」=韓国シンクタンク

4月27日に開かれた2018南北首脳会談をはじめ、朝鮮半島情勢は緩和ムードを見せる。一方、米国と日本に対しては挑発的な態度を止めていない。「完全な非核化」「終戦」「平和」など和平を漂わせる言葉が並ぶ板門店宣言。その後も、なぜ北朝鮮は米国と日本に敵視を続けるのか。韓国の北朝鮮専門家らは、北朝鮮の心理戦術が続いていると口をそろえた。

 

北朝鮮外務省は5月6日、非核化の意志は米国の制裁と圧迫の結果ではないとし、米国を批判した。同日、日朝対話については「悪い癖を捨てない限り、1億年たってもわれわれの神聖な地を踏むことはできない」と「悪態」をついた。

 

北朝鮮の狙い:その1 名目だけの「政治的終戦」、平和協定から米国内の左翼化を誘導

 

板門店宣言第3条3項では、朝鮮戦争・停戦協定締結65周年の今年に終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換すると明記した。専門家らは、国際法的に効果のない「政治的宣言」ということに注目、65年間の異常な長期停戦状態で、終戦は象徴的な意味にしかならないと主張する。

 

韓国有力保守系シンクタンク・峨山研究所のイ・ギボム氏は5月2日終戦宣言の法的意味を分析した記事から、これらの試みには「終戦が先、非核化は後」との北朝鮮の論理につながる可能性があると警告した。

 

「終戦」「平和」など抽象的な表現を使った北朝鮮の意図は何か。同研究所のチョン・ソンフン氏は30日、北朝鮮が得ようとする戦略的な目標について、1.国際社会の心理的緩和を通じた制裁緩和 2.米国内に駐韓米軍撤収の世論の植え付けだという。

 

特に2は、米ワシントン・ポスト、読売新聞などが先日、トランプ米大統領が駐韓米軍撤収のカードを切る可能性について言及したと報道したことで裏付けられる。

 

北朝鮮の狙い:その2 非核化は曖昧に、米国に責任を転嫁するための足掛かり

 

専門家らは特に、「北朝鮮の非核化について曖昧な立場を表明したまま、平和宣言に触れたこと」を強く批判する。

 

今回の板門店宣言における非核化関連条項は「北朝鮮の核問題は米朝対話で解決する」という北朝鮮の従来の立場を維持させ、非核化の「意志」を述べるにとどまった。これについてチョン氏は、「すべての核兵器と現存する核開発を放棄」することを明示した、既存の2000年、2007年南北合意にも及ばないとの見方を示した。

 

こうした曖昧な態度は、米朝首脳会談が失敗した場合、北朝鮮がすべて「米国の責任」だと批判する口実を与えてしまい、米韓同盟の弱体化に繋がる。峨山研究所首席研究員チェ・ガン氏は、北朝鮮の非核化を義務付ける具体的なロードマップを設定させ、北朝鮮の心理戦に巻き込まれないために国際的な連帯を強く維持すべきだと主張した。

(翻訳編集・齊潤)

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