米大統領、貿易で強硬姿勢崩さず G7サミットで各国首脳と対立へ

[ワシントン/オタワ 6日 ロイター] – 主要7カ国首脳会議(G7サミット)の開幕を控え、トランプ米大統領は通商問題で強硬姿勢を崩さない構えだ。米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長が6日明らかにした。各国首脳らと意見が対立する展開も予想される。

G7サミットはカナダで8─9日に開催される。米政府は先週、6月1日からカナダ、メキシコ、欧州連合(EU)に対し鉄鋼・アルミニウムへの輸入関税を適用すると発表。G7メンバーであるカナダと英国の両首脳は米国の輸入制限措置を強く批判している。

カドロー氏は記者団に「見解の不一致が存在する。トランプ氏は自らの立場を守っている。他国の首脳らと協議するつもりだ」と発言。

また、トランプ氏がサミット期間中に、カナダのトルドー首相、フランスのマクロン大統領と個別に会談すると明らかにした。

トルドー首相との会談は特に冷ややかな雰囲気で行われる可能性がある。トランプ氏は最近カナダの通商政策を厳しく批判した一方、カナダ政府は安全保障を理由に新たな関税を導入した米政府への怒りに加え、米国・メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉が停滞していることへの不満も募らせている。

トルドー氏はグローバルテレビのインタビューで「テーブルを囲み、ある種極めて率直な形で意見を交わすことになる」と予想。トランプ氏との会談では、鉄鋼・アルミニウム関税への不満を伝える意向を示した。

オタワの関係筋2人によれば、米国と他の加盟国の溝は大きく、各国の準備を担当する高官らがサミット前夜に異例の追加会合を開き、意見の一致点を見出す予定という。

カナダで直前に開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議では、米国以外の各国が、米政府による鉄鋼・アルミニウムの輸入関税措置を批判し、議論はG7サミットに引き継がれることになった。ただ、双方の溝が埋まらない中、G7サミットで貿易を巡る論争が終結するとの期待は低い。

また、米国のイラン核合意離脱決定を巡る欧州側の怒りも不透明感を強めている。

カドロー氏は対中通商政策について、米中の交渉が機能すれば、貿易赤字は縮小するが、現時点で合意に至っていないと説明。

このほか、世界貿易機関(WTO)は完全に無力化したと指摘、合意から逸脱した各国を責めるべきだとした。

米国は貿易戦争でなく、解決が必要な貿易摩擦に関わっているとし、WTOを通じた取り組みを進めているが、国際機関に自国の政策を決めさせないと言明した。

*写真を加えました。

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