THE EPOCH TIMES

焦点:北朝鮮、経済変革の「指南役」は米国より中国か

2018年06月13日 06時00分

Cynthia Kim and Christian Shepherd

[ソウル/北京 11日 ロイター] - トランプ大統領は、北朝鮮が核放棄すれば、米国からの投資に支えられて「非常に豊かに」なるだろうと約束したかもしれない。だが、同国における変革の原動力となるのは米国ではなく、中国だろうと、北朝鮮に詳しいエコノミストや研究者は予想する。

北朝鮮にとって最も身近な手本となるのは、米国式の資本主義ではなく、1978年に中国指導者となった鄧小平氏が最初に推進した、国家統制下の中国式の市場経済だと指摘する。

当時の中国は、27年間に及ぶ故毛沢東国家主席による統治がもたらした混乱、つまり資本主義が禁止され、私有のビジネスや財産が国家に接収され集団所有の下に置かれた時期から、抜け出そうとしていたのである。

鄧小平氏は痛みを伴う改革を導入し、現在では、過去40年にわたる中国経済の奇跡の基礎を築いたという評価が広がっている。その変化は巨大であり、成長は驚異的だった。しかし何よりも重要なのは、中国共産党が、権力をただ維持するだけにとどまらず、国内統制をさらに強めつつ、こうした成果を達成したことである。

シンガポールで12日、トランプ大統領と北朝鮮の指導者である金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による史上初の首脳会談が行われる中で、北朝鮮政府の関心は、ますます中国に傾斜しつつある。

正恩氏は3月以来、中国を2度訪問し、習近平国家主席と会談している。一方で、北朝鮮を支配する朝鮮労働党の高官級代表団は5月、11日間にわたる中国訪問のなかで、中国のハイテク都市交通や最新の科学的成果などを中心に、いくつかの産業拠点を視察した。

この代表団が中国を訪問したのは、正恩氏が核実験・ミサイル実験の中止を宣言し、「社会主義経済建設」に専心すると誓ったほんの数週間後である。中国メディアは正恩氏の声明を、鄧小平氏の政策を簡潔に表現した「改革開放」の北朝鮮版だと位置付け、中朝国境の丹東市では住宅建設投資が急増した。

「金正恩氏がトランプ大統領と会談するのは、米国に制裁を解除してもらう必要があるからだ。その後の見出しはすべて、金正恩氏と習氏の名で埋め尽くされるだろう」と語るのは北朝鮮関係に詳しい韓国のエコノミスト、Jeon Kyongman氏だ。

中国は、北朝鮮にとって最も重要な同盟国であり、最大の貿易相手国である。2011年に金正恩氏が権力を継承して以来、中国との貿易関係はますます重要となっている。現在、中国は北朝鮮の貿易全体の90%以上を占め、北朝鮮経済にとって唯一の生命線となっている。

<北朝鮮の「開放」に狙いを定める中国>

英リーズ大学で中国・北朝鮮関係を専門とするアダム・キャスカート氏によれば、中国北東部の「ラストベルト」地域で経済成長が停滞していることも、北朝鮮との経済関係強化に関心が高まる追い風となっているという。

北京の東興証券でチーフエコノミストを務めるZhangAnyuan氏によれば、計画経済から市場経済への移行という中国のモデルは、それが政治や経済、社会の安定を損なわずに実現されただけに、北朝鮮政府にとって魅力的である。

「地理的な位置や経済システム、市場規模、そして経済の開発段階を考慮すれば、中国と北朝鮮のあいだの経済協力は他に代えがたい、模倣しようのない優位を得ている」とZhang氏は言う。

だがキャスカート氏は、経済自由化の進展はゆっくりしたものになる可能性が高いという。というのも、北朝鮮は、通貨や移民を巡る規制緩和による政治リスク増大については慎重になることが見込まれるからだ。

北朝鮮は中国だけでなく、上からの厳しい統制が維持されている他の国の経済システムも参考にするかもしれない、とキャスカート氏は述べ、ベトナムや、あるいは韓国の「財閥」型ビジネス構造を例に挙げた。それにより「資本独裁制」に近いものが可能になるからだという。

習主席は、トランプ大統領からの強いプレッシャーを受けて、2017年後半には北朝鮮に対する制裁を厳格に実施し始めた。中国は今年3月までの6カ月連続で、国連安保理の制裁決議に従って、北朝鮮からの鉄鉱石や石炭、鉛鉱石の輸入を完全に停止している。

この制裁は石炭依存度の高い北朝鮮の重工業や製造業に打撃を与えた。だが、より重要なのは、中国政府との貿易が急減することによって「経済の最も繁栄する部分がやられてしまった」ことだという。

つまり、個人や卸売業者が中国製の消費財や農産物を売買する非公式の闇市場だ、とJeon氏は語る。「北朝鮮経済を締め上げた最大の要因は、制裁実施に向けた中国の決断であり、この制裁の解除が金正恩氏にとっての急務だ」

<「蚊帳スタイル」>

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