「サッカーも海外安全対策もDFが重要」W杯ロシア、ゴルゴ13が注意喚起

サッカーも海外の安全対策も、ディフェンスが重要だ…」厳(いか)めしい顔で注意喚起を促すデューク東郷(ゴルゴ13)の表情にはインパクトがある。

FIFAワールドカップロシア大会が目下開催中だ。ワールドプレイヤーの妙技を観戦しようと、世界からサポーターたちがロシア国内に集まっている。日本や米国当局は、大勢が集まる公衆の場はテロ攻撃の対象になる恐れがあるとして、ロシア渡航・滞在について注意喚起している。

在ロシア日本大使館は、5月18日にワールドカップに向け特設サイトを設置。外務省が海外安全情報を伝えるキャラクターとして起用している「ゴルゴ13」も登場させ、情報周知を行っている。

6月14日~7月15日に開催されるロシア大会について、外務省は6月8日、「ISIL(過激派組織)支持者らは、W杯ロシア大会を標的としたテロをネット上で活発に呼びかけている」と報告。また「大会期間中は、ラマダン(断食月)の最終日と重なる開幕戦をはじめ、テロ等のリスクが高まる」と警告した。

発表によると、ロシアでは過激派組織が関わったと考えられるテロ事件が試合開催都市も含め散発的に発生している。2017年4月と12月にはサンクトペテルブルクの地下鉄やスーパーマーケットで爆弾テロ事件が発生した。

外務省は、テロリストはスタジアム、観光地、交通機関など、大勢が集まる公衆の場を対象として攻撃する恐れがあると警告している。

また、試合会場では、入退場で最も込み合う時間を避ける、不測の事態を念頭に置いて非常口や避難経路をあらかじめ確認する、周囲がパニックになっても冷静さを保つよう努める、などを安全確保に心がけるよう呼び掛けている。

ほか、ロシア国内法に基づく「出入国カード」取得と保管、「滞在登録」を確実に行うよう周知させている。

在ロシア日本大使館は、日本代表のリーグ戦が行われる開催3都市で領事臨時事務所を設ける。

(Simon Hofmann/FIFA)

同様のワールドカップ開催に関わる注意喚起を米国、英国、豪州なども出しているが、米国は犯罪組織によるサイバーテロの警告も加えている。米国務省は個人情報が盗用される恐れがあるため、スタジアムに携帯電話を持ち込まない、所持していてもバッテリーを外すよう促している。

また、国務省旅行局の通知によると「在ロシアの米国市民はしばしば、説明のない拘束など、ロシア関係者らによる嫌がらせに遭っている」という。このため、米国外交官も減らしており、対応能力に限りがあるとしている。

ロシア当局はワールドカップ開催に際して安全対策を強化し、入場にはチケットのほか期間限定の身分証である「ファンIDカード」の所持をサポーターらに義務づけた。また国内12の試合会場にそれぞれ1万人以上の警備員、さらに会期中の特別な空域防衛として戦闘機を配備しているという。

いっぽう、ロイターの取材に回答した複数の保険会社は、空港、鉄道、地下鉄など公共交通機関の警備は十分ではないと指摘している。

(編集・佐渡道世)