米上院が国防権限法案可決、ZTE巡り米政権と対立する可能性

2018/06/19
更新: 2018/06/19

[ワシントン 18日 ロイター] – 米連邦議会上院は18日、2019会計年度の国防権限法(NDAA)案を賛成85、反対10で可決した。総額7160億ドル規模で、トランプ大統領が求める軍の強化を後押しする。ただ中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)の扱いを巡り、ホワイトハウスの考えとは異なる内容も含まれている。

上院のNDAA案は兵器購入など基本的な国防支出として6390億ドル、現在起きている紛争への対応費用として690億ドルを充当することを承認した。一方でトランプ政権が受け入れたZTEの米サプライヤーとの取引再開を無効とする項目が盛り込まれた。

NDAAが正式な法律となるには、既に下院で通過した案と内容を擦り合わせて一本化し、トランプ大統領が署名する必要がある。

ZTEに関する項目の策定を主導した共和党のトム・コットン、マルコ・ルビオ両上院議員と民主党のチャック・シューマー上院院内総務、クリス・バン・ホーレン上院議員は共同声明で、上院での支持に「励まされた」と表明したうえで、下院議員らに対し、一本化に向けた協議で同項目を維持するよう訴えた。

ZTEは、米国の対イラン・北朝鮮禁輸措置に絡む2017年の和解合意に違反したとして米サプライヤーとの取引を禁じられた。共和、民主両党は合意違反を受けて、ZTEは国家安全保障に対する脅威になっているとの懸念を示してきた。

ただ、上院案に反対している政権の意向を踏まえると、ZTEへの対応については、下院案に入っているより緩やかな規制が最終法案に採用される公算が大きい。下院案は、ZTEと別の中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の製品を使っている企業と国防総省の取引を禁止すると定めている。

また上院案には、外国資本による対米投資を安全保障面から審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を強化することや、最新鋭ステルス戦闘機F35のトルコ向け売却を、ロシアから防衛機器を購入している同国が北大西洋条約機構(NATO)の脅威でないと確認できるまで禁じる項目がある。

このほか、イエメン内戦に介入するサウジアラビア主導の連合軍機に対する給油活動について、一定の条件を満たさない限り禁止する項目が盛り込まれた。サウジがイエメン内戦を終結させ、人道上の問題を解決、市民へのリスクを抑えるために緊急措置を講じているとポンペオ国務長官が認定することが条件となる。

バージニア級原子力潜水艦に必要な資材調達への予算手当ても法案に含まれた。防衛関連のゼネラル・ダイナミクス<GD.N>とハンティントン・インガルス・インダストリーズ<HII.N>が恩恵を受ける可能性がある。

*見出しを修正しました。

Reuters
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