トランプ政権、中国の対米投資はCFIUS活用し制限 他国も対象

[ワシントン 27日 ロイター] – トランプ米大統領は27日、中国企業による米ハイテク技術獲得に対しては中国に特化した制限を課すのでなく、議会で審議中の法案で強化される対米外国投資委員会(CFIUS)の審査権限を活用して対応する方針を表明した。

米財務省はこれまで、トランプ大統領に対し、対米投資審査厳格化法案で強化されるCFIUSの権限を活用して投資案件を管理するよう提言していた。米下院は前日に400対2の賛成多数で同法案を可決、今後は上下院で異なる法案を一本化するための協議が実施される。

米当局者らはこのところ、中国の投資制限を巡り矛盾する発言をしていたが、今回の方針決定でムニューシン財務長官に軍配が上がった格好だ。

トランプ大統領は声明で「この法案は米国の重要技術での優位性や国家安全保障、将来の経済繁栄を脅かす略奪的投資慣行に対抗する追加手段を提供することになる」と強調。同法案の成立後、外国政府が主導する重要技術への投資を巡る懸念に対応すべく、「迅速で厳格な施行」を政権に指示する考えを示した。

また、法案が速やかに議会を通過できない場合は、特別権限で新たな制限を実施するよう政権に指示するとした。世界各国に適用する可能性があるという。

米国株式市場ではトランプ大統領の方針決定について、事前に報じられていたほど強硬なアプローチではないと受け止められ、序盤の取引で株価は上昇。

しかし、その後にカドロー米国家経済会議(NEC)委員長がFOXビジネスネットワークのインタビューで、大統領が発表した方針は中国に対するスタンスの軟化を示すものではないと説明。中国への強硬なアプローチに変わりはないとの見方から、市場は下げに転じた。

ムニューシン氏はこの日、CNBCに対し、「われわれは中国を他国と同様に扱うつもりで、対米投資について懸念がある場合は阻止する」と表明。また、政権内の見解の相違については、トランプ大統領は重要な問題についてさまざまな意見を聞くことを望んでいるが、米政権の経済チームは投資制限などの主要な提言について、通常は意見をまとめることができると述べた。

また、対米投資審査厳格化法案については、CFIUSの審査対象を米企業の少数株式を取得する案件などにも広げる内容だと指摘。「(自国が)弱いか強いかの問題でない。技術の保護が狙いだ。われわれはこの法案の下で正しい手段を手にする」と述べた。

トランプ大統領は、米国の輸出規制を精査し、「国家安全保障や技術の優位性を守るために」必要となる可能性のある修正を提言するようロス商務長官に指示したことも明らかにした。

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