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末期症状の中国共産党 米学者「崩壊に備えよう」

米シンクタンク、ジェームズタウン財団研究員のピーター・マティス氏は8月、外交専門誌『ナショナル・インタレスト』に寄稿し、中国共産党政権が間もなく崩壊し、米政府はこれに備えて対策を練るべきだとの見解を示した。

マティス氏は2015年にも同誌で、共産党政権が崩壊後の米政府の対応について記事を発表していた。

同氏はこの度の記事で、15年1月29日米紙ウォールストリート・ジャーナルに発表された『中国共産党のたそがれ(The Twilight of China’s Communist Party)』の主張を引用した。同文章の執筆者はアメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)学者のマイケル・オースリン氏だ。

オースリン氏によると、ワシントンのある私的晩餐(さん)会で、ある中国問題専門家が「崩壊の具体的な日程は、はっきり分からないが中国共産党はすでに末期症状に陥った」と発言し、中国をよく知る米政府高官や中国問題専門家の多くがこれに賛成していたという。

この見方を引用してマティス氏は、欧米政府や有識者が、中国の権力者とのパイプ作るよりも、共産党政権に排除された中国国民と新たな関係を築くべきだと提言した。

また、同氏は、1989年の「六四天安門事件」の再来を防ぐために「米政府が行動すべき」と述べた。「共産党はまだ数年維持されるかもしれないが、西側諸国は、正義の側に立つべきだ」

マティス氏は、中国国内での事態急変に備えて、米政府に対して6つの提言を行った。

▼中国共産党と対立する団体を把握すべきだ。共産党擁護の団体とそうでない団体をしっかり区別する

▼米政府は、中国共産党の指導者(および親族)のデータ(海外資産、電話番号などの連絡方法)を収集・更新すべきだ。政権が崩壊に瀕した場合、高官らが第一に考えるのは党の安全ではなく、自身と家族の安全だ。体制内の幹部が海外脱出した場合、国内の一人または数人が局面を左右することになる。このようなキーマンと即座に連絡が取れるよう、彼らの米国内での交友関係をしっかり把握する必要がある

▼中国軍の指揮部内部および情報機関に関する情報を掌握する。これは国民の抗争が起きた場合、政権崩壊の臨界点に達しているかを判断するための情報を入手するためだ。軍隊や国家安全部門は党の弾圧指令に従わなかった場合、この意思決定を下す人物を特定する必要がある

▼国民の抗争がエスカレートしたとき、事態の蔓延(まんえん)を防ぐために、地方と中央はどのように協同するのか、各レベルで決断を下す幹部を特定する必要がある

▼万が一、中国当局が国際社会との繋がりを断った場合、米政府は中国国民と情報を交換する方法を確保する必要がある。中国ではインターネットが厳しく封鎖されているため、この場合、ラジオ放送が有効な手段になる

▼中国国内で事態が急変する場合に備えての情報収集が必要だ。新たな情報部門の立ち上げが必要。

マティス氏は中国国内の動向を把握するために米政府に協力する用意があるとも述べた。

評論家:共産党が恐れているのは「米政府と中国国民」

大紀元のコメンテーター夏小強氏は共産党の崩壊を世界は真剣に考え始めたと指摘し、「中国共産党が最も恐れているものは2つある。一つは米政府。もう一つは中国国民」と述べた。

これまで、中国当局は経済成長を政権維持の根拠にしている。しかし、今年に入ってから、トランプ米政権が厳しい対中貿易制裁を次々と打ち出し、中国経済の息の根を止める勢いだ。「経済成長」はもはや絶望的だ。

中国共産党政権の外交政策は、米国を中心にしたものだ。共産党政権が最も危惧しているのは米国からの圧力だと、夏氏は分析する。

一方、中国の政治情勢が大きく変わっても、中国の将来を決めるのは中国の国民だ。したがって、欧米諸国の政府が中国国民をバックアップすれば、共産党を排除することができると同氏はみている。

米中貿易戦による外的要因と、共産党に抗争する国民の急増などの内的要因によって、中国社会は近い将来、大きな変革が訪れるだろう」

(翻訳編集・張哲)

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