台湾、「千人計画」参加の技術者33人を調査へ 

2018/10/22
更新: 2018/10/22

海外のハイレベル研究者や技術者をリクルートする中国の「千人計画」。その対象は中国出身者のみならず、外国人にも広がっている。台湾政府の調査では、少なくとも台湾出身の技術者33人が「千人計画」に招へいされていたことが分かった。

台湾の対中国政策を担当する行政院大陸委員会の邱垂正・副主任委員兼報道官は17日、この33人について「現在、逐一精査している」と発言した。また、邱氏は、台湾政府は中国側の「千人計画」に注視しているとも述べた。

民進党の王定宇・立法委員(国会議員に相当)は「千人計画」、「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」「一帯一路経済圏構想」が中国共産党政権の略奪計画であると批判した。「『千人計画』の目的は、各国の先端技術とハイレベル人材を略奪することにある」

王議員によると、2014年、台湾の国立中央大学通信システム研究センターの陳錕山・前主任は「千人計画」に招へいされた後、中国の自然科学研究の最高機関、中国科学院のリモートセンシング (Remote Sensing) 科学実験室に勤務した。台湾情報当局は捜査で、陳氏は台湾の国土安全情報、国家安全当局の衛星画像解析システムに関する機密情報を中国本土に持ち込んだと判明した。

中国当局は今年始め、台湾企業や人材を優遇する31項目の措置を公表した。台湾企業の中国進出と台湾人の「千人計画」への参加を促した。

国立政治大学の李酉潭・教授は、台湾政府は現行の国家安全法に抜け穴があるか否かを見直すべきだと指摘した。「台湾が核心的な機密技術を守ることができなければ、重大な結果を招く」と強い危機感をあらわにした。

今年7月、米メディアのウォールストリート・ジャーナル、ニューヨークタイムズ、ロイター通信などは、中国当局が国内の半導体産業振興政策として、台湾の技術者を招へいするだけではなく「手段を選ばずに」台湾の商業機密を盗んでいたと報道した。

2000年に設立された中国の半導体最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC、本社=上海)は台湾半導体大手・台湾積体電路製造股份有限公司(TSMC)から社員を引き抜いた。企業機密を不正に奪われたとしてTSMCはSMICを訴えた。SMICが1億7500万ドル(約157億円)を支払うことで2005年に和解が成立した。

これ以降、半導体メーカーの米マイクロン・テクノロジ台湾支社のマイクロン・メモリ・台湾(MMT)、聯発科技股份有限公司(MediaTek)、聯穎光電股份有限公司(Wavetek)、南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)などの台湾企業から中国企業が相次ぎ、エンジニアの引き抜きを通じて技術を入手していた。

教授は台湾の技術者に対して現在、各国で反中国共産党の動きが加速しているため、中国当局の「千人計画」に関与しないようにと忠告した。

(記者・周慧心/陳漢、翻訳編集・張哲)

 

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