NZ襲撃の被害者、中国からの寄付金2億円を返送表明 「ウイグル人のために使ってほしい」

2019/04/01
更新: 2019/04/01

ニュージーランドの中国人実業家らが、クライストチャーチで起きたモスク銃撃事件の被害者のために200万ドル(約2億円)の寄付を申し出た。しかし、被害者たちは、中国で弾圧されているウイグル人の状況から寄付を受け取ることはできないとして、返送する意向を示している。

中国官製メディア・ニュージーランド中国通信によると、3月17日、中国の大手・潮州集団は同国オークランドで開催する年次総会のために、中国大陸や米国から関係者を集めた。駐ニュージーランド中国大使の呉璽氏、オークランド総領事館の領事・許爾文氏も参加した。

潮州集団関係者は総会で、15日に起きたクライストチャーチのモスク襲撃事件の被害者のために寄付を呼び掛け、48団体から220万NZドル(約2億円)を集めた。大半は潮州集団の海南、北京、上海、深センなどにある中国支店や幹部から。

元外相で現オークランド市長のフィル・ゴフ(Phil Goff)氏は、その場で、寄付金の一部である50万NZドルの小切手を受け取り、被害者に手渡すと述べた。

NZでは政治献金の大口出資者として知られる張乙坤元潮州集団代表が、現在所属している団体が210万NZドル以上を寄付した。

寄付キャンペーンを呼び掛けたタイヤバ・カーン(Tayyaba Khan)氏は、潮州集団からの寄付を返送したいとしている。同氏は、中国共産党政権が同じ信徒のウイグル人、カザフスタン人、キルギスタン人を拘束していることに触れ「寄付金が中国の(信仰弾圧の)問題のために声をあげることや、問題解決のために使われることを望む」とした。

また、カーン氏によると、現地の支援団体や被害者の親戚や友人、またオンラインの支援キャンペーンにより、すでに750万米ドル以上の寄付が集まっているという。

多くの寄付を受けられたことで、カーン氏は「ニュージーランドのイスラム教徒がリーダシップを発揮する機会だ」と述べ、潮州集団からの寄付を返送すると表明している。

NZのイスラム協会連合(FIANZ)は書簡で、潮州集団からの寄付には謝意を示しながらも、「新疆ウイグル自治区で起きている民族浄化と投獄」により、NZのイスラム信徒に寄付を送らないでほしいとの意思を示した。

「この大型の寄付は中国政府からのものではないと理解している。しかし、一番の支援は、イスラム信徒に対する嫌悪、イスラムに対する迫害を止めることだと信じている」

カーン氏は、もし資金が返送されたとしても、ウイグル人の収容問題の解決のために使用されるかどうかは不明だが、正しい態度を示すことが重要とした。

(編集・佐渡道世)

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