視力向上に有益なモーツァルトのピアノ曲 

250年前に不世出の天才、モーツァルトが作曲した不朽の名作の数々は、人々に精神的な楽しみをもたらすだけでなく、研究者によると大脳の働きを向上させるという。ブラジルでは、眼科疾患を持つ患者を被験者として実験を行い、モーツァルトのピアノ曲と視力の向上に因果関係があるという結果を発表した。

モーツァルトの旧居

BBCの報道によると、ブラジルの研究者は緑内障、或いは神経系統の病気がある患者60人を二つのグループに分け、一番目のグループには、モーツァルトのピアノ曲を10分聞かせ、2番目のグループには静かな部屋で待たせた。その後、瞳周辺の自動視野定(automated perimetry)を測定、白い背景の上にいくつかの白い図案が投射されたらボタンを押すようにというものだった。

その結果、音楽を10分間聴いた患者は、この測定に非常に集中することができ、更に正しく答えることが容易だったという。しかし、研究者は、この類の「モーツァルト効果」がたったの10分しか持続できないことに気づいた。これは大脳の中の視覚中枢と眼球の連絡を改善することにより得られた結果であったと科学者らは仮定している。この研究結果は「英国眼科学ジャーナル誌(British Journal of Ophthalmology)」に掲載された。

以前にも科学者たちは、「モーツァルト効果」として、数学技能の向上、胎児の大脳発育、大学生の学習能力向上などを挙げていた。しかし、ブラジルが測定した「モーツァルト効果」に肯定的な結論を出すのは時期尚早だと警告を与える科学者もいる。測定結果に間接的に影響するその他の要素が考慮されていないからである。例えば、音楽を聴くグループに選ばれた(被験者の)患者本人が音楽愛好家であるかどうか、イヤホンの作用はどうか、すべてのモーツァルトの曲がこのような効果を持つのか、それともいくつかの具体的な部分が役に立ったのか、などである。

カリフォルニア州立大学サンフランシスコ分校のロバート教授(Robert Stamper)は「(ブラジル)研究者はこれほど簡単で、安価な方法を採用し、正しく答え難い測定の正確性を向上させたことは価値がある。もし彼らがこれらの測定方法の問題点を解決すれば、視野測定の改善にとても大きな助けとなる」と補足した。

(編集・望月 凛)