NASAのハッブル宇宙望遠鏡がとらえた驚くべき土星の姿

NASAハッブル宇宙望遠鏡は、土星の驚くべき写真をとらえました。

木曜日に発表されたNASAからの声明によると、ハッブル宇宙望遠鏡は土星が地球から約13億5000万キロほど離れていた7月4日に、その画像の撮影に成功しました。

土星の北半球ではがどのような状態なのかが分かる写真になっています。土星は地球の方に傾いており、またわずかに赤みを帯びた靄(もや)が、北半球を覆っているのが分かります。

科学者たちは、この現象は、太陽光の増加による気温の上昇の結果であり、大気の循環や氷の含有量に影響を与える可能性があると述べています。

この立派な巨大惑星が地球から約13億5000万キロ離れた2020年7月4日に撮影された(Courtesy of NASA/ESA/A. Simon/M.H. Wong/OPAL Team)

また、より多くの太陽光が光化学的な霞の発生量の変化につながっている可能性があるとも言われています。

NASAのゴダード宇宙飛行センターの主任研究員エイミー・サイモン氏は、「数年という期間であれ、土星でこのような季節的な変化が見られるというのは驚くべきことです」と述べています。

写真をよく見ると、南極が青みがかっていることが分かると思います。これは、そのエリアが冬である証拠です。

また、土星の2つの衛星が写っています。右側のミマスと下のエンケラドゥスです。

この画像は、土星や木星のようなガス惑星の大気のダイナミクスと進化の理解を深めることを目的とした「アウター・プラネッツ・アトモスフィアーズ・レガシー(OPAL)」というプロジェクトの一環で撮影されました。

OPALの科学者たちは、土星の気象パターンや嵐を調べており、この写真でも、さまざまな小さな大気の嵐が見られます。

土星は、大気の大部分が水素とヘリウムであり、アンモニア、メタン、水蒸気、炭化水素も含まれているために、その大部分が黄褐色になっています。

また、この写真では、土星のあの有名な環を驚くほどきれいに見ることができます。

土星の環はほとんどが氷のかけらでできていますが、いつ、どのようにしてできたのかは誰にも分かりません。

科学者の多くは、土星と同じ40億年以上前にできたものだと考えていますが、恐竜が存在していた数億年前に誕生したと言う科学者もいます。

この4月で、ハッブル宇宙望遠鏡は宇宙での活動、30周年を迎えました。長きにわたり、驚くべき写真の数々を撮影し続けています。

宇宙望遠鏡のおかげで、世界中の天文学者がブラックホール、謎のダークエネルギー、遠くの銀河、銀河の合体などを研究することができました。

またこの宇宙望遠ハッブルは、太陽系外の惑星や、星の形成と死を観測し、冥王星の周りにあるこれまで知られていなかった衛星も発見しました。