カナダ政府、強制労働製品の輸入禁止 ウイグル人権問題に対応

2021/01/22
更新: 2021/01/22

中国新疆ウイグル自治区における中国共産党の人権侵害に関連して、カナダ政府は1月12日、国内企業がこの人権侵害に加担しないよう商業活動の包括的な取引規制などを発表した。カナダが関わる国際サプライチェーンに強制労働が含まれれば輸入禁止にすること、企業の倫理基準を順守する宣言に署名することなどが含まれる。

カナダ政府は、中国当局は同自治区で「テロ」や「宗教的過激主義」に対抗するという名目で、ウイグル人に対して監視、恣意的拘留、拷問や虐待、強制労働などの人権侵害を加えていると指摘した。さらに、新疆から中国各地に強制労働者を大量に移送するなど、人権侵害は全国で行われていると強調した。

フランソワ・フィリップ・シャンパーニュ外務大臣とメアリー・ン中小企業・輸出促進・国際貿易大臣は12日、共同で、ウイグル人の人権状況に関連する包括的な措置を発表した。次の7つの対策が中心となる。

1.強制労働によって全体的または部分的に生産された商品の輸入の禁止 2.カナダ企業向けに、強制労働に関わらないと宣言する「新疆ウイグル誠実性宣言」への署名 3.新疆ウイグル自治区に関する企業の情報提供 4.カナダ企業への助言強化 5.輸出管理強化 6.新疆に関連する責任ある企業行動に対する意識向上 7.強制労働とサプライチェーンのリスクに関する第三者機関の分析。

カナダの国際関係省によれば、今回の禁輸措置は米国・メキシコ・カナダ協定(CUSMA)の実施の一環として2020年7月に改正されたカナダの関税率法に基づいている。同法の改正により、強制労働者または強制労働によって生産された商品の全部または一部を、すべての国から輸入禁止することになった。

カナダ政府は、新疆とつながりのある企業や新疆出身の労働者を採用した企業や個人に対し、その活動が中国政府の弾圧を支援していないか、サプライチェーンを調査するよう促している。中国当局は監視カメラやセンサー、生体検査機器などのハイテクを使ってウイグル人を追跡していることから、ハイテク分野のカナダ企業や個人は、人権侵害加担のリスクに直面していると警告した。

カナダ政府はまた、企業に対して「新疆ウイグル自治区誠実性宣言」に署名するよう求めている。この宣言は、取引がOECD多国籍企業ガイドラインや国連の商業と人権指導原則などの国際基準を満たし、さらに新疆の少数民族の強制労働や人権侵害に関わるサプライヤーからサービスを調達しないことを企業に求めている。違反がわかれば取引停止することを宣言させている。

他の人権侵害問題への対応として、政府は、新疆ウイグル自治区の人権侵害や強制労働に加担している組織と取引する法的・評価のリスクについて、カナダ企業に勧告する。また、強制労働に関する第三者分析を通じて、カナダ企業が新疆ウイグル自治区でビジネスをした場合のリスクや意思決定についての情報支援をするとした。

ジャスティン・トルドー首相は21日の記者会見で、政府は中国当局者と人権侵害について何度も話し合いを行い、カナダ企業がそれに加担したり、利益を得たりしないようにすると述べた。しかし、実際にカナダ企業が加担しているかどうかは明言しなかった。

1月18日の最大手紙グローブ・アンド・メールの報道によると、少なくとも3社のカナダ上場企業が新疆ウイグル自治区で経済活動を行っている。カナダ政府によると2019年、カナダから中国への輸出額は合計230億ドルだが、輸入額は合計750億ドルだった。

(翻訳編集・佐渡道世)