草庵居士:中国の金融界はなぜ中国の未来を破壊するブラックホールとなるのか?(五)

2005年05月05日 02時50分
中共が国有資産を奪う
今日、私はある年長者と討論をしましたが、その人にこう言いました。「中国経済は中国の全面的な崩壊を引き起こさないのか?」。 しかし、アメリカ人は表象を見てこう言います。「中国にはビルがあれだけ立派に立ち並んでいるではないか。アメリカは、ニューヨークを築き上げるのに100年かかったが、中国は10年で上海を築いたではないか」。 皆さん、ここで考えてみて下さい。そのお金はどこから来たのでしょうか?
民衆は、総じて、中国政府が高層ビルを建てることと自分とは関係なく、政府がお金をやりくりして建てたものだと考えています。しかし、考えてみて下さい。政府のお金はどこから来たのでしょうか?中国政府が民衆を養っているのでしょうか?それとも民衆が政府を養っているのでしょうか?アメリカにいる私たちは、その関係を知っています。私たちは税金を払いますが、税金を払わなければ政府はすぐに赤字になります。政府のお金は、民衆が納める税金に依存しているのです。

 中国には一つのブラックホール、つまり財政のブラックホールが存在します、中国人は腐敗官僚があれだけ多くのお金をせしめ、あれだけ多くのお金を浪費しても、経済は発展していますし、何も顕在化しません。これが問題の一つです。

 中国の通貨体系は、世界のそれとは異なります。世界では、土地や鉱山には全て価値があります。しかし、中国においてはその価値がありません。なぜでしょうか?中国の鉱山や土地は国有資産であり、売却することはできません。だから、中国内部の体系、すなわち中国人民元の体系上、鉱山や土地の価値は存在していません。

 ドルを国家本位で発行する時、土地取引、土地・鉱山に関する金銭の全てを基準価値に組み入れて発行が行われます。しかし、中国大陸の場合はドルに紐づけた単一レートで固定されており、政府にコントロールされています。現在人民元を発行する場合、その一部、つまり物資に係る通貨のみを発行・流通させているだけです。なぜなら、鉱山や土地は流通しておらず、価値を実現する術がないのです。しかし、人民元においてこうした価値は実現されませんが、世界の大多数の地域ではその価値が存在しています。

 この価値はどこにあるのでしょうか?土地・鉱山を入手して外国人に売却する時、お金が必要になります。中国政府は、ただでアメリカ人に土地を渡すわけにはいきません。やはり、お金を払って買いなさい、ドルを払って買いなさい、ということになります。こうした状況の下では、土地・鉱山といった資産の価値は、ドルの体系において実現され、流通性が実現します。しかし、人民元の体系においては実現しません。したがって、このとき、政府がお金を手にするということは、こうした資産を知らないうちにドル体系の中に転換し、その後、中国の国家財政以外の部分で価値を実現し、こっそりお金をポケットに入れることができるということなのです。

 だから、民衆はこんなにも多くの国有資産が流出したのだと感じているのです。今日、ある人が私にこう尋ねました。「草庵、中国に流入している外資がたったの500億元で、流出しているのは600億元だとあなたは言っていますが、この損失は何のお金なのですか?」。皆さん、考えてみて下さい。なぜ、多くの外資が鉱山や土地を買うのでしょうか?購入代金はどこに行ったのでしょうか?こうした儲けは人民元の体系において実現しません。完全に、海外の通貨体系において実現しているのです。

 サンフランシスコやロサンゼルスが気に入り、現金を持ち出して部屋や豪邸を買うとき、そのお金はどこから来ると思いますか?2つの価値体系においてこの資産が分割されているのです。だから、中共というところは、その多くが経済学をよく学んでおり、その下にいて彼らの嘘を理解できない人を弄ぶのです。中共経済学は、実務上、世界一であると私は信じています。それは、彼らが詐欺をする場合においてです。詐欺の経済学については、中共が絶対にNo.1です(会場笑)。

 彼らには理論的基礎があり、これは皆さんも見ることができます。誰が作ったのでしょうか?陳雲です。

国有資産が公平に分配されたロシアの私有化
 再び海外のケースということで、ロシアのケースを見てみましょう。ロシアが改革を行ったとき、インフレが非常に深刻で、人々は非常に貧しかったといいます。なぜでしょうか?改革の際、ロシアは私有化の過程で公平性を求め、ロシア人一人一人に、国有資産が割り当てられたバウチャーを配りました。このバウチャーは、国有資産の価値を表しています。

 たとえば、1000ルーブルであれば、ロシアに生まれさえすれば皆が1000ルーブル分のバウチャーが与えられたのです。こうして民衆に分け与えた後、大部分の民衆はバウチャーを現金に換えたいと考え、換金する際に私的に取引をしました。私が、「呉さん、この1000ルーブルのバウチャーを500ルーブルの現金と交換しましょう」と言えば、呉さんはおそらく私に500ルーブルをくれるでしょう。賢い人の多くはこの有価証券を買い集め、国有企業の競売に使いました。その結果、多くの人がこうした手法を用い、たった500ルーブルのバウチャーで1000ルーブル分の国有資産の価値を手にし、国有企業を買収していったのです。

 こうして、ロシアには一部の独占・暴利をむさぼる階級が現れました。しかし、中国の現状と比べると、ロシアは非常に公平でした。少なくとも一人一人に同じバウチャーが与えられており、このバウチャーを私的に取引する際の価値の多寡が問題だったのです。これで、皆さんは、なぜロシアがインフレだったのかがお分かりでしょう。ロシアはずっと重工業を重視しており、軽工業製品はうまくいっていませんでした。このため、以前の国有制のもとでは、土地や鉱山はルーブルの価値体系上には体現されていませんでした。通貨が一度に増発される時、多くに到っては、こうした土地・鉱山の価値が通貨価値の体系の中で実現する時、通貨の供給量は一度に増加します。増加後、固定資産、企業、鉱山の減価という形に表れますが、消費財・日用品はその稀少性によってインフレが起こります。

 こうした状況、実際のところは改革が行われた当時においては、固定資産や鉱山、工場を買った人は皆安く購入しています。一方、物資を消費する場合は、短期的な不足と現金流通量の増加によってインフレとなりますが、不均衡が生じるのはこのタイミングにおいてであり、全体的な価値体系に変化はありません。

公平な私有化を行わない中共
 中国の改革においては、各個人にバウチャーが配られて国有財産が分割される時、中国ははじめて公平な私有化をすることができるのです。しかし、現在の私有化の過程は、完全に黒幕の手によるもので、バランスを欠いた黒幕が中で金銭を盗み出しており、民衆にその様子を見ることはできません。見ることができるのはその表層の部分でしかありません。

 考えてみて下さい。私に権利があれば、MBOで工場を買収できるのですが、全ての労働者にこれが可能なのでしょうか?彼らも買収に参加すべきなのですが、なぜ参加させないのでしょうか?南京に国有資産の工場があったとして、私は中国人で、現在北京に住んでいますと言えば、競売の入札に参加できるのでしょうか?それはできませんし、これまで参加したこともありません。
 

 だから、民主化運動の流れの中で、易改(音)は、かつて大陸において資産改革に取り組みました。それは財産権取引委員会でしたが、彼は実際のところ、ロシア式の公平な市場に類似したものを普及させようとしました。しかし、中国大陸は強硬に彼を民主化運動分子として攻撃し、彼を追放しました。

私が今、部長(日本での大臣)か省長になって、権力を持ち、かつ私の兄弟分が儲かっていない場合を考えましょう。この時、私が皆さんに公平な取引をさせることがありえるでしょうか?だから中国大陸における現在の改革は全て不公平なのです。今日、私が社長になれば、私は工場を赤字にすることができます。赤字になったら、「すみません!」とこれを上に報告します。市長や省長が一言、「わかった、君が買収しなさい」と言えば、誰でもすぐに買収ができるのです。銀行と取引をし、労働者を買収してクビにすれば、誰でも民間人として社長になれるのです。これは、中国経済の非常に大きな問題の一つです。

中国におけるアルゼンチン経済の悲劇
 ここで、過去の先例をふり返ってみましょう。アメリカの経済が不調の時、中国は、容易に経済を粉飾し、好調なイメージを偽装します。彼らは、中国経済がアメリカ経済よりも優れ、収益率もアメリカより高いと言います。しかし、皆さんご存知のように、中国の政治リスクは非常に高いです。そこで、相対的な比較、つまり収益の高さと政治リスクの比較を行った上で危険を冒して中国で投資をするのです。だから、このようなカーブを描いていると言えます。アメリカが良ければ中国が悪く、アメリカが悪ければ中国は良い。この20年間の発展の過程で、経済成長を見つめてみると、このような感じになっています。

 こうした経済成長は、法則に則ったものです。この他にも法則があります。それは、アルゼンチン、ブラジルやチリなどの国家がたどっていった経済発展に関する法則です。

 80年代前半、アジアの国々に四小龍があったことはご存知でしょう。 90年代になって、これらの国々は四小龍ではなくなりました。最もパフォーマンスが良かったのは、アルゼンチン、ブラジル、メキシコでした。アルゼンチンがどのレベルに達していたかと言いますと、世界第7位、つまり経済が世界第7位となっていました。これは過去の話ですが、当時、趙紫陽や朱鎔基は、アルゼンチンやブラジルに人を派遣してこれを学習させました。

南米の国家が世界第7位にまでなったわけですが、その成長は非常にハイペースなものでした。アルゼンチンは、次のような成長過程をたどっていきました。

ドルペッグ(自国の通貨レートをドルに連動させる為替政策)の単一為替レート
 第一に、アルゼンチンは通貨改革を行いました。もともと自由兌換であったものを、中国式の、ドルペッグの単一レートにしたのです。ドルをアルゼンチンに持ちこんで投資をする場合、これを完全にペソに交換することとし、そのレートは政府がコントロールした単一レートに基づく、というわけです。これはどういったシグナルになるでしょうか?以前は経済が不調だったアルゼンチンが、今後は、ドル-ペソを政府がコントロールし、みだりにペソ安にはしないだろうと誰もが考えたのです。このため、大量の外資がアルゼンチンに進出してきました。

 進出後、アルゼンチンは積極的な財政政策を実施しました。外資の進出には環境の改善が必要です。アルゼンチンは、中国大陸の積極財政に匹敵するような、大量の政府資金を投資に使いました。その結果、アルゼンチンにおいては、政府と関係さえあれば、そのおこぼれに与ることができる状態が発生しました。なぜなら、工業地区の建設、道路の改修、高層ビルの建設が随所で行われており、そのための環境がうまく備わっていたのです。

 もう一つ、積極財政の後、アルゼンチンはあるプロセスを経験しましたが、これは世界でも同様です。アルゼンチンは、国営企業の改革を強く推進しました。国営企業の効率性は、民間企業のそれよりも低いのです。しかし、導入された外資は税が免除されており、民間企業からの税収はハイペースで成長していたのですが、財政の成長に見合うほどではないために、国営企業からの税収に依存する必要があったのです。

国債発行で財政収入の減少を補う
 このとき、経済が低迷するので財政収入も減少します。どうすればよいのでしょうか?アルゼンチンは国債を発行しました。国債発行額の成長率は30%でしたが、経済成長率はわずか9%でした。国債発行額の伸びが限界に達した時、ある比率、つまり新規発行額に占める過去の国債の償還分と利払い分の比率が大きくなります。アルゼンチンの国債は全て5年ものでしたが、発行すればするほどこの比率が大きくなっていきました。これを一定程度上回ると、現在の中国大陸のようになります。中国は、昨年3000億元の国債を発行しましたが、3000億元のうち1500億元が過去の利払いで、残りの1500億元が元本の返済で、自己の財政には使えませんでした。この段階になると、経済が成長する術がなくなります。

国債発行が限界に達すれば増税
 国債を発行した後、アルゼンチンはある政策を実施しました。それは増税です。国発行が伸びなくなると、すぐさま増税です!こうした経済成長は、権力の結合と分化をもたらし、報復をもくろむ人が増加します。政府はこう言いました。「金融取引税の徴収を実施する」。

 この金融取引税とは何でしょうか?中国大陸でも同様のものが実施されています。朱鎔基の末期、銀行預金に係る利子税を徴収しました。皆さんはご存じかどうか、私は知りません。中国における現在の債務圧力は国内では誰もが知っていることでして、中国大陸は、これまで利子税を徴収してきました、アルゼンチンは、利子税の他、金融取引税をも徴収しました。皆さんが金融取引を一度するだけで、例えば、借り入れをするだけで取引税が徴収されるのです。これはひどすぎます。

 こうした状況の下で、民衆はこう言うでしょう。「お金が出来てあなたのところに預金したところで何の意味があるのでしょう。お金が少ない場合は特に逼迫しませんが、お金ができてあなたのところに預金をしても、利子税や金融取引税を徴収されます」。 そして、お金を移すのです。お金を海外に、ゆっくりと移していくのです。やがて移し終わった時、国庫が空になるのです。

国庫が空になれば、教育費、社会保障費、退職金、医療費を削減
 国庫が空になった後はどうするのでしょうか?アルゼンチンにはまだ政策がありました。教育費を削減して財政支出を節約したのです。アルゼンチンは、まず教育費を削減しました。中国大陸の現在の教育を見ますと、中国は、アルゼンチンよりも早い段階で削減を行っています。改革の第一ステップが教育の削減で、これを教育の市場化と呼んでいます。私は、中国に次いで教育の市場化を掲げた国を見たことがありません。中国大陸がその先駆者であり、ノーベル経済学賞を受賞できるでしょう。

 第二のステップとしてアルゼンチンが実施したのは社会保障の改革でした。教育のお金が利用できなくなると、今度は社会保障のお金に目をつけ、一部を削減する改革を行ったのです。中国大陸も同様です。朱鎔基の時代、江沢民はこう言いました。「民衆の皆さん、政府の負担をこれ以上増加させることはできません。皆さんが負担の全てを政府に求めても、政府はこれを負担できません」。

 私はこう言いました。「民衆がどうして政府の負担を増加させているのですか?政府が民衆の負担を増加させていると言うのが筋ではないでしょうか?”」。彼は公にこう言いました。「我々には負担できません。この退職金については、共同で負担しましょう。皆さん自身と政府が一部ずつ負担するのです」。 その結果どうなったかと言いますと、多くの人が退職後に退職金がもらえなくなりました。アルゼンチンはこのプロセスをたどりましたが、そのタイミングは中国に比べて遅れています。

 その後、医療制度改革が実施されました。病気の診療にお金を使いすぎているので、これを減らそうというわけです。政府はこうして削減を行う一方で、お金持ちに対しては削減を行いませんでした。これは中国大陸における改革のケースと類似しています。4級以上の幹部は改革の範囲に含まれず、含まれたのは4級以下の人でした。4級以上の幹部は申告ベースで医療費が支給される一方で、下っ端の人に係る部分が改革の対象となったのです。アルゼンチンもまた、貧しい人が改革の対象となりました。

 中国大陸の改革において病院の民営化が進められていますが、病院の民営化もまた世界初のことです。中国大陸の蘇州では、中学校を全て民間人に売却しました。国営の中学を民間人に売却したのです。県城(県人民政府が置かれている町)に行くと、県城の診療所、つまり最末端の病院が民間人に売却されていることが分かります。大型病院について、購入資金が用意できないケースも一部ありますが、王永慶は北京、天津で病院を買収しました。現地で最も良い病院を買収したのです。

 改革がこのように進められた結果として、最後には皆の怒りが爆発します。この状況に到ってもなお膨大な財政支出を補填することはできません。どうするのでしょうか?紙幣を乱発するのです。

(つづく)
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