【特別インタビュー】元・中国の新聞記者、呉葆璋さんが語る海外に於ける中共統一戦線の内

2005年06月10日 19時18分
 【大紀元日本6月10日】新華社の駐パリ特派員だった呉葆璋氏が本年3月、ロンドンで大紀元時報の特別インタビューに応じた。同氏は新聞報道関係者として四十数年間を務めたが、1989年、中国共産党が無実な人々を殺害したことに不満を抱き、辞職した。その後、フランス国際放送局中国部門の主任を引き受け、定年まで務めた。呉氏は自身の記者生活の中で、独裁と民主の二つの制度を経験している。呉氏は、中国共産党の海外に於ける統一戦線とは、海外の多くの独立系メディアを、中共のプロパガンダのための代弁マシーンに変えることであると述べた。この点において、中国及び海外にいる多くの人々がその本質を見落としていると指摘した。

 記者:中国共産党が海外のメディアに対して行う統一戦線とは、具体的にどういうことでしょうか?

 呉氏:海外での統一戦線は、既に様々な形式で行われています。私が最も驚いたのは、一昨年、中国宣伝部のリーダーが、海外の各大手テレビ局、放送局、新聞社を対象に、宣伝業務を行う委員会を成立したことです。この委員会は、メディア企業で働く人々に対してあらゆる手段を使い、彼らの報道方針に口を出します。中国共産党が必要とするものを報道させ、必要でないものは報道させない、もしくは少なく報道するように要求してきます。このような事に尽力する委員会が存在することは、実に注意すべき点です。いかなる独立した海外メディアも、彼らのターゲットにされてしまいます。

 記者:具体的な例をお願いします。

 呉氏:2000年、私は駐パリ中国大使館の参事官から喫茶店に呼び出されました。彼は冒頭からいきなり、法輪功問題を話したいと切り出しました。彼の要求は、フランス国際放送局において、法輪功についての報道は今後一切しないように、というものでした。私が彼に何故かと尋ねると、彼は法輪功が邪教だからと答え、資料は山ほどあると言いました。彼の大きなバッグの中には、政府が印刷したであろう小冊子、ビデオテープ、CDが入っていました。私は彼に、第一、我々は今、中国にいるのではなく、フランスにいることを忘れないようにと話し、第二に、私がいる放送局は独立した機関であり、法輪功について、他のメディアの調査もなしに、我々があなた達の言いなりになることを不可能だと答えました。私は続けて、中国政府は政治的、国際的に法輪功のことを広げているが、我々の放送局で働くアラビア人、インド人など様々な人種の人たちは、中国共産党が法輪功を迫害していることを知っており、非常に憤慨している、と言いました。彼らからして見れば、この迫害は恥ずべき行為なのです。従って、私が法輪功の迫害に関して報道しないということは、私が職責を果たしていないことになりますからと言って、彼の要求を拒みました。

 中国政府による海外での宣伝及び統一戦線において、上述した事は、ほんの一例に過ぎません。実際は、統一戦線の活動量は非常に広く活発に行われているのです。例えば、世界中の国々に対して設けている中国外務省のウェブサイトには必ず法輪功を中傷するコラムがあります。外務省関係者だった人々は、法輪功と外交に一体どういう関係があるのだろうと、首をかしげて苦笑いをしていたと聞きました。

 記者:ちょっと前に、中国共産党は天安門焼身自殺事件を再び掘り返しましたが、AP通信社記者は中国に招かれてから、中国共産党に同調する記事を出しました。この件についてどうご覧になりますか?

 呉氏:通常、焼身自殺のような事件が発生したら、真相を探るために多方面に亘る調査が必要ですが、事件が発生した当初から一方的な説明と結論しか宣伝されていません。常識のある人であれば、誰もがこの事件の裏に何かがある、と分かるはずです。中国共産党はこのようにして、法輪功を誹謗中傷していますが、このやり方は却って逆効果だと思います。実際、私の知っている右派と左派両方を含むフランスの国会議員たちは皆、法輪功の弾圧に反対しているからです。彼ら曰く、何を信仰するにせよ、異なる見解を持っているにせよ、このような弾圧行動は許されないと指摘しています。

 記者:英国BBC放送局はちょっと前に中国週間を作りましたが、これについてどう思われますか?

 呉氏:西洋の記者らは中国に対して勘違いしているところがあります。即ち、中国は改革され開放されたから、共産党の嫌がることをしても良いという勘違いです。今回の中国週間の具体的な情況ははっきりと分かりませんが、中国共産党の気に障ることがちょっとでもあれば、英語の番組にせよ、全て取りやめさせられることは確かです。今回のBBC放送局の目的が中国国内でのBBCの知名度を上げたいのか、それとも、真に中国及び世界の人々に対してもっと深く中国を紹介したいのか、分かりませんが、私はどちらにしても良い効果が得られるとは思いません。中国の実情を、客観的に詳しく報道したいならば、他にもっと良い方法があるはずです。今回のような、ショーを行うような方法は、ただ人々の税金を無駄にしているとしか思えません。

 記者:BBC放送局は上海で収録を行い、「問答時間」という番組を制作しました。しかし、この英語の番組は海外でしか放送しておらず、中国国内の人々はこの番組を見ることができません。このような番組をどう思いますか?一部の中国人はBBC放送局が中国で自由に番組作りが出来るようになるとは、10年前ではとても考えられないことだった、と評価しているようですが

 呉氏:中国がBBC放送局による中国国内での番組作りを受け入れた目的は非常に簡単です。即ち、中国が改革を行っており、対外的に開放したことを更にアピールしたいからです。しかし、実際は、中国共産党は厳しく新聞を封鎖しており、全ての番組に対して、非常に厳しい審査を行っています。英語の番組も同様に、中国共産党が許可しなければ番組の放送はできません。それでは、中国共産党が許可する番組の内容とはどんな内容でしょうか?それは、中国の改革、開放を賞賛するものであり、世界貿易を賞賛するものであり、中国のGDPはどれくらい上がったかを賞賛するものであり、中国の偉大な文明を賞賛し、その文明は中国共産党が作り上げたかのように宣伝する番組です。中国共産党はBBC放送局を自分達の改革開放の宣伝のために利用しただけに過ぎません。

 記者:中国共産党は海外において、自分達にとって不利な放送メディア、例えば大紀元新聞、新唐人テレビ放送局に対して制約をかけていますが、中国共産党はどんな手段を使っているのでしょうか?

 呉氏:中国共産党は海外の各社メディアのプログラム内容を左・中・右に分類し、左派の場合は新華社の新聞をメインに掲載させています。新華社に対する独占インタビューを載せたり、技術提携もフルに行ったりしています。中間派の新聞社に対しては、接待をしたり、相手の要求に合わせたりして、自分の味方にします。自分の立場を固持し、コントロールを受けない独立メディアに対しては、幾つかのやり方があります。一つは、自分達がコントロールしているメディアを使って、自分達の要求に従わない独立メディアが売国奴で、民族の裏切り者だ、などというでっち上げを宣伝させ、攻撃します。また、中国大使館はあらゆる手段を使い、地元の広告主たちに圧力をかけて、独立メディアが広告収入を得られないようにします。その他、各メディアの編集記者を接待したり、恐喝したりして、彼等が要求する内容の記事を書かせます。また、地元の政府側の力を借りて、そのメディアを孤立させたりもします。

 記者:呉氏も新唐人の番組をご覧になっていると聞きましたが、今回は欧州の衛星会社が新唐人との契約を破棄しました。それによってアジアの人々は、新唐人の番組を見ることができなくなりました。仮に、フランスでも新唐人を見ることができなくなったら、ご自身はどう考えるでしょうか?

 呉氏:フランスの「国境なき記者団」たちは、これは完全に中国共産党が背後で動いた結果だと発言しています。私も彼等と同意見です。「国境なき記者団」はきっと、あらゆる方法を使って、新唐人と衛星会社との間の契約が継続できるように働いてくれるでしょう。仮に契約の継続ができないにしても、契約中止の本当の原因を彼らが明らかにするでしょう。

 記者:新華社の記者として数十年間勤められてから、フランス放送局へ転職されましたが、現在、自由な国で働く記者として、両者の違いとは?

 呉氏:一つは、組織構造が違います。新華社の中には編集部及び編集委員会がありますが、同時に党委員会、各級の党総本部及び党支部があります。つまり、新華社は二重構造になっているのです。全ての重大問題及び人事問題、報道方針において、本当の決定権を持っているのは党委員会であり、編集委員会はただの見せ掛けに過ぎません。フランスを含む西側諸国には、このような二重構造を持つ新聞社はありません。西欧の場合は、まずダブル・ペイメントの資金がないから、記者はそれぞれが編集責任者でもあります。例えばフランス放送局の場合、担当する記者は編集と報道の全てを一人で賄う、責任制度になっています。また、フランス放送局はフランス外務省が出資した国際的な放送局なので、全ての報道方針について干渉はされません。私が定年退職するまでの間、誰からも私の記事内容が報道禁止になったとか、強制的に記事を報道させられた等はありませんでした。中国共産党は逆に中央宣伝部を使って、全ての新聞社及び放送局に対して指示を出しています。これが両者の大きな違いです。

 もう一つは、報道方針の違いです。最も大きな違いは、中国共産党の新聞機構は本当の新聞機構ではなく、宣伝機構であるということです。新聞機構とは全てのニュースを中心に、客観的に分析して報道しますが、宣伝機構とは政権を握る政党や国にとって有利であるかどうかを見極めてから、ニュース報道します。ニュース性より読者や視聴者をどう導くかが重要になっているのです。西側諸国では、事実が神聖であり、評論は自由にでき、人々の協同作業によってよい報道をする努力をします。西欧諸国では、それぞれの記者の原稿は他人の審査を受けず、直ぐに報道できるから、効率も高い。中国の場合は、記者の原稿は先ず編集部へ送られ、編集部から総編集室へ、総編集室から中央宣伝部へと転々と回されます。

(記者・成容)

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