欧州憲法否決・EU前途多難

2005年05月31日 21時55分
 【大紀元5月31日】5月29日に行われたフランスの国民投票は、賛成45%と反対55%の決定的な大差で、欧州憲法草案を否決する結果となった。フランスはEUの創始国およびEUの政治経済の主導国であるため、欧州憲法の否決はシラク政権に大きな打撃を与えるとともに、EUの将来における生産的発展に大きな影響を与えるとこが予想される。

 長い協議の道のりを経た後、ついにローマで署名された欧州憲法は、EUが去年5月に15カ国から25カ国に拡大された決議が出された後、欧州連合の発展規則として作られた。欧州憲法の制定は、EUの形式上の中央政府の設立、ベルサイユに統一された外交部および国防部の設置、および永久的な欧州総統と外交部長の職位を設立することで、統一された欧州共同外交政策の発展が図られていた。しかし今回投票の大多数の反対者たちは、「欧州合衆国」の設立は、ヨーロッパ各国の独立した主権を脅かしかねないと考えている。

 欧州憲法は全加盟国の投票可決を経て初めて発効するため、EUの25カ国の内の9カ国はすでに欧州憲法を可決したが、フランスの否決に続いて、6月1日にオランダで投票が行われる前の世論調査の結果、60%の有権者が欧州憲法に反対することがわかった。そのため、欧州憲法は一週間のうちに二つの主要国に否決されることになり、憲法草案は破棄される局面に追い込まれた。

 ヨーロッパ全体に関する憲法の投票には、失業率の上昇、経済成長の低迷および一連の社会改革の失敗などの、フランス国民がシラク政権に対する不満の影響が大きく見られる。2002年の仏大統領選に、極右派の候補者ルベンの当選を避けるため、意に反してシラクに投票した人々も、今回の憲法投票を、シラク大統領を懲罰する機会とさえも考えられている。

 ヨーロッパの巨頭であるフランスとドイツはEUの創始国として、ヨーロッパの核心としての地位を固め、政治政策を主導することで、アメリカと対抗できる同盟体の誕生を夢見てきた。欧州憲法は当初、ヨーロッパ各国を統合し、統一された外交政策を形成することで、ヨーロッパを世界のもう一つの巨大陣営にする狙いがあった。

 しかし、EUが25カ国に拡大した今日、共産主義国家の統治下の辛酸をなめてきた東欧諸国が加盟後、英米の政策および自由資本主義へ支持するため、仏・独の影響力および発言権が大きく制限されることとなった。欧州憲法は創始国のフランスの人民に否決された投票結果には、ヨーロッパの民衆たちは「超大国」の誕生ではなく、各国独自の伝統を維持した政治と外交を希望していることが伺われる。そのため、今回の投票は、仏・独の多極世界への夢想を幻滅させたとも言える。

(周山・総合報道)

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