日本政府、高齢者医療見直しも俎上に 前倒しで議論

2019/11/27
更新: 2019/11/27

[東京 26日 ロイター] – 政府は第4回全世代型社会保障検討会議(議長・安倍晋三首相)を開催し、年内にとりまとめる社会保障改革の「中間報告」に向けた議論を行った。年金の担い手を増やすための対象者拡大に加え、高齢者医療の給付と負担の問題も前倒しで議論した。特に、団塊の世代が後期高齢者になり始める2022年から医療費の急増が予想される一方、高齢者の医療費負担が軽いことが俎上に上がった。

医療に関する議論は当初、年内に結論を出す年金改革の次に本格化し、来年夏の「骨太方針」に盛り込まれる予定だった。だが、年内の中間報告に盛り込むことを視野に、今回議題となったとみられる。

会議で示された厚生労働省の資料によれば、65歳以上の高齢者は一人当たり医療費が年齢とともに増え、年間46万円程度から110万円程度まで徐々に増加していく。それにもかかわらず、自己負担は7―8万円でほぼ一定で推移するのは、高額医療費の負担限度額が70―74歳で2割負担、75歳以上は1割と低く設定されていることなどが背景にある。

民間議員らからは、後期高齢者の自己負担割合の在り方や、外来受診時の定額負担導入、市販薬で代替できる処方薬を保険の対象に含めるかどうかなど、医療費削減に関連するさまざまな論点が出されている。

特に医療負担については、収入が年金のみでも資産を持つ高齢者世帯などを含め一律に負担が低く、現役世代の医療保険制度を圧迫している。このため、高齢者の受診時の窓口負担額や高額医療費の上限などを見直し、応能負担への工夫なども必要だと言われている。

Reuters
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