【ニューヨーク通信】ニューヨークの住宅事情(その6)

【大紀元日本4月16日】アメリカの不動産問題については、世界中の専門家がいろいろな角度から分析調査して記事を書いていて、いまさら、素人の私があえて自分の判断で書くものではないとおもいつつも、去年自分のマンハッタンの家(コンドミニアム)を売る羽目になり、そして今年、新しい家(コンドミニアム)を買ったという事実と体験談は、どうしても書かなくてはならないという思いに駆られて、再度ペンをとってみる事にしました。

昨今のNYの新聞記事によると、去年まで強気だったマンハッタンの不動産も今年に入りとうとう値下がり(11%)して、不況の波が本当にここまで来たかと実感しました。

物件が市場に出てから、売買契約にいたるまで、平均170日で、これは日にちとしては、去年の同時期の16.5%増だそうです。(実は、私の場合は、そのおよそ倍の270日程かかりました。)

また、高級アパート1000万ドル(1億円)以上の販売件数が、去年の同時期の87%減というから驚きです。

今までいろんな意味で楽観的だったアメリカ人も9・11と今回の壊滅的経済不況がさすがに身に堪えているという思いがテレビやマスコミを通してひしひしと伝わってきました。使い捨てに近い消費を身につけていた(と思われた)アメリカ人が、物をすぐには買わなくなったのです。

天下に誇る大手企業が次々と破産するかしないかの瀬戸際に立たされるなんて、アメリカンドリームはどこへいったのかと思わずにおられません。

私の家(コンドミニアム)は、去年、自分の希望価格より、10%ほどの安値で手放しました。正式には、今年1月の売却になりました。私の担当の不動産屋さんからいわせると、それは旨くいったほうで、喜ぶべきで、売れなくて捨て鉢になった売り手の悲惨な話がいっぱいあるというのです。私からいわせると、もし、去年の早い時期4-6月ころに売れたら、割引などせずに高値で売れたのではと残念しきりです。物事は当然ながら自分の思い道理になどいかないものです。

反対に私が不動産を買う段になり、値段や条件などずいぶんと得をしました。マンハッタンの隣町のブルックリン区にあるウイリアムズ・バーグに新しい家(コンド)を購入しましたが、売り手の希望価格よりずいぶん安く手に入り、広さもあり、プラス・マイナスゼロといったところでしょうか?売値の15%の割引と税金などの特典があり、広さも他の物件の1.5倍でした。

私のこの10ヶ月程のアメリカでの物件売買の経験は、私が外国人ということもあり、本当に緊張の連続でした。

今回の売買契約に関してかかわってくださった弁護士は以前別件でお願いしたことのある日系3世の人だったとは言え、バリバリのアメリカ人ですから、契約に対する考え方が私とはずいぶんと違い、一番ひどかったのは一緒に組んでいた不動産のユダヤ人のあまりのふがいなさに私が解約したい由を伝えたときは、弁護士から電話で「あなたを訴えます」といわれてしまいました。

確かにそのときすでに、買い手が現れ物件を買いたいという仮の書類に契約した後のことでしたので、弁護士からすると当然だったのでしょう。しかし、私にとっては本当に冷や汗ものでした。

この10ヶ月間の売買に関する苦労は本当に口では言い表せません。このアメリカがかつて経験したことのないような急激な経済の破綻の真っ只中で、その渦巻きの中に巻き込まれてしまったと感じていたからです。

また、言葉の問題と、私自身に資金がなかったためいろんな意味で苦労がありました。もちろんアメリカ社会もごたぶんにもれず男尊女卑の感があり、女一人では、あまり真剣に取り合ってもらえないのが現実です。

いま現在、NY近郊では不動産抵当流れ物件ツアーが話題となっていて、不動産ローンを払えずやむなく物件が流れてしまった不動産が今買い手の脚光を浴びているというのです。先月、マンハッタンのジェイコブ・ジャビッツ・センターにて抵当流れ物件市がありました。少し間違えば私もその抵当流れの物件の中に入っていたかも知れなかったので、その話題を聞くとなんとなく落ち着きません。

ところで、私が新しく移り住む予定のブルックリン区のウイリアムズ・バーグは、若者に人気があり、芸術家やミュージシャンの多く住む町で、マンハッタンに劣らず、不動産の値段の高い地域です。

やはり新しく住むところは、人々の活気に満ち溢れ安全で便利なところが良く、そんな私の条件を十分に満たしてくれるのがこの町でした。それは、マンハッタン島からひとつ目のベッドフォードアベニューという駅で、日本の駅で言うと下北沢、三軒茶屋ってとこでしょうか。

そんな町へ近々移り住む予定で、気持ちを一新して新たなスタートを切ろうとしています。今まで、マンハッタンのグリニッチ・ビレッジのおしゃれな町でニューヨーカーとして便利に過ごしていた自分とはお別れです。

次回は、そんな若者の町、ウィリアムズ・バーグの町並みのご案内をさせていただきます。

(NY山崎)