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【ことばの豆知識】行李

 【大紀元日本4月8日】大風呂敷に包んだ「柳行李(やなぎごうり)」を背負って、置き薬の入れ替えに来てくれていた「富山の薬売りのおじさん」も、今ではとんと見かけなくなりました。帰り際に薬の名前の入った紙風船をくれるのを、兄弟仲よく玄関の側でしおらしく待っていたものです。

 行李柳(こりやなぎ)や竹、藤で編んだ「行李」は、軽くて通気性がよく、衣装ケースから弁当箱まで大小さまざまのものが使われていたようですが、こちらも今では民具資料館で目にするくらいです。

 ところで、この「行李」、本来は中国語で、他国への「使者」を指したのが、いつの間にか、「旅人」や「旅」を指すようになり、さらには、「旅の荷物」のことを言うようになったようです。現代中国語の『行李』はその「旅の荷物」義を引き継いだものです。

 一方、日本語の「行李」もほぼこの変遷をたどったようですが、日本語ではさらに、「旅の荷物を入れる箱」義に転じました。その箱が多くは行李柳や竹や藤で編まれたものだったことから、「行李」が専ら、柳行李や竹行李、藤行李のことを指すようになったものと思われます。

 「柳行李片荷は涼し初真桑」(やなぎごり かたにはすずし はつまくわ)(芭蕉)。弟子の洒堂(しゃどう)が、片方に旅の荷物の入った柳行李を、もう片方に芭蕉の大好物である真桑瓜を背負ってきたのを詠んだものです。

 ところで、我が家の柳行李は一体どこへ行ったのやら?

(智)


 (06/04/08 22:52)  





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