「毒性の疑いあり」低品質の手指消毒剤に気をつけて

手指用の消毒剤ハンドサニタイザー)について、製品にあまりこだわりがない人は、スーパーで適当な価格のものを毎回購入しているのかもしれません。

発がん性物質」の疑いがある製品

しかし、米食品医薬品局(FDA)がこのほど発表した「ブラックリスト」が消費者に教えてくれたことは、いくつかの製品については、消毒効果がなく、発がんの可能性もあるため、「購入前に製品名を見ることはとても重要だ」ということです。

FDAはこのほど発表したテストの結果、Artnaturals(アートナチュラルズ)が販売した無臭の手指消毒剤のなかに、「基準を超えた発がん性物質であるベンゼン、アセトアルデヒド、アセタールなどが含まれていることが分かった」と明らかにしました。

そのため、FDAは消費者にこの手指消毒剤を使うことを推奨していません。

当該の消毒剤は「Artnaturals Scent Free Hand Sanitizer Natural Elements +Cleansing Formula 8 fl oz (236 ml)」という製品名で、ボトルには「DIST. by artnaturals Gardena, CA 90248」という文字もあります。

アートナチュラルズは10月4日までに、製品のリコールの有無や有害製品の影響範囲などについて、FDAの質問に回答しませんでした。

そのためFDAは、この製品を「問題のある製品リスト」に入れることにしたものです。

FDAは2020年7月から、ウェブサイト上で「不適合」とされる手指消毒剤のリストを公開しており、これまで260種類の製品をリストアップしてきました。

その筆頭に挙げられているのは、メキシコの企業「Soluciones Cosmeticas SA de CV」が製造し、他の複数の企業が広く販売している製品です。

こうした当該の製品には、それぞれ異なる商品名のラベルが付けられています。

FDAによると、これらの手指消毒剤を生産する施設がホルムアルデヒドで汚染された他の製品を生産しているため、手指消毒剤も危険性を否定できないといいます。

特に、FDAはメキシコから輸入した手指消毒剤について、不良品率が高いことを理由に、今年1月、メキシコからの輸入をすべて禁止しています。

「良品であるか否か」購入前に調べることもできる

FDAのブラックリストには、いくつかの興味深い製品もあります。たとえば「American Screening Hand Sanitizer」という手指消毒剤がランクインした理由は、「飲料のような容器に入っているので、不意に口に入れてしまうリスクが高いから」と言います。

中国揚州オーランドの化粧品会社が手がけた手指消毒剤も2020年8月11日にランクインしており、その理由として、製品ラベルが「飲用可能なアルコール類」となっていることを挙げています。このブラックリストに載っている中国製品は、22種類あります。

一般的に、FDAがブラックリストを公開する主な根拠は、次の通りです。

1、FDAの試験で、メタノール、プロパノール、ベンゼン、アセトアルデヒド、アセタールなどの有毒または発がん性の物質が検出されたこと。

2、製品表示にメタノールが含まれている。

3、検査で微生物による汚染が見られた。

4、有効成分であるエタノール、イソプロパノールまたは塩化ベンザルコニウムの含有量が足らず、消毒効果が不十分であるため。

5、手指消毒剤を生産する施設で生産された他の製品から、有毒成分が検出されたため。

6、容器が食品飲料のパッケージに類似しており、誤飲のリスクが高いこと。

手指消毒剤を購入する際には、FDAのウェブサイトで「不合格製品」の検索ページにアクセスし、当該する商品名を入力して、購入前に安全性をチェックしてください。

なおFDAでは、もしもブラックリストに載っている製品を持っていたら流し捨てず、有害物質の容器に入れて廃棄することを推奨しています。
 

手指消毒剤の使い方と注意点

米疾病予防管理センター(CDC)は効果的なドライウォッシュについて、十分な量の消毒剤を手に取り、乾くまで手をこすることを推奨しています。
手が完全に乾くまでは、手を洗わないようにしてください。
さもないと、消毒効果が低下する場合があります。

手指消毒剤の有効成分はアルコールであり、通常はエタノール、イソプロピルアルコール、およびプロパノールが含まれます。

消毒の原理は、消毒剤の有効成分によって病原体のタンパク質を破壊することであり、かつそれらに薬物耐性を発生させないことにあります。

もちろん、乾式の手指消毒剤を効果的に使用しても、手洗いの代わりにはなりません。

CDCのウェブサイトによると、乾式の手指消毒剤では、原虫の一種であるクリプトスポリジウム、ノロウイルス、およびクロストリジウム・ディフィシレ菌などを死滅させないなど、いくつかの病原体に対して効果的とは言えないと述べています。

そのため、手の消毒には、乾式の手指消毒剤だけでなく、こまめに手を洗うのが一番です。

CDCでは、石鹸と水での手洗いを20秒間以上、特にトイレの後、食事の前、および咳、くしゃみ、鼻をかむ動作の後に手洗いをすることを推奨しています。
(文・劉景燁/翻訳編集・鳥飼聡)