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6月10日、G8財務相会合は世界経済の拡大を表明する一方、高騰を続ける原油価格動向や不均衡拡大をリスク要因と指摘し閉幕。写真は会合参加者(2006年 ロイター/Grigory Dukor)

[焦点]G8で原油高と世界的不均衡問題を協議、G7特別声明を再確認

 当地で9日から開かれていた8カ国財務相会合(G8)は、共同声明でエネルギー価格高騰と世界的な不均衡問題をリスクとして指摘したほか、原油高への対処として、産油国、消費国、マーケットそれぞれによる努力の必要性を盛り込んで閉幕した。 議論の中で、4月の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)での不均衡問題への議論を踏まえて、日米欧の改革を促すことを確認したが、資源高によるインフレリスクに金融政策で対応することや、世界的株安の議論については、中央銀行が参加していないため、突っ込んだ議論は行われなかった。

 <不均衡問題はG7議論を踏襲>

 世界的な不均衡問題は4月のワシントンG7で議論されたが、今回のG8財務相会合でも、エネルギー価格の高騰リスクとともに声明に盛り込まれた。不均衡問題は、中国と米国の間の経常収支の不均衡のほか、資源高で潤う産油国と、原油価格高騰がインフレ懸念や経常収支の悪化につながっている非産油国の間で不均衡をもたらしてきた。しかし、最近の株価下落など、新興市場国への投機資金流入の調整など、世界経済にとってはリスクになりかねない面がある。

 4月のG7では不均衡問題について特別声明が発表されたが、今回のG8ではそうした議論が確認された。谷垣財務相は会合後の記者会見で「不均衡問題については、G7の議論を再確認した。特段今までと変化のある議論が行われたわけではない」ことを紹介した。具体的には「米国の財政健全化、欧州のさらなる構造改革、日本の財政再建とさらなる構造改革を再確認したということ」と述べた。

 <原油価格高騰への対処、産油国・消費国・市場に対応要請>

 会合では、石油価格の高止まりが世界経済にもたらすリスクが主として議論された。原油価格は4月末から5月初めにかけて、WTI、ドバイ価格ともに史上最高値を更新し、4月G7以降も高止まりしており、世界経済への影響が懸念されるためだ。

 サウジアラビアと並び世界一の原油生産量を誇る議長国ロシアは原油価格の高騰でオイルマネーにより国家財政が改善している一方、世界の原油消費量の4分の1を占める米国では貿易赤字の拡大のほか、インフレ懸念や個人消費の減速懸念など、経済にも影響が及び始めている。

 共同声明では「世界経済は力強く拡大している」との見方を示したが、同時にリスク要因として「エネルギー価格及び世界的不均衡」を指摘した。石油価格動向が世界的なインフレ懸念を惹起し、主要国の金融政策の不透明感を高め、ひいては世界的な株式市場の下落を招いていることもあり、エネルギー価格の高騰による世界経済への影響が大きくなりつつあるという状況が背景にある。

 これに対処するため、今回のG8財務相会合では2月のモスクワでの議論を引き継ぎ、産油国には投資の促進、消費国にはエネルギー効率の向上、市場にはデータの透明性向上などの要請を共同声明に盛り込んだ。国際通貨基金(IMF)や世銀に対して、各国経済への悪影響緩和のための措置を求めた。

 また途上国の資源確保のための援助に関しては、別途声明を発表し、エネルギー・サービスへのアクセス向上を表明した。 

 <世界的株安やインフレ対処の金利政策の議論は限定的>

 最近の世界的な株安傾向は、資源高によるインフレ懸念や米国などの金融政策が不透明感を増していることも要因となっている。IMFのラト専務理事は「インフレ期待が若干高まっているとの認識が見られる」との認識を示したほか、株安は過熱是正の局面との捉え方を示した。谷垣財務相も、世界経済の構造変化に起因した株安ではないとしながらも「株式市場を注視する」との姿勢を示した。

 ただ今回のG8では、中央銀行が参加していないため、インフレ懸念への対処としての金利引き上げの問題については突っ込んだ議論は行われなかった。谷垣財務相は「従来の低金利が変化してきている状況をどのようにみるかは従来からG7などで議論されている」として、G8財務相会合で議論されなかったものの、問題意識として指摘した。

(ロイター6月10日=サンクトペテルブルク)

 (06/06/12 09:48)  





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