米議会の上下両院合同経済委員会は27日、中国経済に関する報告書を公表した。
中国経済が成長を維持する上で5つの大きな課題があり、不健全な銀行部門、経済の不均衡といった問題が解消されなければ、世界経済に悪影響が及ぶ恐れがある、と分析している。
報告書は、中国経済の課題として(1)少子高齢化(2)不正の横行、法の支配の弱さ(3)国有企業の財政ひっ迫(4)不健全な銀行部門(5)経済の不均衡──を挙げた。
同委員会のサクストン委員長は「中国経済は非常に急激なペースで成長しているが、こうした成長に中長期的に悪影響を及ぼしかねない多くの問題が立ちはだかっている」との声明を発表。
「中国政府は、こうした問題を一部認めているが、問題の解決には、中国の政治体制の側面を脅かすような大規模な構造改革が必要だ」と述べた。
報告書は、少子高齢化で労働力が不足し、低賃金を維持できない恐れがある、と指摘。不正が「横行しており、その代償は高い」とし、知的所有権の保護が必要な業種の成長が妨げられているほか、不正が社会不安の原因にもなっている、との見方を示した。
銀行部門については「政治的な影響力で資金を配分していることが、銀行システムの健全性・資本に悪影響を与えている」と指摘。民間の分析を総合すると、すべての問題債権が不良債権化した場合、その額は6730億ドルに達し、国内総生産(GDP)の27.3%に相当するという。
経済の不均衡については、大規模な政府の介入に加え、経済成長に対する輸出・投資の寄与度が持続不可能な水準に達していることを反映している、と分析。
報告書は「(中国の政策では)ここ数年の急激な成長を長期にわたって維持することはできないかもしれない」とし、中国が景気後退に陥れば、世界経済にも悪影響が及ぶとしている。
[ロイター27日=ワシントン]
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