安倍官房長官は5日、安全保障会議終了後の記者会見で、5日に6発のミサイルを発射した北朝鮮に対し、ミサイルの開発中止・廃棄・輸出停止を求めるほか、同国の貨客船「万景峰号」の入港禁止や、同国職員の入国禁止などの措置を講じると発表した。
政府は持ち回り閣議とその後開催した安全保障会議で、北朝鮮による弾道ミサイル・飛翔体発射を受けた当面の対応を決定し、安倍官房長官が発表した。安倍官房長官は、今回の決定は「日本および地域の安全に対する脅威に対し、国として抗議の意思を表明した」と語った。
具体的には、北朝鮮に対してミサイルの開発中止・廃棄・輸出停止を求めるほか、「万景峰92号」の入港禁止、北朝鮮当局の職員の入国を原則認めない──などとしている。
安部官房長官は、ミサイルを発射した北朝鮮側の意図について「定かではない」とし「さらなるミサイルの発射がないわけではないと認識している」と警戒感を示した。
また、北朝鮮のミサイル発射を受けて東京市場が株安・円安に反応しているが「あらゆる指数が日本経済の力強さを示しており、(ミサイル発射の)経済への影響はないと思う」との認識を語った。
北朝鮮によるミサイル発射を受けての当面の対応は、以下の通り。
1.対北朝鮮措置
1)引き続きあらゆるレベルで北朝鮮側に遺憾の意を伝えて厳重抗議すると同時に、再び行なわないことを申し入れ、ミサイルの開発中止、廃棄、輸出停止を求める。また、北朝鮮がミサイル発射モラトリアムを改めて確認し、それに従った行動をとると同時に、6者会合へ早期かつ無条件に復帰することを強く求める。
2)万景峰92号の入港を禁止。
3)北朝鮮当局の職員の入国は原則として認めないこととし、その他の北朝鮮からの入国についても、その審査をより厳格に行なうこととする。また、北朝鮮船籍の船舶がわが国港湾に入港する場合であっても、その乗員等の上陸については原則として認めない。
4)在日の北朝鮮当局の職員による北朝鮮を渡航先とした再入国は原則として認めない。
5)わが国国家公務員の北朝鮮への渡航を原則として見合わせると同時に、わが国からの北朝鮮への渡航自粛を要請する。
6)わが国と北朝鮮との間の航空チャーター便については、わが国への乗り入れを認めない。
7)北朝鮮に関するミサイル及び核兵器等の不拡散のための輸出管理に係る措置を引き続き厳格にとっていく。
8)北朝鮮による不法行為等に関し、厳格な法執行を引き続き実施する。
9)北朝鮮の対応を含めた今後の動向をみつつ、さらなる措置につき検討する。
2.国際社会における連携
1)日米間のハイレベルを含めあらゆるレベルで調整・情報交換など緊密な連携をとる。
2)国連安全保障理事会等において然るべき対処がなされるよう必要な働きかけを行なう。
3)6者会合関係国間、G8首脳その他のあらゆる機会を活用して、調整・情報交換を行なう。
[ロイター7月5日=東京]
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