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10月17日、東芝は、米ウエスチングハウス株式の取得完了を受け、原子力事業の売上規模を2015年に約7000億円、2020年に約9000億円に拡大させる見通しを発表した。写真は、会見した東芝の西田厚聡社長(2006年 ロイター/Toshiyuki Aizawa)

東芝、原子力事業を2015年に約7000億円に拡大

 東芝(6502.T: 株価, ニュース, レポート)は17日、米ウエスチングハウス(WH)株式の取得完了を受け、現在は約2000億円の原子力事業の売上規模を2015年に約7000億円、2020年に約9000億円に拡大させる見通しを発表した。東芝は当初、過半数の株式取得を目指していたが、77%(42億ドル)を保有。会見した西田厚聡社長は、持ち分を減らすために現在、内外の複数の企業と事業パートナーの交渉を進めていることを明らかにした。

 <アジアや北米での原発の建設ラッシュを期待>

 西田社長は会見で、WH買収により、東芝が持つ沸騰水型原子炉(BWR)の技術に加え、加圧水型原子炉(PWR)の技術も得るメリットを強調。「二つの炉型に対応できる世界的リーディング・カンパニーになる」と語った。

 西田社長は今後、地球温暖化問題を背景に欧米やアジアで原発の新規建設ラッシュが始まると説明。WHを加えることで、同社の原子力事業の売上規模は現在の2000億円から、2015年に7000億円、2020年に9000億円に伸長させると表明した。

 投資資金の4900億円は、原子力事業の大幅な伸びで17年で回収可能と発表。「場合によっては15年で回収ができるかもしれない。原子力事業は時間軸が長い。新規事業の増加を考えるとリーズナブルな期間」(西田社長)とした。

 <新たな事業パートナーと交渉中、三菱重工と話し合いも>

 当初、出資予定だった丸紅(8002.T: 株価, ニュース, レポート)が離脱したため、東芝の投資額は当初予定を1600億円上回る4900億円に増加。西田社長は、丸紅が早い段階から投資の意向を示していたため、優先権を付与したと説明。「6カ月も引っ張らず、もっと早い段階で意思表示をしてくれていたら手を打てた。まことに残念」と悔しがった。その上で、西田社長は「現在も内外の複数の企業と交渉している」と述べ、77%の持ち分を減らす意向を示した。

 西田社長は、4900億円の買収資金は借り入れで対応することを改めて強調し「エクイティー・ファイナンスはまったく考えていない」と述べた。調達した短期性資金は年内をめどに、長期性資金に組み替える。

 WH買収に伴う資金需要が他事業に与える影響について「(事業に)変更ない」と説明。今後も半導体や電子デバイスなどの成長事業は積極的な投資を続けるとした。

 西田社長は、WHと業務協力関係にあった三菱重工業(7011.T: 株価, ニュース, レポート)との協議を速やかに始めると表明。「三菱重工は、WHと長い関係があるので、友好的な関係が維持できればいい」と期待感を示した。   

 <業績上方修正、社会インフラが好調・為替差益も>

 東芝は同日、2006年9月中間期業績の上方修正を発表。連結営業益を前回予想の550億円から650億円に、税引前損益を同450億円から830億円に引き上げた。西田社長は「(発電プラントなどの)社会インフラ部門が好調に推移している」と説明した。また、為替差益や持ち分法適用会社からの投資収益も想定を上回ったとした。

[東京 17日 ロイター]

 (06/10/18 08:31)  





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