中国江西省学生暴動事件:学生暴動の背景を探る=RFA

2006年11月02日 08時42分
 【大紀元日本11月2日】江西省の2大学、ガン・ジャン職業技術学院、江西服装学院において大規模な学生暴動が発生した。学生が暴動を起こした直接の原因は、学校側が予め承諾していた卒業証書を、中央教育部門が許可しなかったために、実際には発行されなかったためであるという。RFAシェン・フア記者がレポートした。

 最近、私立学校が発行する卒業証書の問題を巡り、江西省の2大学で学生暴動が発生した。この背後にある深層の原因は何であろうか。また、現在の学生騒動と89年の学生運動の違いは何であろうか。

 以下は、記者が、孫文広氏(前・山東大学教授)と胡星斗氏(北京理工大学教授)を招き、討論を行ったものである。

 記者:まず、胡星斗先生にお伺いしたいのですが、あなたは、学生がこのように大きな不満を持ち、騒動を引き起こした根本の原因は何であるとお考えですか。

 胡星斗:主として、一部の学校関係者や一部の政府職員が、詐欺行為を行っていることです。彼らは、学生を募集する際には、内容を誇張し、多くの優遇条件を掲げるのですが、実際には、こうした優遇条件は根本的に実現できません。これは、近年における中国大陸の教育産業化によるものであることは当然です。大学もまた物質的利益を追いかけ、社会全体が「お金」だけを見ており、こうした要素がもたらした結果です。

 記者:しかし、このように、卒業証書で学生を騙すのは、非常に深刻なことです。なぜなら、学生が学校の試験を受けに来るのは、その卒業証書のためではないのでしょうか。では、どうして嘘をついて人を騙そうとするのでしょうか。

 孫文広:おそらく、当時は収入を得るためだったのでしょう。教育の産業化においては、多くの学生を募集することで、多くの学費が得られるのです。上がきちんと対応していない中で、これらの学校は学生の募集を開始しました。そして、募集をした後に上から圧力がかかり、あなたは資格要件を満たしていないとか、整理が済んでいないなどといい、これらの学校を締め付けるのです。ここに、詐欺的な性質が内在するのは当然のことです。

 しかし、現在発生している騒動は、一つの地方に限ったものではなく、多くの地方で発生しています。この大きな背景として、大学によるここ数年の募集拡大が、非常に深刻なものとなっていることが挙げられます。

 「南方週末」(10月29日付)は、西安郵電学院に関する記事を掲載しています。99年当時に募集した学生は、2000人余りにすぎなかったのですが、去年は、その数が1万4000人となっていました。6年で募集人数が7倍になっていたのです。こうして、多くの学生を募集した後、卒業の時期に、就職問題が発生するのです。

 記者:大学生の就職難は、学生の募集拡大後に発生した社会問題でもあります。就職難のほか、現在、卒業証書を卒業生全員に発行できない問題が発生しています。ロイターの報道によると、江西省の2校の騒動は、胡錦濤を非常に不安にさせたとのことです。胡星斗先生は、胡錦濤がなぜ不安を感じたとお考えですか。

 胡星斗:当然、これが、中国社会の安定に関わってくるからです。中国社会には、こうした不安定要素―貧富の2極化の問題、腐敗、官民の矛盾といった問題などが、確かに、数多く存在しています。

 記者:先ほど提起されたこうした社会問題について、学生の騒動は、比較的敏感な問題でしょう。私たちは、1989年の学生運動の最後に、政府が学生に対して発砲したことを知っています。その後、学校は、しばらく平静状態になりました。

 しかし、昨年以来、多くの学校で、学生騒動が相次いで発生しています。最近になって、学生が、不満の感情を公に発散し始めたことについて、胡星斗先生はどのようにお考えですか。

 胡星斗:多くの学生騒動が発生したわけですが、89年当時と比べると、幾分状況は異なります。89年当時も、人民は、腐敗を痛切に恨んでいましたが、当時は、主として政治的な騒動でした。今回、政治方面の原因は主ではありません。なぜなら、現在の学生は政治に対して余り興味を持たなくなっており、いくつかの、現実的な要因によるものです。

 孫文広:現在発生している一部の騒動は、学生の心の中に蓄積されてきた不満によるものであると思います。この不満は多岐にわたり、就職や高学費、他にも特権といったものがあります。

 例えば、就職について、誰の就職が難しいと思いますか。それは、農村からやってきた、いわゆる人脈、家柄のない人たちです。県党委員会書記の子供に、仕事が見つからないということがあるのでしょうか?ありません。皆、よい仕事が見つかるのです。こうしたことが、不満として蓄積され、見つけた口実を契機に爆発するのです。

 孫文広:89年以前、一部の大学では、一部の活動、一部の教師の思想が発揮機能したものです。

 記者:当時の教師の思想が比較的活発だったということでしょうか。学生に対し、一定の影響をもたらしていたが、現在の大学教師は、比較的厳しく統制されている、ということでしょうか?

 孫文広:はい、統制が比較的厳しくなっています。少しでも問題があるとすぐ学校を追い出されます。

 胡星斗:現在の大学生は、個人の利益しか考えていません。これは、必ずしも悪いことではありません。誰もが政治に熱中すれば、様々な不満が政治に向けて発散されれば、国家はすぐに動乱状態となるでしょう。一方、誰もが政治を完全に甘受する場合、あるいは、過度に冷めている場合、あるいは、社会において公民としての価値観、公民意識が欠けている場合、社会の発展は歪んだものとなるのは当然のことです。

 記者:では、貴方は、江西省の2校の学生が不満を発散させた行為に賛成しますか?また、これは公民意識の表れなのではないでしょうか?

 胡星斗:これは、必ずしも公民意識の表れではありません。しかし、現在の中国の問題は、民衆が言論を表現するルートが不足していることです。このために、人々は小さな事件を口実として不満を爆発させるのです。

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