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米中間選挙で民主党が下院掌握、経済政策への影響は限定的か

 7日投開票された米国の中間選挙で、民主党が下院の過半数を共和党から奪取した。ただ、アナリストは、民主党は連邦最低賃金の引き上げには成功するかもしれないが、経済政策の決定における急激な変化にはつながらないと見ている。

 民主党は1994年以来初めて下院で過半数の議席を獲得し、主要な委員長ポストを掌握、政策変更を求めていく上で一段と強固な基盤を築いた。ただ、共和党政権が続く限り、実際にそれを達成する余地は限られている。

 民主党は上院選でも議席数を伸ばしているものの、7日遅い時点でまだ過半数を確保するには至っていない。

 米下院歳入委員会の有力な委員長候補に挙がっているランゲル下院議員は、ポールソン財務長官の信頼を得るべく、同長官に「2007年の最初の数カ月間に、共同で対応できる幾つかの『簡単な仕事』や政策」を特定するのに力を貸してほしい」と訴えた。

 下院の民主党は選挙前から、連邦最低賃金の引き上げを大々的に公約している。

 アナリストらは選挙前、ブッシュ政権の残り2年間に民主党はそれなりの施策を推進していくことができると見ていたが、民主党と共和党の溝がかなり深いことから、法案審議は停滞する公算が非常に大きい。

 <市場は落ち着き保つ>

 7日の金融市場は、選挙結果の行方にかかわらず、税制の大幅変更は行われない可能性が濃厚との見方に支援されたようだ。

 米株式市場は続伸。ダウ工業株30種<.DJI>は51.22ドル高の1万2156.77ドル、ナスダック総合指数<.IXIC>は9.93ポイント高の2375.88で引けた。
ジョンストン・レモン(ワシントン)のポートフォリオマネジャー、デービッド・ストロース氏は「法案審議がこう着するという説は、大きな変化がなく、税制が定まることを意味している。ブッシュ政権が実施した減税措置は2010年ごろまで続き、いかなる大胆な政策変更にも拒否権が行使されるだろう」と述べた。

 連邦最低賃金は現在、1時間当たり5.15ドルで、1997年9月以来、引き上げられていない。この連邦最低賃金の引き上げは民主党が主要課題に位置付けるイニシアティブの1つであり、何らかの形で譲歩する余地もあり得る。

 半面、より広範な税制の問題については、変更は一段と難しくなる可能性が高い。特にブッシュ政権が2001年と2003に導入し、その多くが2010年に期限を迎える減税措置はそうだ。ブッシュ大統領はそれら措置の恒久化を狙っている。

 民主党は、減税措置の一部について再延長を受け入れる代わりに最低賃金を引き上げるなど、巧みな取引に出るかもしれない。


 <税制面での変化は限定的>

 民主党は、減税措置が財政赤字の拡大につながっていると非難しているものの、ランゲル下院議員は5日、Foxニュースのインタビューで、減税措置を撤回することは「悪い政策であり、悪い政治だ」と語り、それらを破棄する可能性を排除した。

 同下院議員は、代替ミニマム税(AMT)の撤廃を望むとしている。AMTはもともと、各種の税控除を利用している高所得者に一定の税負担をさせることを狙ったものだが、中所得層でも対象者が増えているのが現状。

 サントラスト銀行(アトランタ)の主任エコノミスト、グレゴリー・ミラー氏は、民主党が向こう2年間を2008年の大統領選に向けた準備期間に充てると予想。「税制の問題を取り上げ、議論を進め、所得が十分伸びていない中層階級にとっては失策と位置付けるだろう」と述べた。

 ただし民主党は、ブッシュ大統領が自身の推進した減税措置を後退させるようないかなる法案にも拒否権を行使することができるし、そうするであろうことも認識している。

 ミラー氏は「大統領が自身の減税措置から立ち退くとは思えない」とし、結論として今後2年間に大幅に財政政策が進む可能性はわずかだとの見方を示した。

 ブッシュ大統領が優先項目に掲げる社会保障制度やメディケア(高齢者向け医療保険)改革のような主要問題は、両党が歩み寄る可能性が小さくなることで、これまで以上に実現から遠のく公算が大きい。

[ワシントン 8日 ロイター] 

 (06/11/09 07:40)  





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