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キリンがメルシャンを買収、国内市場の成熟化で酒類事業を総合強化

 キリンビール(2503.T: 株価, ニュース, レポート)は16日、メルシャン(2536.T: 株価, ニュース, レポート)と資本・業務提携を結んだと発表した。メルシャン株式の過半数を公開買い付け(TOB)で取得し、連結子会社にする。買収額は247億9700万円。業務提携は、ワインの生産・販売の全機能をメルシャンに集約するとともに、焼酎・低アルコール飲料の販売機能をキリンに移管することが柱。国内の酒類市場が伸び悩む中で、ビールの代表的メーカーであるキリンとワインに強いメルシャンの両社は「国内最強の総合酒類グループを目指す」としている。

 キリンによるメルシャンTOBは、1株につき370円。発行済み株式総数の50.12%に相当する6700万株の取得を目指す。期間は11月17日から12月18日までの32日間。メルシャン株の大株主である味の素(2802.T: 株価, ニュース, レポート)は、所有する12.82%の全株式をTOBに応募して手放す方針。

 <メルシャンの上場は維持、買い増しの意思ない>

 キリンは、TOB完了後にメルシャンを連結子会社にするが、メルシャンの東証・大証への上場は維持する方針。来年7月にキリンが持ち株会社を設立した後は、キリンビール、キリンビバレッジ(2595.T: 株価, ニュース, レポート)とともに「キリンヒールディングス」の傘下に入る。また、キリンは来年3月のメルシャンの株主総会で役員を派遣する。

 会見したキリンビールの加藤壹康社長は、メルシャンの上場を維持することについて「ブランドを維持するためにいいことだ」と述べた。さらにメルシャンを子会社化した後は「岡部メルシャン社長には続投して(もらい)、経営を継続してほしい」と述べた。50.12%を取得するメルシャン株式について「現時点で買い増しの意思はない」との意向を明らかにした。

 また、加藤社長は、TOBの財務アドバイザーが三菱UFJ証券(8615.T: 株価, ニュース, レポート)であることを明らかにしたうえで、370円のTOB価格は「専門家の算定で決めた。適正だと思う」と述べた。

 また、メルシャンの岡部有治社長は、キリンビールの傘下に入ることについて「業務提携の効果を最大化する手段だ」と述べて、敵対的買収からの防衛策との見方を否定した。さらに岡部社長は、記者団が「キリンとの提携は、味の素との決別か」と質問したのに対して「大株主ではなくなるが、業務上の友好関係は保たれる」と答えた。その一方で「味の素とは同根の会社だが、これまでにシナジーを出せる場面がなかった」と述べたうえで、キリンとの資本・業務提携は「酒類事業のメルシャンの将来を考えるとベストの選択」と語った。

 <国内市場の成熟化に対応>

 酒類業界の推計によると、キリンの酒類別の出荷量(課税数量ベース)は、ビールはアサヒビール(2502.T: 株価, ニュース, レポート)にトップの座を明け渡し2位ながら、発泡酒や第3のビール、チューハイ・カクテルなど低アルコール飲料部門では首位。メルシャンは、ワイン全体ではサントリーに次いで2位だが、国産ワインに限定すると首位のポジションを保っている。

 両社は、ワイン事業と焼酎・低アルコール飲料の販売事業をそれぞれ集約してシナジーを目指すが、詳細は、今後の業務提携検討委員会で詰めていく。加藤キリン社長は、メルシャンが持つ焼酎の甲類免許など、キリンが持たない酒類免許を活用することで、柔軟な経営戦略が立案できることもメリットとして強調した。

 また、加藤キリンビール社長は、両社の資本・業務提携が、国内市場の成熟化の状況に対応したものであるとの考えを示すとともに「これから酒類事業を拡大していくうえで、海外が積極的に展開する土俵になる」と述べて、M&Aの手段を含めて、海外事業も強化していく方針を示した。

 [東京 16日 ロイター]

 (06/11/17 13:08)  





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