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ドル一段安ならマネーの流れに変化も

 4日から始まる週は、日銀の追加利上げの時期を読む上で重要な1週間になる。経済指標では7─9月期法人企業統計や7─9月期GDP2次速報、10月機械受注が発表されるほか、日銀政策委員の講演が複数予定されている。安倍首相と福井総裁との会合では利上げの是非をめぐって踏み込んだ意見交換があるとみられており、国内の長期金利が低下傾向を鮮明にしているだけに注目度は高い。

 海外では、利上げ決定が予想されている欧州中央銀行(ECB)の理事会があり、会合後のトリシェ総裁の発言次第では高値圏にあるユーロにも影響を与えそうだ。ドル安が一段と進行し米国の資産市場に影響を与えるようだとマネーの流れに変化が出てくることも予想されている。

 <内外マクロ経済関係>

 ●政府・日銀の定例会合、日銀政策委員の講演ラッシュも続く

 5日に安倍首相と福井日銀総裁の会談が行われる。これは、小泉前首相時代から行われている政府と日銀の定例会合ながら、成長戦略を掲げる政府と、金利の正常化を図りたい日銀の間で、12月利上げの是非をめぐる議論が予想される。

 また、5日に水野審議委員、6日に西村審議委員、7日に岩田副総裁と、日銀政策委員からの情報発信が続く。7―9月期法人企業統計やGDP2次速報、10月機械受注など重要経済指標の分析と併せて、利上げ時期を探ることになる。

 ●税制改正は与党に軸足移る、証券税制の軽減税率取り扱いが焦点

 政府税制調査会の答申がまとまり、07年度税制改正議論の焦点は本格的に自民党など与党側の議論に移る。焦点となっている証券税制の軽減税率見直しについて、政府税調は廃止の方向性を打ち出しながらも株式市場への配慮が必要とし、経過措置の適用を求めた。ただ、自民党税調では軽減税率自体の存続を求める声が大勢となるなど先行きは流動的だ。自民党税調は、14─15日の税制改正大綱のとりまとめに向けて議論が大詰めを迎える。

 ●株式市場はしっかり、国内景気の不安後退し下値切り上げへ

 東京株式市場は、しっかりの展開となりそうだ。国内景気に対する過度な不安が後退したことに加え、裁定買い残の減少やIPO銘柄の好調など需給面でも明るい兆しが出ている。週末には12月限先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出を控えているが、波乱を予想する声は少ない。米国株式市場が大きく崩れなければ、日経平均は1万6500円の節目を試すことになりそうだ。

 ●ドル一段安か、ECB総裁発言や米雇用統計に注目

 外為市場でドルは、一段と下落する可能性があると予想されている。7日に予定されている欧州中央銀行(ECB)の理事会では0.25%の利上げが実施される見込みだが、トリシェ総裁が会見で更なる利上げの可能性を示唆すればユーロ/ドルが高値を更新する可能性があるという。8日に発表される11月米雇用統計に向けて米利下げ観測が強まると、ドル安に拍車がかかりやすい。4日の7─9月期法人企業統計、8日の7─9月期国内総生産(GDP)2次速報などが予想を上回ると円高に振れそうだが、日銀が近く利上げを実施する公算であることはすでに織り込み済みでインパクトは大きくならないとの予想がある。冬のボーナスシーズンを前に大型の外貨建て投資信託の設定が多く、円高圧力を抑えそうだとの声も多い。

 ●円債は年内利上げの思惑で波乱含み、好需給も日銀委員の発言に警戒感

 円債市場は、波乱含みの展開が予想されている。12月国債大量償還や11日に取引最終日を迎える先物中心限月交代など良好な需給環境が意識され10年物最長期国債利回り(長期金利)は1.6%割れの水準で低下余地を探る場面もありそうだ。もっとも、追加利上げ時期に対する思惑が交錯する中、5日─7日の3日間連続で、日銀政策委員会メンバーの講演が予定されている。12月利上げを示唆する発言が出た場合、金利上昇圧力が強まりそうだ。

 [東京 1日 ロイター]

 (06/12/03 18:54)  





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