中国、国民福祉のほとんどない国

2007/01/02 08:15
 【大紀元日本1月2日】ここ2年くらい、イギリスを訪ねた人は皆「(イギリスは)中国と全然違いますね。イギリス人は金儲けの話など全く口にしません。彼らがよく口にするのは『福祉』しかないですね」と話す。

 現在、北欧の国々は「福祉国家」と呼ばれている。実に、いわゆる資本主義の故郷とされている西欧、特に資本主義の発祥地といわれるイギリスにおいて、人々が関心を寄せているのはもはや資本主義の初期段階の問題、たとえば労使問題や貧富の格差、あるいは余剰価値理論ではない。彼らが今最も関心を示しているのは、「福祉」という元々社会主義に属していた問題である。

 国民は政府に対して福祉を求めている。

 従って、政府(各党派)が国民からの支持を得たければ、「国民福祉」 を提供するのは当たり前のことだ。

 この点に関して、意外にも西側の「資産保有国家」は中国の「社会主義政府」とまったく対照的だ。

 過去と現在では、まさに天地がひっくり返ったかのように、世の様相は大きく変化した。しかし、わが国の教科書に載っている西側諸国についての記述は、基本的に変わっていない。実際、西側諸国は私たちが想像しているのとかなり違うのだ。

 北欧や西欧の裕福な小国の国民は、金儲けと言う願望をほとんど持たないという話をよく耳にする。それらの国を訪れる中国人たちが彼らに対し、より多くのお金を儲けたくはないかと質問すると、彼らは驚いたように、「私が金儲けをして何をするというのですか」と答えたそうだ。これは、私たちにとって考えもしない回答だ。われわれ中国人が理解できないところなのだ。

 質問された人は、「私たちの生活水準はとても高く、何でもあります。教育、医療はただですし、住宅(の所有権)も私たちのものです。隣近所との仲もいい。もし、給料から生活費を引いて、まだ余裕があれば、私たちは海外旅行に出かけます。残りのお金は全部使ってしまいますけど」と話した。

 彼ら北欧の人々には、 飢餓や貧困への心配がまったくないようだ。このような生活は一体どのような感じだろうか?これは以前、中国人がよく言った、あの極めてすばらしい「共産主義社会」ではないか?

 私から見れば、福祉は「人民の幸せ」 であると理解することができる。しかし、中国の経済学者たちは、福祉を「低効率」とか、「大鍋飯」(ダァグォファン、大きな鍋で作ったご飯を皆で一緒に食べること。社会主義体制下の一律平等のことを指す)とか、「政府の支出が収入より大幅に上回る」とか、「国が駄目になる」などと理解するだろう。

 昨秋、フランス政府は若者を対象とした新雇用制度(CPE)を実施したが、労働組合や学生を中心とする若者が強く反発し、その後各地で大規模な暴動が相次いだ。当初は強硬な姿勢をとったフランス政府は、結局この法案を撤回し、最終的に、国民が勝利を得た。その後、香港のテレビ局・鳳凰衛視の何亮亮氏は「今回(の紛争において)、フランスには勝利者がいないと思います。政府は新雇用制度を撤回したので、これから「大鍋飯」を始めるのではないでしょうか。だから、フランス経済には競争力がないと言えます」とコメントした。

 これが正に中国「主流経済学者」の考えだ。

 わが中国は、西欧及び北米各国と正反対である。現在中国は、人民福祉が完全にないといえるほどの国になった。国家の財政収入は、災害が発生した時など救済活動という「福祉」と関連するわずかなことに使う以外に、人民福祉に関わる大きな支出は全くない。義務教育においては、人民に学費を払わせているのではないだろうか?今、政府は小中学校の9年間を義務教育として無料にすると言っている。とりあえず、様子を見てみることにしよう。しかし、私は全国の小中学校が引き続き学費を徴収すると断言する。なぜなら、国家が支給するあの程度の補助金では、これまで貪り食ってきた校長や教師を満足させることができないからだ。 医療に関しても、国民の負担を減らすと政府は言い続けてきた。しかし、2年が過ぎた今、依然何も変わっていない。福利的住宅分配も既に廃止された。更に、政府は家賃の安い賃貸住宅を全く提供していない。政府は新就業者たちに対する住宅手当てに全く無関心だ。では、都市交通はどうだろうか?これも既に補助が廃止されている。中国の北部では冬になると、各家庭で白菜を貯蔵するのがならわしで、以前は国営企業が冬になると従業員に白菜を支給していた。今はこのような福利厚生もなくなった。北部都市の「セントラル・ヒーティング」問題に対する政府からの支出もない。熱力公司に支払う暖房費は一般的に使われている石炭ストーブにかかるコストより何十倍も高い。これが経済学の見地から考えて正しいかどうかはともかく、政府があらゆる「福祉」に使う費用を削減しようとしているのは明らかだ。

 政府がこれらのお金を節約し、何に使うのかは私には分からない。もしかすると、経済発展や何かのプロジェクト、或いは高層ビルの建設に使うのかもしれない。

 プロジェクト事業が多くなると、「少数の人」がお金持ちになる。そして、お金持ちの人々は洗練された高層マンションに住み、広い高速道路をスポーツカーで滑走する。実にすばらしい!中国の「改革」は実に羨ましいものだ!

 しかし、政府が直面しなければならない問題がある。もし政府が社会保障制度をなくせば、貧しい人の生活が一層厳しくなり、社会が不安定に陥りやすくなるのだ。生活の不安定な人が犯罪に走るケースは多い。 もし、仕事を失い、土地を失い、生計を立てる為の働き口が無くなった人が大量に現れ、彼らに対する充分な社会保障が提供されなければ、将来各地で暴動が起き、社会秩序は大きく乱れることになるだろう。

 中国の社会不安は国民が福祉、社会保障を一切得られないことに関係していると私は考える。

 一部の中国人は私の考えに賛成していない。彼らは、「あなたが言っているのは、ヨーロッパの状況です。中国人にとって理想の国はアメリカですよ。アメリカ人も中国人と同様に金儲けを考えているのではないですか?」と私に言う。

 では、アメリカ政府はどのような政策を採っているだろうか?

 アメリカにおいては、労働能力を失った者や失業者に社会保障を提供すること、老人や貧しい人に医療サービスを提供すること、貧しい人たちに簡易住宅と食物を与えることが政府の最も重要な責任であると考えられている。アメリカの政府支出において、政府の社会安全、福祉、また他の社会事業に投入した資金は最も多いのだ。それに次ぐ第二位の支出は国防費で、第三位が教育費用となっている。

 したがって、もし我々が以前のように「福祉」を「社会主義」のシンボルとするなら、我々はきっと、「アメリカすら、今日の『社会主義』を標榜する中国より福祉国家なのだ」と気づくだろう。

 アメリカでは、各地方政府が真剣に貧困問題に取り組んでおり、教会または富豪たちも多くのチャリティー活動に参加している。このように、各方面からの努力によって、アメリカの貧困問題や格差問題は中国の状況と比べれば、そんなに深刻ではないのだ。

 中国での状況は全く違う。政府は「改革」の看板の下、各種の社会保障や福祉を取りやめた。政府と一緒に行動している中国の富豪たちはどうだろうか。彼らの中には、「貧しい人には何も与えないよ!」と叫ぶ人さえがいる。

 多くの人は、「中国は社会主義であり、世界で唯一、正真正銘の社会主義国家なのです。従って、中国がどんなことをやっても、社会主義の範囲内のことです。外国人がどんなことを行っても、やはり資本主義のものです」と認識している。これは全くの誤解だといえよう。

 アメリカで30年近く生活をしてきた私の友人は「全世界の多くの国々は皆社会主義だ。中国だけが違う」と話す。

 中国の福祉の現状は、ここまで後退してきた。将来、何の問題も起こらず、中国の社会秩序が乱れることもなく保たれるならば、これはきっと大変おかしいことだと私は思う。

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