英国ジャーナリスト、中国経済発展の真相を看破=最新刊「THE WRITING ON THE WALL」

2007年01月17日 14時39分
 【大紀元日本1月17日】英紙「ガーディアン」はこのほど、「権力、腐敗、虚言」(原題:POWER,CORRUPTUION AND LIES)というヘッドラインで記事を掲載、英国の著名ジャーナリスト、ウィル・ハットン(Will Hutton)氏の最新刊「THE WRITING ON THE WALL」(Free Press Publishing社刊)の内容を引用して紹介した。ハットン氏は「西側は中国を一個の経済大国で、国際社会でひとつの地位を占めたとみなしているが、世人の中国に対する理解は買いかぶりで、北京政府に対する脅威の程度もはっきりとしておらず、その結末は憂慮に堪えない」との認識を示した。

 世人の誤解は、中国が快速な経済成長を遂げ、北京が共産主義を捨てて、資本主義に「宗旨替え」し、自称「社会主義自由路線」に鞍替えしたと思っている点だ。しかしよく観察してみると、中共は政治を独占しているばかりか、経済まで掌握している。資本主義の概念に付随する「自由財産権」と「企業自主権」は、現在の中国には存在しない。

 
ハットン氏の最新刊「THE WRITING ON THE WALL」

事実の真相は、中国で実施されているのは、北京のいわゆる「社会主義市場経済」ではなく、はたまた西側が認める資本主義経済でもなく、「レーニン式集団主義」の継子なのであって、党中央の専制政治により、経済と社会資本が統一された結果なのだ。しかしながら、専制政治には、制度の腐敗がつきもので、不穏、不公平、効率低下、官僚腐敗が原因で、政権は滅亡するだろう。その時、中国のカントリーリスクとして、各省は1910-20年代のように、群雄割拠し独立して、これの収拾のため新たな中央強権が誕生し、全国を掌握して経済開放路線がストップするだろう。このような状況の独裁者は、人心を集束するために侵略戦争を発動するだろう。台湾侵攻がもっとも考えやすい。このような状況を発生させないためにも、中国が平和的に資本主義にとりくんで、必要な制度を建設することは、中国と世界にとって利益のある重要なことだ。

 汚職腐敗は氷山の一角

 中国は早くも1990年代末から、官僚腐敗が日に日に目に付くようになり、それは党指導層にまで及んだ。2002年、当時の国家主席・江沢民は人民代表大会で、「もしわれわれが、官僚の腐敗を一掃できなければ、党と人民との信頼関係を損ない、ひいては党は政権を追われるばかりか、自ら瓦解するだろう」と報告した。政府の高官は、収賄、営利略取などで、次々に投獄されている。陳希同・北京市長はこのため牢に繋がれ、成克傑・全国人代副委員長は、土地転売により、収賄250万ポンド(邦貨:約5億円)で極刑に処せられた。そのほか、中国国家外匯管理局の李福祥・局長もまた、取調べ中に北京304医院から飛び降り自殺した。

 中国官僚の腐敗現象は、地方でも根深いものがある。1992-2001年の間、各省高官の入獄事情は、4倍に増えた。中でも甘粛省では、5億ポンド(約1000億円)の収賄が摘発された。北京高官の他にも、省長4人、省党委員会書記1人が、起訴されている。2006年、上海市委員会書記・政治局委員の陳良宇が、社会福利基金2億600万ポンド(約412億円)を横領して逮捕された。

 中国経済学者・胡鞍鋼氏の推算によると、90年代以来の累計で、横領された国家資産は、国内GNPの13・3%から16・9%の間であり、依然として現状は変わらない。一連腐敗案件の來源は、共産党高官による権力の独占と独立調査機関がないことである。結果、官僚腐敗は、共産党体制が継承する遺伝子のようになり、国家の命脈を断ち切ろうとしている。

 司法と監督規制の不健全

 中共社会をよく見ると、一党独裁の弊害は司法制度にまで及び、畸形の様相を呈している。その司法体制は、上から下まで政治色が充満して、法院の院長、副院長は党から任命され、予算は省政府が編纂し、その官僚体制はその他政府機関とまったく一緒で、党務委員会の各級が監督し、法官は常に党委員会もしくは政府の指示で判決を下し、法律に準拠し顧みることがない。

 さらに、きわめて多くの法官が、退役軍人をもって任じており、ただ党の命令に従うだけで、正式な司法専業の訓練を受けていない。このため、これらに汚職があると、人々は驚いて、耳目をそばだてる。2003年、全国の法官20万人のうち、794人が汚職によって審理を受けた。2003-2004年、広東、湖南の両省における高等法院・院長が、汚職により有罪判決を受けた。党は、勝手に審判に口出しし、警察の捜査立件にも権力で介入するので、案件が棚上げされたり判決が執行されなかったりする。このため、中国では、省高等法院の判決のうち、僅かに40%だけが執行されるにすぎない。哀れなのは、人民だ。

 中国には現在、新聞2000紙、テレビ局2000社、雑誌9000誌、ラジオ局450社があるが、いずれも北京の党中央もしくは省宣伝部門の監督下に置かれている。これらの機関は、毎日のように報道の方向を指示しており、通信社の記者が一旦これから離れて記事を書くと、解雇されたり牢に繋がれたりする。周知のとおり、中国では、記者42人が牢に入っており、これは世界最多。中国では、編集者は自らの「自己検閲」基準を大筋でもっているが、胡錦涛・現政権になってから、さらに締め付けが厳しくなり、優秀な編集者までもが「ヤリ玉」に挙がっている。「新京報」の編集者・楊・瓩蓮・005年に郷村地区の不公平な土地徴収を突撃取材したために解雇された。2005年、「ジャーナリズム保護委員会」は、政府各級が媒体に圧力を掛けている状況を指摘、「2004年に、中国の検閲機関は、媒体が国家機密を漏洩したという容疑で、刊行物338件、新聞202紙、非合法指定の通信社73社を閉鎖した」。

 2006年2月、中共の古参幹部3人、毛沢東の側近だった李鋭氏、前人民日報編集・胡績偉氏、前中共宣伝部長・朱厚澤氏らは、連名で書簡を出しこれを譴責し、「…歴史が証明するように、暗愚の強権政府こそ人民を愚弄し圧迫するために、こういった新聞検閲を行う…」と、これらの圧迫では社会の安定を図ることができず、後の災害を招くとの認識を示した。

 経済の病ももとを糺せば一党専制にある

 西側の人々の眼中にありながら、はっきりしていないことは、これらの官僚腐敗が経済に及んでいる事実だ。成功する商業には、それにふさわしい条件があり、経営責任者はその能力を発揮し、自由に創業する機会に恵まれ、製品を作り出し、自社ブランドを発展させ、販売を推進する。しかし、レーニン式集団主義では、自主的は不可能だ。共産党の利益は、商業的需求に重きを置いているために、一企業は党委員会から出された党国の需要を執行し、その結果、無数の中国企業が、政府の特権から制限を受けて、党国の目標に迎合し、破滅の命運に直面する。

 簡単に言うと、党国は、蜘蛛の巣を張り巡らした女郎蜘蛛のようだ。重要な経済戦略物資、鋼鉄、エネルギーなどの57部門、重いものから軽いもの、包装業や美容業まで、その需要まで手中に掌握している。しかし経済の通則からすると、企業は、政治的な庇護と監督を受ければ受けるほど、その生産効率と経営能力は落ちてくる。このため、中国が掌握する国営企業は、20年経過しても業績が伸びなかった。ある推算では、国営企業の工員三分の一が、構造上の欠陥からリストラされ、利率がわずかに上昇したものの、製品はわずかに値割れし、銀行ローンの40-60%が焦げ付いており、金融銀行体系の破綻が危ぶまれている。総じて、国営企業は災難の源だ。

 このような状況下では、私企業も追って知るべしで、悪い社会的風紀の影響を受けている。中国の大多数の私企業は、帳簿を三冊も持っている。一つは、対銀行用、二つには、対税務機関用、三つには、経営管理用だ。大多数の会社の経営機関は、たったの三年間で、その経営法則は、「虎穴に入らずんば、虎児を得ず」というリスクの高いもので、大金が入り次第いずこかに雲散霧消してしまう。中国では、偽造品業者の天国で、偽造品は、国内総生産の8%を占める。「知的財産権」の観念など、端から念頭にはなく、著名ブランド品の15-20%は、中国では偽造品だ。中国製品の60%は、偽造品であるため、米国の海運税関で取調べられ、押収されている。

 中国の経済成長は、数字的に目を見張るものがあるが、以上のようにその経済は脆弱なもので、背後には、レーニン式集団主義への崇敬がある。驚くべきことでもないが、西側は、中国のこうした欠点や脆弱性を見ようとしないばかりか、北京の脅威まで吹聴している。中国は、確かに新興の輸出大国かもしれないが、その本質は、西側の「御用聞き」にしかすぎない。その生産力は脆弱なものであり、世界的に優秀な製品を製造できず、また創造性にも乏しく、海外への輸出と海外からの直接投資にその成長が依存しているのが現状だ。このため、中国を「向かうところ敵なし」と表現し、西側国家を困窮させると説明するのは、全くの間違いだ。

 西側は、必ずや中国問題の所在とその政治経済動向の可能性を明らかにして、中国が経済的に孤立し、改革路線がストップしないよう、はっきりと認識すべきだ。西側の利益は、中国国内の混乱を避けることにあり、中国を合法的な国家体制にして、自由なグローバリゼーションの中で、世界基準に従わせることにある。このような政策目標は、達成が容易ではなく、実行はさらに難しい。このため、世界は「長い目」で見て、共同で未来の変化に対応すべきだ。そうしてこそ、世界に繁栄と安全が約束されうるだろう。

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