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中国人民銀行、外貨準備を人為的に抑制=ゴールドマン

 中国は、国有銀行に海外証券投資を奨励することで、外貨準備の増加を人為的に抑制している。米投資銀行のゴールドマン・サックスが調査の結果を明らかにした。

 ゴールドマン・サックスによると、人民元の上昇が続くなか、中国人民銀行(中央銀行)は、銀行を通貨リスクから保護する目的で、人民元の上昇率を年2─3%に設定して、中国銀行(3988.HK: 株価, 企業情報 , レポート)、中国建設銀行(0939.HK: 株価, 企業情報 , レポート)、中国工商銀行(1398.HK: 株価, 企業情報 , レポート)と総額400億─500億ドルの通貨スワップをアレンジした可能性があるという。

 2006年の中国の経常黒字が約2300億─2500億ドルで、海外からの直接投資が630億ドルであるのに対し、人民銀行が正式に発表した06年の外貨準備の増加は2470億ドルにとどまっており、この矛盾を説明しようと人民銀行ウォッチャーの間でさまざまな試みがなされている。

 表面上は、約600億ドルの投機資金が流出したことになっているが、これは人民元が今後も上昇し続けるとのほぼ一般的な見方に逆行する。

 この矛盾を説明するうえで、人民銀行が外貨準備の運用方法を公表していないことが挙げられるだろうが、ゴールドマンのエコノミストらは、中国の商業銀行が保有する外貨資産が06年に700億ドル増加したことにその解答があると指摘する。

 これは05年の増加分の2倍に相当し、商業銀行による外貨保有高は約1900億ドルと、銀行全体の外貨保有高の15%に相当する。

 06年上期の収支データによると、銀行は保有する外貨の大半を債券の購入に注ぎ込んだことが明らかになっている。

 ゴールドマンのエコノミストらは、中国の銀行が、商業的な見地から海外証券の購入を選んだとみるのは難しい、と指摘。中国の銀行は外貨運用を限定しているほか、人民元の上昇ペースが加速し始めた06年8月以降、海外証券投資による収益が減少しているため。

 また、銀行が外貨資産の保有高を積極的に増やす決定を下したのは、個人による外貨資産の保有が徐々に減少している傾向とは対照的なことだ。

 ゴールドマンのエコノミストらは、中国の現在のマクロ経済環境の下、商業銀行が外貨リスクへのエクスポージャーを増やした理由に注目し、人民銀行が通貨スワップで好条件を提示した可能性を指摘。人民銀行は05年11月に60億ドル規模のドルと元の通貨スワップを初めて実施して以来、スワップ取引に関する詳細を非公開としてきたが、ゴールドマンはその規模が400億─500億ドルに上るとみている。

 従って、06年にみられた投機資金流出の現象は、人民銀行によるオフバランスシート操作の結果生じたもので、この分を加えると、06年の外貨準備の増加は、人民銀行が正式に発表した2470億ドルではなく、実際は3000億ドルを大きく上回る可能性がある、とゴールドマンのエコノミストは説明している。

[北京 17日 ロイター]

 (07/02/19 11:57)  





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