中共権力闘争の新動向:胡錦濤が懸念する軍の不穏

2007年02月01日 10時01分
 【大紀元日本2月1日】第17次全人大(以下、「17大」)を控え、中共上層部の権力闘争が日増しに白熱化している。曽慶紅は、胡錦濤に国家主席の地位を譲るよう求める一方、胡錦濤と彼の御用ライターは、「民主は悪いものではない」の言論を打ち出した。他方で、軍隊の飛行機墜落事故が不断に発生している…。

 雑誌《動向》の張偉国・編集長は18日、大紀元の取材を受けた際、次のように述べた:現在、発生している多くの出来事は表面上関係がないように見えるが、実際は、一つの局面の中で動いている。これらは、相互に牽制、影響しあい、複雑に絡み合っているが、その手がかりを探ることで相互の関連や、背後にある本質を見極めることができる。既刊の《動向》誌は、胡錦濤が北海艦隊の演習を視察した際に、胡錦濤が乗った軍艦が砲撃を受けたが、この事件は、政変発生の火種がますます蓄積されており、中南海の龍座の下は、まさに噴火しようとしている火山口となっていることを示している。中共上層部は政治面において闘争を繰り広げているだけではない。既に、闘争は、実弾による人身への脅威や、軍事政変の兆候にまで及んでいる。

 17大の到来が近づくにつれ、軍隊各級の権力階層の調整も、既に日程に上がっている。2007年に胡錦濤が直面する難題は、国家と政権の安定に関る軍隊について、上層部の権力配分のみならず、13億の人民と不可分の関係にある軍人全体の状況についても解決しなければならないことである。

 張編集長の指摘によると、胡錦濤は現在の体制において、曽慶紅を軽視できず、体制から離れ、民間、社会において資源を獲得することによってのみ、曽慶紅と拮抗することができる。しかし、彼は、共産党の政治体制の中で培養された「温室栽培の花」であり、真に一歩を踏み出すことができず、口先だけで形式を装うことしかできない。政治改革を装いつつも、またこれに踏み出すことができない。このため、中共政治構造の慣性に身を任せ、中共の朽ち果てた生命の延長を継続し、せいぜい、国際統一戦線の広報宣伝をしているにすぎないのである。

 今月の《動向》(2007 年1月号)は、次のように指摘している:派閥を主体とする「青紅幇」は、既に各権力の枢要な地位についている。しかし、だからといって、胡錦濤・温家宝の執政能力が顕著に向上したわけでは決してない。彼らと上海幇(閥)や各政治的敵対者との交戦は続いており、ずっと膠着状態に陥っており、休戦することができない状況にある。胡錦濤・温家宝は、あちこちで歓心を買い、あちこちで苦難を訴えており、勝利宣言をすることができない。曽慶紅は既に、漁夫の利を得る位置にあり、火中の栗を拾ってくれるのを待っている。

 欽定の後継者であって、_deng_小平などの政治的強者が背後で支えることがなくなった時、胡錦濤が既に身動きが取れなくなっているのは明らかである。また、政治改革の封殺は、更に、その合法性の危機を突出させている。胡錦濤・温家宝は、一方で、多くの手段を用いて太子党、軍、実権派を篭絡し、一方で民主の看板を掲げて民意を利用して政治的資源の蓄積を図ろうとしている。他方、相手もまた、勢いに乗って攻勢に乗り出し、民主は胡錦濤自身から始めるべきで、例えば、国家出席を兼任しない、18大で総書記の差額選挙(候補者数が定員数を上回る選挙)を実施するといったことを求めている。

 中共が一党独裁を堅守するとともに、「崛起」に自己陶酔しているとき、香港は、大陸からもたらされる腐敗の影響に関心を持ち、台湾の政治要職者は政党の和解によって両岸の差異によってもたらされる衝撃を安定させようとし、日米軍事同盟の作戦計画が、再び東アジアをカバーすることとなり、《始皇帝》のオペラがニューヨーク・メトロポリタンオペラ歌劇場で上演されているとき、《やがて中国との闘いがはじまる(The Coming Conflict With China)》は、西方国家の政治要職者の必読書となった。サダム・フセイン等の独裁者の失脚は、中共当局者に対する警告としてはまだ不足していたのだろうか?人権活動の火が退役軍人の間で燃え広がり始めたとき、中国の謎はすぐに明らかにされるだろう。

 張編集長の見解によると、中国は大きな不確実性の時期に置かれており、中南海において、胡錦濤・温家宝は、中国が何処に向かおうとしているのかが全く分かっていない。こうした状況は、中国の「崛起」というより、むしろ中国が方向を見失っているというべきである。

 退役軍人が群衆事件のリーダーに

 《動向》特約記者の報道によると、社会矛盾が激化し、大きな貧富の格差が生まれている今日において、軍心の安定は、既に極めて大きな不確定要素となっている。退役軍人の人権活動は、社会群衆事件の直線的増加に伴い、中共政権の安定に直接的な影響を及ぼしている。

 2005年4月、06年5月11日、退役軍人が大規模に組織し、北京平安里にある中国人民解放軍総政治部に直訴した。中央軍事委員会退役軍人配置弁公室が下達した文件によると、全国で規模のある群衆抗争について、その70%から80%のリーダー、中心人物が退役軍人であったという。

 消息筋によると、全国各地の退役軍人の直訴の状況は、全て、直接中央軍事委員会に報告される。中央軍事委員会副主席・郭伯雄は、今年元旦の談話において、「退役軍人の直訴はますます深刻になっており、全国のほぼあらゆる地方、県において、配置の問題から騒動が発生している。海南、湖南における直訴は、武装蜂起と同様といってよいものであった。人権運動に係る大きな事件は、全て退役軍人がリードした騒動であり、退役軍人の直訴は、民衆、失業者に比べて激しく、組織化の度合いも非常に高く、全てをお金で決めており、中央の負担を非常に重くしている」。

 2005年10月、中共中央弁公庁、中央軍事委員会弁公庁は、共同で、《全国退役軍官の人権保護センターの違法活動に関する調査》と題する中央文件を下達したが、この組織の規模の大きさは驚異的なものであった。退役軍人の組織は、各省、各地区で既にネットワークを形成しており、統計によると、規模のある組織は、06年において、全国で104あった。

 《動向》の分析によると、退役軍人の直訴は、今までのところ、全てが鎮圧され、失敗に終わっている。しかし、彼らの人権活動は、現役軍人の広い支持と同情を得ている。なぜなら、現役軍人の94%が退役に直面しており、中国の下層部で荒れ狂う人権活動は、中国人民解放軍の軍心を直接に動揺させている。絶対多数の処遇が悪い退役軍人は、皆、共産党に騙されたという感情を持っている。退役軍人において、人材が次々と輩出されているが、彼らは、中国の未来を、手をこまねいて見ていることはないであろう。

 軍界の元老が江沢民の逮捕を要求

 今期の《動向》によると、江沢民、上海幇が民心を獲得できないことは、争うことのない事実であるという。

 昨年9月24日、胡錦濤は、「上海幇」のやり手である陳良宇を逮捕した。

 10月5日、元・中央軍事委員で、国防部副部長、賀龍の甥で、55年に称号を得た中将・廖漢生が死去し、10月13日に八宝山で遺体の送別が行われた。来訪者は非常に多く、90歳を越えた軍界の長老20人余りが、貴賓休憩室をほぼ満席にしていた。胡錦濤が中に入った後、目撃者によれば、休憩室において、中共の歴史上、かつてなく素晴らしいドラマが展開されたという。

 胡錦濤は、中に入ると、老将軍ら一人一人と握手し、挨拶した。その時、一人の老将軍が、「胡主席、貴方は陳良宇を逮捕した。よくやった!」すぐさま、全員が「よく逮捕した、逮捕は正しいことだ!」と声を合わせた。「貴方は、彼の後ろにいる主人も捕まえるべきだ!」「江沢民幇(閥)、上海幇を皆逮捕しろ!」「江沢民を逮捕しろ!」「彼らの処分に手抜かりをしてはならない。銃殺すべき時にすぐに銃殺せよ!」

 さらに、現場の一人が立ち上がり、胡錦濤の前に歩み出て、次のように語った。「貴方は大胆に行うべきだ。私たちの子供は皆軍長、艦隊の司令官になっている。私たち老人は、皆貴方を支持している!」

 これは、おそらく、胡錦濤が公の場面で遭遇したことのない場面であり、このように軍事に一生を捧げ、何も恐れるものがない老将軍は、全国に200人余りいるという。

 胡錦濤と軍の関係の内情

 《動向》はまた、次のように分析している。軍心の安定は、既に、2007年における胡錦濤の最重要課題となっている。胡錦濤にとって明らかなことは、反腐敗によって、老人らの「民心」を獲得することはできるが、その子供らの反応はそれとは異なるということである。現役の将軍に対しては、お金を使ってなだめるだけでなく、彼らの権力への野心をも満足させる必要がある。反腐敗を徹底すれば共産党政権は終結してしまうのであり、将軍らがこれを承諾することはありえない。

 元・海軍司令官である王守業の汚職、収賄、1億6000万元の公金を横領した大事件について、昨年12月22日に出された最終の判決は、4月28日の一審における2年の執行猶予付きの死刑判決を減刑し、無期懲役とするものであった。その原因は、4月以降の再審の過程で王守業を厳しく取り調べたところ、自白において言及された軍の上層部が数百名に及び、この中に、江沢民に対する500万元の贈賄が含まれていた。

 胡錦濤は、王守業を減刑したが、それは、主として、軍の上層部数百名が道連れとなるのを免じたためである。他方、罪が極めて大きい王守業を生き証人としたのは、江沢民に対抗するためである。

 張偉国:現在の体制では曽慶紅を超えられない胡錦濤

 張編集長の見解によると、曽慶紅は、軍隊の人脈関係が深く、太子党のリーダーであり、かつ、上海幇で最もものが言える。このため、その政治的実力は、胡錦濤と同等か、ひいては若干上回っているとさえいえる。しかし、曽慶紅にもまた弱点があり、それは主として年齢である。このほか、中共党内において彼に不満を持つ者の割合は高く、民意の指数もまた高くない。

 太子党は、共産党を自己の資本、財産、ビジネス、継承者としている。他方、平民出身の胡錦濤、温家宝は、彼らのために働き、単なる社長として彼らの管理を手伝っているにすぎず、「所有権」は、実際のところ太子党の手中にある。胡錦濤が過ちを犯せば、共産党に対する忠誠の有無にかかわる問題と見なされる。このため、胡錦濤は到る所で小心翼翼とし、薄氷を踏むかのように慎重に行動している。一方、曽慶紅は、たとえ過ちがあっても、それはやり方の問題にすぎないことから、思い切った手を打つことができる。

 胡錦濤は曽慶紅に対し、彼を用いたいと考えている一方で、自分が彼に取って代わられることを懸念している。曽慶紅は、自己の利益に従って胡錦濤、江沢民の間を取り持ち、上海幇に対しては、手を差し伸べては叩く一方、胡錦濤に対しては、公には好意を示し、背後で中傷している。曽慶紅は、胡錦濤が第一線で面倒なことを防ぎ止め、彼の利益と権力に影響が及ぼさないことを希望している。また、ある情報によると、曽慶紅は、既に「第二の権力の中心」を構築しており、ただ、胡錦濤が“挽回できない”錯誤を犯し、これに取って代わるのを待つのみであるという。

 現在、胡錦濤は矛盾の中にある。現在の体制において、胡錦濤は曽慶紅及び太子党を超えることができない。ただ、この体制の枠を離れ、民間、社会に出て政治資源を獲得することによってはじめて曽慶紅及び太子党と拮抗できる。しかし、彼は、共産党の政治体制の中で培養された「温室栽培の花」であり、前に踏み出すことはできない。彼にできることは、口先だけで形式を装うことであり、政治改革を装っても、実際の改革に踏み出すことはできない。このため、彼は、単に「太子党」の兵卒を演じているだけなのである。

 《動向》の報道によると、現在、軍隊において「太子党」が跳梁跋扈しており、各々が、「利益集団」のメンバーに属している。特に、幼い頃から一緒に育ってきた中将、少将らが同じ席で酒を飲めば、彼らは、ともすれば、罵倒したい人間を罵倒し、加えて、「今日席を囲んでいる者で、十分に政変を発動できる」と言ってしまう雰囲気になりがちである。

 張偉国:中共に幻想を抱くな

 張編集長の見解によると、現在における中国大陸の社会制度は、歴史の奇形児であり、専制社会主義と専制資本主義の混合体である。多くの民衆と党内の智者は全て反対派であり、今の党の核心である邪悪の道を進むことを堅持すれば、孤立と四面楚歌の中に置かれることになる。

 彼は、共産党の指導者に対し、幻想曲を歌ってはならず、袋小路を活路と見なして進まないよう忠告している。また、頭がまだはっきりしてない人に対し、幻想曲を歌ってはならず、専制主義者が悪から正道に立ち返ったという幻想を抱いてはならないと忠告している。

 張編集長の指摘によると、反精神汚染から反自由化まで、そして、六四虐殺(天安門事件)から法輪功の全面的弾圧まで、第四世代を代表する胡錦濤が最高権力を引き継いだ後になっても、人権運動を含む各種民間活動への統制の力は、ずっと増えこそすれ、減ってはいない。言い換えれば、中共の集権体制の本質は、根本的には変わってないのであり、やはり、反右傾化運動を発動した政治集団のままなのである。更に悲しいことに、中国の知識分子が50年前に断ち切られた背骨は、未だ治癒できておらず、かえって既得権者とグルになり、中共の政治体制と共に腐敗しているのである。

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