中国指導部、2005年度グリーンGDP報告書公表阻止

2007年03月29日 08時11分
 【大紀元日本3月29日】中国国家環境保護総局は今月、『2005年度中国グリーン国内総生産(GDP)報告書』を公表する予定であったが、中国上層指導部に報告書の公表を阻止されたという。自由アジアラジオ放送が伝えた。

 グリーンGDPとは、国内総生産(GDP)から環境汚染、公害による経済的損失や自然資源の減耗分を控除した「環境調整済国内純生産」(EDP、Eco Domestic Product)をいう。

 中国の政府系英字新聞『中国日報』(CHINA DAILY)によると、中国政府が実施している「中国グリーン国内総生産(GDP)統計研究プロジェクト」では、地方政府に対して、地方経済成長率などの経済指標を公表する際に、その中から環境汚染に関わる環境コストを控除しなければならないと定めている。国家環境保護総局は今月第3週に『2005年度グリーン国内総生産(GDP)報告書』を発表する予定であった。ところが中国国家統計局は、同報告書の発表は激しい論争を招く可能性があるとし、環境保護総局に対し、グリーンGDPに関する報告書を公表しないよう要求した。中国国家統計局は(今回のグリーンGDP報告書は)政府高層指導部への参考資料とするにとどめるよう要求したという。

 『中国日報』が入手した情報によると、国家統計局の環境保護総局への通知書では、「経験によって、グリーンGDPの理論や測定方法はまだ成熟していないことが証明された。プロジェクトの実施初期においては、乗り越えなれなければならない困難が多く存在する」と書かれている。

 中国のグリーンGDP報告書が中国国民の環境保護意識を向上できるかどうかに関して、四川省成都市に本部を置くNGO民間環境保護組織「グリーン・リバー」(Green River)の責任者である楊欣氏は「非常に役に立つと思う」と述べた。

 米国在住で中国環境問題に詳しい作家の鄭義氏は、「中国グリーンGDP報告書は中国高度経済成長の秘密を暴いた。それは、極めて安い人件費で外国から直接投資を誘致したことの他に、環境汚染に関わる環境コストを全体から控除しないことも、表面的に中国経済の見かけ上の繁栄という錯覚を生じさせた主要原因である。たとえば、一本の河が汚染により人々の健康を脅かす毒のある河となったとする。しかしその環境汚染損失と環境コストのほとんどは、経済産出の計算に入れない。そうすることによって、人々は収益しか見えないので、環境破壊によってもたらした損失を目にすることが無くなる。もし、誰か経済成長と環境コストを合わせて計算することができる者がいれば、その人はきっと中国のいわゆる高度経済成長の秘密を明らかにするができるだろうと思う」と話した。

 中国国家環境保護総局と国家統計局は2004年3月に合同で「中国グリーン国内総生産(GDP)統計研究プロジェクト」を開始した。2005年に中国全国約10の省・直轄市政府がこのグリーンGDP統計研究プロジェクトのサンプリング地域として参加した。各地方政府は環境汚染による損失を差し引き、グリーンGDPを試算する経済統計システムを取り入れ、各地方のグリーンGDPの算出を試みた。ところが中国日報によれば、地元の経済成長が鈍るのを心配し、当初プロジェクトに参加した10の省・直轄市政府からいくつかの地方政府がプロジェクトから脱退すると発表したという。2006年度において中央政府の制定した汚染拡大防止目標が達成されなかったことに関して、国家環境保護総局は、地方政府は環境保護よりも地方経済増長を重視している、と批判した。

 これについて鄭義氏は、「地方政府の官僚たちは地元の経済増長に関心を寄せている。それはすなわち官僚たちは自分の出世や金儲けにしか関心が無いということである。中国で政府官僚になることとは、大金を儲け、不正な手段でお金を貪れるようになることを意味している。不正な方法でお金を貪る秘密を暴露されるのを恐れたから、国家統計局はグリーンGDPを公表することに反対したのだと思う。地方企業は環境保護の費用の一部、権力を持つ地方政府官僚に贈賄する。そうすれば、その企業は汚染物を大量に出していても地方政府に庇われ、利益を出すために法的な規制を受けず思うままに汚染物を出し続けるのである。これは正に官僚と奸商が手を組んで国民の財物を奪おうとしている行為である」と指摘した。

 2006年9月、国家環境保護総局と国家統計局は合同で『2004年度中国グリーン国内総生産(GDP)統計研究報告書』を発表した。これはグリーンGDPに関する中国初の政府公式報告書となる。同報告書によれば、2004年度中国全国において発生した環境汚染は5118億人民元(約7兆7281億8千万円)の損失をもたらし、2004年一年間で16兆人民元(約241・6兆円)に及ぶ国内総生産(GDP)の3・1%を占めたという。また、『新京報』紙は、グリーンGDP統計研究チームの一人の研究員によると、『2005年度中国グリーン国内総生産(GDP)統計研究報告書』はすでに完成し、これによると2005年度の環境汚染による経済的損失とGDP控除指数がともに2004年度を上回った、と報道した。

(記者・林坪)


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