縁結びと神々の都

 出雲(上)

縁結びの神・福の神として名高い『出雲大社』では、昨年60年ぶりとなる「平成の大遷宮」が行われた。出雲には年に一度、全国の八百万の神々が参集すると言われている。全国では神様がお留守になるこの月を「神無月」と呼び、出雲に限りこの月に神様が集まるため「神在月(かみありづき)」と呼ぶようになった。毎年、秋が深まる旧暦の10月10日に神迎祭が行われる。

街の中には、あらゆるところに神話の中の神の像が建てられている。出雲の人々が文化や歴史をとても大切にしているのが感じられる。

出雲大社御本殿

(こずえ撮影)

福の神、縁結びの神様として知られる「出雲大社」は、日本最古の歴史書といわれる「古事記」にその創建が記されている程の古社で、明治時代初期まで杵築大社と呼ばれていた。

主祭神は大国様として馴染みの深い「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」で、「古事記」に記される神話・国譲りには、「大国主大神」が高天原の「天照大神(あまてらすおおみかみ)」に国を譲り、その時に造営された天日隅宮(あまのひすみのみや)が出雲大社の始まりだと言われている。現在の御本殿は延享元年(1744年)に造園されたものである。高さは24メートルで昭和27年(1952年)に国宝に指定され、平成20年から5年をかけて「平成の大遷宮」が行われた。60年ぶりに新しくなった御本殿は、江戸時代の大屋根に施されていた「ちゃん塗り」と呼ばれる特殊な塗装が再現されている。千木・勝男木の「黒」と、葺き替えを終えた真新しい桧皮の「茶」とのコントラストが美しい。

出雲大社は毎年200万人を超える参拝客で賑わっている。

出雲大社神楽殿

(こずえ撮影)

出雲大社境内を西の門から出て川を渡ったところに神楽殿がある。本殿と同じように朝夕のおまつりの他、御神楽や御祈祷が奉仕される。現在の建物は昭和56年に造営されたもので、その大広間は270畳敷きの広さを誇り、神社建築には珍しく、正面破風の装飾にステンドグラスが使われている。またここに掛かる注連縄は長さ13・5メートル、太さ8メートル、重量は4・4トンから成っており、日本最大級を誇る大注連縄である。

大鳥居

(こずえ撮影)

神門通りの宇迦橋のたもとに高大にそびえ立つ大鳥居。大正4年に建てられ高さは出雲大社御本殿より少し低い23メートルとなっている。柱の周囲6メートル、直径は2メートルの鉄筋コンクリートの鳥居で、中央の額は畳6畳敷き程の大きさである。

(文 こずえ)