印刷版   

武当山の道観(新紀元)

【世界遺産】武当山(中国)

 【大紀元日本4月13日】天下の名剣を巡る剣士たちの物語を描いたヒット作「グリーン・デスティニー」のラストシーンで、チャン・ツィイーが、断崖絶壁から身を投げるのが、天下第一と称される武当山(ウータンシャン)だ。道教の聖地と言われる武当山には、昔から多くの道士(道教の修行をする人)が集まり、仙人の境地を目指して修行を続けている。

 湖北省に位置する武当山は、別名「太和山」とも称され、西は秦峰山脈に接し、南は大神農架に臨み、その山脈は800km以上にも及ぶ雄大な山だ。道教で信奉されてきた「真武大帝」は、この山で修行して得道し、即日昇天した。「太和山誌」には、「真の武にして、これに当たらないところなし」という記録があり、これにより「武当山」という名が付けられた。

 武当派の創始者「張三豊」が、かつてここで草庵を結んで弟子たちと修行していた頃、「この山で即日昇天が見られたら、後に(聖地として)大発展する」と予言した。その後弟子たちが「善を守り、香を焚いて」、全国に教えを広めた。張三豊が創始した太極拳は、瞬く間に有名になり、その影響は後世まで深く浸透した。

唐太宗、五龍の祭祠を建設

 明の時代、武当山は皇帝の勅命により「大岳」「玄岳」として封ぜられ、地位は五岳諸山より上とされた。海抜は山頂の最高点で1,612m、周囲には72峰を擁し、36座の岩廟、24の洞穴など景勝地は多く、見事な極彩色画を見るような景観を誇る。道教は、中国特有の宗教であり、ゆえに中国には多くの道教名山があるのだが、その中でも武当山の斎宮は出色であり、これは明の宗祖「朱棣」が道教を崇敬してきたこととも関係がある。

 唐朝の貞観年間(西暦627-649)に、中国全土で大旱魃があり、太宗皇帝は武当山に官吏を派遣して、雨乞いの儀式を行わせた。すると五龍が霊験を顕わし、ほどなくして充分な雨が降ったので、勅命により五龍を祭祀する祠を建造した。

 宋・元の時代においても建築物は次々と建てられた。明の時代になり、藩王の朱棣が、「靖難の役」を発動して皇位を奪取、天下の民心を帰属させ、神武大帝の庇護があって自身が神霊から位を授かったことを示すため、即位後にも、武当山の土木工事を大々的に進め、神霊に報いようとした。

明の皇帝が道教を崇拝、斎宮を拡張増築

 史書の記録によると、永楽10年、明の皇帝「朱棣」は、武当山一帯の開発事業に大々的に乗り出し、隆平候の張信ら30万人を率いて武当山に進駐させ、14年の歳月をかけて、武当宮を大幅に増築した。建築物は個々に、峰、山並み、坂、崖などと適する位置に建造されており、自然の風景を借りて雄大かつ清涼、或いは「潔斎幽玄」「神仙一体」の境地にあり、自然と人文とが高度に融合した優美な景観を体現している。

 武当山の増改築期間中、朱棣は始終慇懃に、合わせて60以上の指示を直接に出しており、再三に渡り工事によって山脈を乱開発しないよう注意している。これは道教建築の一大特色として、道教の「自然崇敬」思想を体現しているからだといえよう。

 朱棣はまた、真武が皇室を保護する守護神として欽定し、武当山あるいは道教の神々を盛大に奉じる先駈けとなり、以降の明朝諸帝は、武当山を朝廷が祈祷を奉げる家廟として支持し、直轄領地として宮観を拡張し、「天下の第一山」として落成し、全国における道教活動の中心地とした。明朝の数百年で、武当山の信徒は、長江の南北は言うに及ばず、遠くには台湾、香港、東南アジアにまでその教えを広めた。

建築群の位置する仙境

 武当山の古跡建築群には、太和宮、南岩宮、紫天宮、遇真宮など4宮殿、玉虚宮、五龍宮など二宮殿の遺跡、各種の草庵、祠、廟など200余個所、建築面積は5万平方km、占地面積は100万平方km余りと、規模は膨大だ。

 武当山を歩くと、ふいに武侠小説に出てくるような仙境が目の前に現われ、空想の世界に入り込む。各宮観にまだ保存されている各種の模像、碑刻、岩を磨いて刻んだ題刻、法器、供器と大量の図書、経典などは、十分に貴重な文化遺産だ。

 1994年12月15日、武当山は古跡建築物として世界遺産に登録された。当時の評価は次の通りである。「武当山の古跡建築群に見られる宮・観・廟などには、中国の元・明・清、三代に渡る世俗・宗教建築の建築学と芸術の精華が見られる。これら建築群は、雄大峻厳な自然の中、風景画のような湖北省・武当山の山麓に位置し、明代の期間中に漸次その規模を拡大してきた。その道教建築群の中でも古いものは西暦7世紀に建てられたものがある。これら建築物はここ数千年来の中国芸術と建築の中でも最高水準だ」
紫霄殿(新紀元)
紫金城東天門(新紀元)
武当山の牌楼(新紀元)
南岩宮(新紀元)
カップルが錠前に二人の名前を刻み、それを天柱峰の鎖に取り付け、鍵を絶壁から投げ捨てれば、二人の愛は永遠に続くと言い伝えられている。(Getty Images)
(新紀元)


 (07/04/13 21:21)  





■関連文章
  • 日本国債の海外説明会を4月16日から中東で開催=財務省(07/04/05)
  • 国連安保理、イランの英兵拘束問題で「早期解決求める」声明発表(07/03/30)
  • 2千万人中共脱退の大波直撃  中共解体間近(07/03/26)
  • 中華文化にみられる「天人合一」(07/03/12)
  • 中国伝統の美徳「孝順」(07/03/11)
  • 中国雲南省:乱開発の禿山にペンキを大量噴霧して「緑化」(07/02/18)
  • インターネットで「給与明細の公開」流行、拡大する収入格差浮き彫り=中国(07/02/08)
  • 香港当局:中国大陸の妊婦に、出産予約証新措置を実施(07/02/05)
  • 年末年始日本の風景:東京原宿・明治神宮「全国一の参拝客数を誇るメガ神社」(07/01/03)
  • 中国:新「旅券法」、2007年元旦より実施(06/12/31)
  • クシニッチ米下院議員、次期大統領選への再出馬表明(06/12/13)
  • 中国の人権活動家ら、COHRE「居住権擁護賞」受賞(06/12/09)
  • メル・ギブソン最新作、「アポカリプト」が高評価(06/12/02)
  • 中国社会保健基金:深刻な不正流用、約1千億円使途不明(06/11/28)
  • 国連安保理が北朝鮮核問題で議長声明採択、核実験に対する行動を警告(06/10/07)