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インタビュー:欧州勢の日本株への姿勢後退=草野グローバルフロンティア

 海外投資家の動向に詳しい草野グローバルフロンティア代表取締役、草野豊己氏は、対円でユーロが史上最高値をつけたことを受けて、ヨーロッパ勢の日本株に対するスタンスが一段と弱まりそうだとみている。今の日本株市場が欧州勢の得意とするファンダメンタルズからのアプローチになじまないM&Aにらみの展開になっていることもあり、長期スタンスの投資家中心に日本株投資を縮小しているという。

 インタビューの要旨は以下の通り。

 ――ユーロが対円で史上最高値をつけたが、欧州勢のスタンスに変化は出るか

 「日本株は円ベースでみても、海外株式に比べてパフォーマンスが悪い。ユーロ高/円安の進行でユーロ建てのパフォーマンスはさらに悪化している。このため、日本株に投資するよりは為替リスクのない欧州株やパフォーマンスのよい新興国株に資金を振り向けることになるだろう。欧州勢のパフォーマンスをみると、日本株に多く投資している投資家ほどベンチマークに負けている。今後のカントリー・アロケーションを考えるにあたって、日本株のウエートを減らすことはあっても増やすことはないだろう」

 「今の日本株市場のトレンドも、欧州勢の投資手法になじまない。彼らは業績主体のファンダメンタルズ・アプローチで銘柄選択をするケースが多く、中小型株も得意だ。しかし、今、人気化しているのはM&A期待のある銘柄と大型株。彼らのパフォーマンスは日本株に関するベンチマークにすら負けているものが多い。株式市場でのM&Aブームは世界的なものだが、投資手法によって明暗が分かれる結果になっている」

 ――世界的な株式市場でのM&Aブームは、投資家にとってどういう意味を持つか

 「勝ち負けがあらかじめ決まっているゼロサム・ゲームだ。勝つのはM&A前に勝負をかけるヘッジファンドなど短期の投資家。負けるのは、M&A後もその企業の株式に投資する長期の投資家。M&Aプレミアムが上がりすぎたことが原因だ」

 「昨年で約3割といわれたM&Aプレミアムは、今年に入ってさらに上昇している。これを取りにいくことで、イベント・ドリブン型などのヘッジファンドのパフォーマンスは好調だ。一方で、短期の投資家が先食いしたプレミアムをその後負担していくのは、M&A成立後もその企業に投資し続ける長期の投資家。彼らの多くは業績をベースに株式投資をしており、M&Aプレミアムは対象になりにくい。長期投資家が割を食う構図になりがちだ」

 ――M&Aブームやユーロ高が日本株投資に与える変化は

 「欧州系を含めて海外年金などの長期運用を担当する運用機関で、日本株へのアクティブ投資を縮小する動きが出ている。ベンチマークに勝てずに運用資金が流出しているためだ」

 「こうした現象は、ヘッジファンドにも及んでいる。もともと、日本株特化型のヘッジファンドは中小型株に強くファンダメンタルズ・アプローチを取るファンドも多かった。今の株式市場のトレンドと反対だ。今年の第1・四半期のヘッジファンドへの資金流入は、すでに昨年1年間の流入額の半分程度まで膨らんでいるが、日本株特化型に関しては資金流出になっている」

[東京 16日 ロイター]

 (07/05/17 11:09)