追加策速やかに、新規感染100人以下を目指す 緊急事態延長で首相

2020/05/04
更新: 2020/05/04

[東京 4日 ロイター] – 安倍晋三首相は4日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の実施期間を31日まで延長すると正式表明したことを受けて記者会見し、休業要請などで困窮する中小企業の家賃支援など追加の経済対策を速やかに講じると明言した。10万円の一律給付金について第二弾を行うかどうかは、状況を見極めて判断する姿勢を示した。

国民に負担を強いる緊急事態を当初の期限である6日に終了できなかった点については「責任を痛感している」として、陳謝。今後、1日の新規感染者数が100人を下回る水準まで減少させることを目標と掲げた。

また、治療薬として期待されるアビガンについて、今月中の薬事承認を目指す考えを示した。

<緊急事態延長「先頭に立って努力」、政治責任否定>

安倍首相は、多くの事業者の廃業や失業者数の増大が予想されているなかで緊急事態宣言の実施期間を当初予定の6日に終了できなかった責任を問われ、「責任を痛感している。お詫びする」と述べた。一方で、現在の流行を終息させ、備えを万全にするため、(延長された5月の)1カ月間、「目的に向かい、先頭に立って努力していく」と強調。責任論をけん制した。

目標としていた人と人の接触の8割削減に関しては、駅や歓楽街などでは目標以上の削減が達成できていると国民の協力に感謝を示した。一方、「医療現場の過酷な状況を踏まえ、新規感染者数を100人以下に抑える必要があると判断した」と説明した。

4月30日に成立した2020年度補正予算では、不十分として与野党から要望の出ている雇用保険制度の拡充、雇用調整助成金の上限金額引上げ、飲食店・小規模事業者の家賃負担軽減やアルバイト学生支援に関し、「与党における検討を踏まえ、速やかに追加的対策を講じる」と明言。20年度2次補正予算の議論に前向きな姿勢を示した。

公明党の強い要請で補正予算に盛り込まれた全国民一律10万円の現金給付の第二弾の実現性を問われ「事態の推移や状況等を十分見極めながら判断したい」と回答した。 

<PCR検査拡大、「本気でないということはない」>

新型コロナへの効果が期待されるインフルエンザ薬アビガンに関し「すでに3000例近い投与で臨床試験を着実に進めており、有効性が確認されれば、薬事承認をしていきたい。今月中の承認を目指したい」と強調した。

レムデシベルに関しては、「本日特例承認を求める申請があった」とし、速やかに承認する考えを示した。

PCR検査の実績が少なく、1日1万5000件の処理能力があるにもかかわらず1日8000件程度にとどまっている理由を問われ、「本気でないということはない。私も件数が少ないと思っている」と述べ、都内にPCRセンターを20カ所設置する計画などを説明、検査拡充を進める姿勢を強調した。

人と人の接触を減らした状態で経済活動を徐々に回復させる一環として、商店やレストラン、小規模イベントの開催などに関連し、「今後2週間を目途に事業活動を本格化するための詳細な感染予防策のガイドラインを策定する」と述べた。

新型インフルエンザ対策特別措置法について、国の権限を強化し罰則を設けるなど法律を見直す考えはあるかとの質問には「どうしても必要なら検討する」と述べた。

Reuters
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