トランプ氏、中国主席と6月会談へ 貿易摩擦激化で世界株安

2019/05/14
更新: 2019/05/14

[ワシントン/北京 13日 ロイター] – トランプ米大統領は13日、来月の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて中国の習近平国家主席と会談する考えを示した。一方、両国間の貿易摩擦は激化し、世界の金融市場に不安感が広がった。

中国は同日、米国からの600億ドル相当の輸入品に対する追加関税を最大25%に引き上げる方針を発表。米政府が10日に発動した2000億ドル分の中国製品への関税引き上げに対する報復措置で、冷凍野菜や液化天然ガスなどを対象に6月1日から実施する。

この日はまた、米通商代表部(USTR)が新たに約3000億ドル相当の中国製品に最大25%の追加関税を課す可能性について、6月にパブリックヒアリングを開くと明らかにした。対象品目リストには携帯電話やノートパソコンが含まれるが、医薬品やレアアースは含まれないとした。

米中の関税合戦は際限なく激化する様相を呈しており、ここ1週間に株式市場は大きく売り込まれた。MSCI全世界株指数はこの日、1.9%安と、5カ月超ぶりの大幅な下落率を記録。中国人民元は12月以来の安値を付け、原油先物も値を下げた。

トランプ大統領はホワイトハウスで、6月下旬に日本で開かれるG20首脳会議で習主席と会談する意向を示し、「何かが起きるかもしれない」と述べた上で、「恐らく非常に有意義な会合になるだろう」と見通した。

中国外務省によると、王毅外相は訪問先のロシアで、対米協議は「一方通行」ではなく、平等の原則に基づいて行う必要があるとの認識を示した。双方の交渉団は「互いの妥当な要求に応じ、最終的に互恵的でウィンウィンの合意に達する能力と見識がある」と強調した。

米政府が計画する新たな対中関税は3805品目が対象となっており、パブリックコメント(意見公募)の期間はこれまでの対中関税導入時よりも短いものとなった。このため、習主席との会談までにトランプ氏が関税発動を指示することが可能になるかもしれない。

一方、貿易摩擦によって米国の中国向け大豆輸出が激減し、米大豆先物が10年ぶりの安値を付けており、米農家は痛手を被っている。トランプ大統領は13日、農産品が中国による対米報復関税の影響を受ける可能性を踏まえ、米農家に対する150億ドル規模の支援策を計画していることを明らかにした。

中国外務省の耿爽報道官は同日、同国が海外からの圧力に屈することは決してないと強調。国営テレビ局は、米関税の中国経済への影響は「完全に対処可能」と解説している。

トランプ大統領は対中関税の引き上げについて、米国の消費者が代償を支払うべき理由はないと強調。ただ、エコノミストや産業コンサルタントなどは、米企業が代償を支払うことになり、小売価格に転嫁する公算が大きいと分析する。

ゴールドマン・サックスのエコノミストらは調査ノートで、新たなデータに基づくと、米国の昨年の対中関税では、中国の輸出業者が価格をほとんど割り引かなかったため、米国の企業と家計が全面的に負担を負う結果になったと指摘している。

*情報を追加しました。

Reuters
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