伝説のアーサー王と円卓の騎士 神秘的なブロセリアンドの森(上)

フランスのブルターニュの中心部にあるイルエビレーヌ県西部にパンポールと呼ばれる町があり、そこから近いところに、あの神秘的な魔法の森-ブロセリアンドの森があります。その森は多くの有名な神話や伝説に何度も登場したことがあり、中でもアーサー王円卓の騎士の物語が一番有名です。

ブロセリアンドの森はブルターニュで最大の森であり、中世の頃、現在よりも広く、ブルターニュ半島の中心部を覆っていました。言い伝えによると、アーサー王は円卓の騎士に森に隠された聖杯を見つけるよう命じました。アーサー王の先生であった魔術師マーリンはこの森を自分の裏庭として指定していました。

歴史上、ブルトン人の先祖は4世紀から6世紀にかけてイングランドから海を渡ってきたケルト人でした。ブルターニュ半島はイギリス海峡によって隔てられ、1532年にフランスの領土となったのです。パンポールはブルターニュ地方の中心都市の南西にある非常に静かな町です。

この町は中世の雰囲気が強く、町のほぼ全ての店がアーサー王と円卓の騎士で飾られています。美しい「湖の姫」ヴィヴィアンとゆかりのある邸宅はアーサー王の博物館に変身しました。

この町には多くの観光客が訪れていますが、あの神秘的な魔法の世界を全く騒がせていません。おそらく、善良で素朴なブルトン人が様々な伝説に対して固い信念を持ち、その上、ブルターニュの独特な自然風景により、ここには確かに私たちには見えない魔法の世界が存在していると人々に思わせています。
 

アーサー王の伝説

アーサー王と円卓の騎士の物語はブルターニュ地方に広く伝えられており、伝説のアーサー王に関する物語の一つがブロセリアンドの森の中で繰り広げられた。

1世紀の頃、かつてイングランドを支配していたケルト民族がローマ帝国に支配されましたが、6世紀以後、ゲルマン人の侵入により、ローマ帝国は徐々に衰退していき、ついにイングランドを支配出来なくなったのです。

伝説のアーサー王はケルト人の英雄であり、神が定めた聖なる王とされていました。その時代はゲルマン人の侵略の時期であり、ユーサー・ペンドラゴン王が亡くなったばかりで、国内の状況は混乱し、大臣たちは自分の権利と利益を取るため内紛が起こりました。騎士たちは魔術師マーリンに助言を求めました。マーリンはこのように言ったのです:ロンドンには神秘的な石があり、その石には聖剣が刺さっている。その聖剣を抜き取れる者こそ、イングランドの王だ。

これを聞いた騎士たちは相次いで挑戦しましたが、しかし、剣はびくともしませんでした。数年後、1人の騎士はマーリンに命じられて、アーサーと一緒にロンドンのある競技を見に行きました。わくわくしていた騎士は自分が剣を持っていないことに気づき、これを見たアーサーは剣を探しました。石に刺さった剣が王を定める聖剣であることを知らなかったアーサーは、軽々と石から剣を抜き取り、それを隣にいる唖然とした騎士に渡しました。このため、アーサーは王位継承者となったのです。

円卓の騎士

円卓の騎士とはアーサー王に従って戦う12人の騎士のことであり、会議の際、円卓の周りに座っていたことで名付けられました。アーサー王は円卓の騎士を率いて、キャメロット王国の英雄の伝説を作りました。

マーリンはこのように言い放ちました。勇敢なる円卓の騎士よ、きみたちは平等な関係だ。これからの道のりで、侵略者を撃退し、弱者を守り、傲慢な者を懲らしめるのだ!

騎士たちは勇敢にアングロ・サクソン人の侵略を撃退し、自分の領土を死守しました。この場面はブロセリアンドの森で起こったのです。

アーサー王と円卓の騎士はベイドン山の戦いでゲルマン族に属するサクソン人を打ち破り、イギリス諸島とブルターニュ半島を含む領土を統一し、代々の子孫に語り継がれていく伝説を作り出しました。

(つづく)

(翻訳編集・季千里)