渤海湾原油流出 事故発表「遅すぎる」 韓国、海産物の検査強化 

2011/07/11
更新: 2011/07/11

【大紀元日本7月11日】渤海湾海域で1ヶ月前に発生した中国油田の原油流出事故について、中国政府は周辺840平方キロの海域が汚染されたと公表した。関連海域では魚介類と海底植物の大量死が報じられている。

また、発生1ヶ月後に中国政府が事故を正式に公表したことに、韓国を始め周辺国から非難の声が上がっており、韓国政府は関連海域からの輸入海産物への検査を強化すると発表した。

中国政府が7月5日に開いた漏出事故の会見によると、6月4日、渤海湾海域の南部海域にある油田「蓬莱19-3」で原油の流出事故が発生し、さらに19日にも、同油田の他の場所でも原油の流出が発生したという。

会見で中国政府は、汚染区域は840平方キロに達したが、事故が発生した油田はすでに閉鎖し、流れ出した原油もすでに除去した、と説明した。

汚染の度合いについて、同油田付近の海水中の石油類物質の濃度は平均値の40倍、最も高いところでは86倍に達し、海洋環境に一定の汚染をもたらしたとされている。一方、流出した原油の総量など事故の規模を示す重要情報は公表されていない。

ロイター通信は現地の漁業協会の幹部の発言として、今回の原油漏出事故による環境被害は長期的であると報じている。現地からの情報として、事故が発生してから、75キロ離れた山東省の養殖場では、あわびやキグチ、ライギョが大量に死んでいるのが発見されている。しかし、養殖業者は政府からの補償を期待していない。

記者会見の席で、事故発表の遅れについて問われた政府関係者は、「我々は状況を少し把握してから公表することにした」と答えた。一方で、6月21日、中国版ツイッター「微博」上に、何者かにより「中国海洋石油に重大な原油の流出事故があった」と事故をリークする書き込みがされたが、まもなく削除された。

中国国内メディアの報道によると、今回の事故を含めて、2009年以来、同渤海湾海域で4回の原油漏出事故が発生したが、中国政府は毎回その関連情報を速やかに公にしなかったという。

環境保護団体グリーン・ピースの中国支部の幹部・李雁氏は、昨年7月中旬に大連新港で発生した、約1500トンの原油が流出する石油コンビナートの爆発・炎上事故を実例に挙げて、「当時、関連政府機関は事故の規模と影響を過小評価していた。事故から1年経った今でも、この体質がまったく改善されていない」と非難した。

中国、日本、韓国、ロシアの四カ国は1998年、「北西太平洋海洋および沿岸地区の環境保護・管理と開発に関する行動計画(NOWPOP)」という環境に関する協定を制定した。自国国境内で発生した石油汚染事故について、速やかにその他の三カ国に通告し、必要な場合は互いに防除用の物資や機器、専門家の派遣といった支援を行う、というものだ。しかし、事故情報が少なくとも日韓の2カ国に速やかに報告されなかったことから見ると、同協定は機能しなかったことになる。

韓国メディアの報道によると、韓国政府は事故発生後、韓国の海域への影響を確認するため、中国政府に事実関係を確認したが、「正式の公表で全容を開示する」と中国政府は対応しなかった。

韓国農水産部は7日、関連の周辺海域から捕れた魚介類への検査を強化すると発表した。

事故が起きた「蓬莱19-3」は、米国石油大手のコノコフィリップスと中国海洋石油の合弁事業。採掘を担当するのはコノコフィリップスの完全子会社「康菲中国石油」だ。渤海の南部海域に位置し、山東半島龍口の北約80キロの海上にある。2002年に第一期工事が竣工した。地質調査上の原油埋蔵量は約10億トンで、採掘可能量は約6億トンと見込まれる、中国最大の海上油田である。

(記者・文龍、肖恩、翻訳編集・叶子)
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