三峡ダム危機に瀕す、政策の誤り認める=中国当局

2007年10月01日 10時31分
 【大紀元日本10月1日】中国上層部幹部および専門家たちは9月25日、武漢で研究会を開き、三峡ダムにおける生態環境の構築および保護について討論した。専門家は、三峡ダムの生態環境には様々な新旧問題があることを指摘し、直ちに問題を整理し対策を立てなければ、大きな災難を招くと警告した。中国政府はこれまでの三峡ダム建設擁護の立場を改め、初めてダム建設による問題が発生していることを認めた。

 三峡ダム建設が始まった1993年から、ダム建設に対する議論は絶えなかった。100万人の住民が大移動したことで、都市および地方の環境は著しく影響を受け、環境破壊が進んだ。科学者および環境保護活動家は、ダム建設は生態に影響を与え、災難をもたらすと警告した。しかし、中国政府はそれらの意見に聞く耳を持たなかった。江沢民元総書記および李鵬に促され、三峡ダムが中国の経済発展にとってもっとも重要なクリーンエネルギー建設だと見なしてしまった。

 中国メディアによると、三峡ダムの発電運転開始後、堤防および河岸の地滑り発生が増加し、長江支流には藻類が激増し、飲用水などの汚染発生は600キロメートルにわたるダム区域内で現れた。この問題はすでに今年8月に米「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙にて報道された。

 *急増する地滑り

 中国国土資源部専門家、三峡ダム区地震災難予防指揮部指揮長の黄学斌氏は、常時に発生する地質災害はダム区内住民の安全を脅かしており、地滑りが長江で発生すると、数十メートルの高い波をもたらし、影響は十数キロメートルに及ぶと警告した。

 実際、少し前に、ダム区内で発生した地滑りが高さ50メートルの波が生じ、河岸に強い衝撃を与え堤防を破壊したという。現在、三峡ダム区では各種の倒壊、地滑り発生は4700箇所に及んでおり、その内の627箇所はダムの貯水の影響を受けたとし、863箇所は住民が移動した地区だという。

 今年5月初旬、三峡ダム上流から16キロメートル離れた廟河村付近で、5日間の内に堤防は4度も崩れた。地元村民によると、木造家屋の基礎は地面の移動により破裂する音が聞こえたという。村の関係者は山坂が長江に崩れ落ちるときに、周辺の住民が犠牲になると懸念している。

 また、今年7月14日、長江支流では大量の土石流が発生し、ある山の一部が長さと幅1キロメートル、厚さ18メートルも河に滑り落ち、農民13人が土石流に巻き込まれ、河に落ちた。また、河に落ちた際に発生した2階建てほどの高さの大波が生じ、20隻あまりの漁船が破壊され、漁民11人が死亡する惨事となった。

 インペリアル・カレッジ・ロンドンの調査研究チームは今年初めに、三峡ダム調査報告書「工程地質および自然界における水の変化と運動の現象」を発表し、山坂が不安定になったことが三峡ダム地区にとって最も普遍的自然災害の原因であると指摘した。同研究チームの地質学者イオニス・フニアディス氏は、巫山や巴東県など3箇所の衛星写真から、安定した山坂は15%だけで、3%は地滑り状態に陥っていることが分かり、7%がその原因で不安定になっていると指摘した。

 かつて国家環境局長江流域水資源保護委員会の主任を務めていた武漢環境科学者・翁立達氏は、「ダムは水の重量の負担によって、ダム湖岸および下流河岸の地滑りを引き起こす。すなわち、貯水区および下流地区の河岸をしっかり固めることにもっとも注意を払わなければならない。何故なら、一旦地滑りが発生すると、大量の水が高い波を形成させ、周辺地区を覆い、財産と生命に大きい危害を与え、極めて大きい損失になるからだ」と問題提起し、警告した。

 *藻類大量発生

 一方、湖北省重慶市政府責任者は、三峡ダムが貯水してから、支流の水質が悪化し、一部は大量の藻類が長期的に広範囲にわたり発生し、発生頻度が顕著に増加していることを明らかにした。未処理汚水および化学肥料残留物は大ダムに流れたため、藻類が大量発生し、下流の水供給に影響をもたらしていると分析した。同氏は、支流地区の住民の飲用水が懸念されており、その中に香渓河、大寧河、梅渓河などの状況が特に深刻であると指摘した。実際、豊度県では、藻類の大量発生により、5万人が汚染された飲用水を使用した問題が起きた。

 世界野生動物協会の報告によると、長江流域の汚水排出量が激増しており、三峡ダム上流から640キロメートルにある世界最大都市・重慶に住んでいる3千万人を含み、1億6千万人が生活しているこの地区は、2000年から2005年までの間に汚水排出量が倍以上増えたという。

 研究会に参加した中国共産党国務院三峡ダム建設委員会弁公室主任・汪嘯風氏は、三峡ダムは元から生態環境が弱く、自然災害が頻発し、水と土壌流失が深刻であり、人口の比率が土地より高く、不合理的な開発は生態の退化をもたらし、水と土壌流失がさらに悪化させると指摘した。

 三峡ダム建設を断固反対した民衆の1人で、北京環境保護活動家・戴晴氏は、政府当局は選択する余地がなくなるほど情勢が悪化したため、問題の存在を認めざるを得なかったと分析した。

 (翻訳/編集・余靜)

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