中国、米軍艦の香港寄港拒絶=裏に潜む中国最高指導部の権力闘争

2007年12月08日 14時44分
 【大紀元日本12月8日】米空母キティホークなど太平洋艦隊所属の艦艇を含め、米軍艦の香港寄港が最近相次ぎ中国当局に拒絶された問題について、ワシントンの外交、軍事筋はは、当局が挙げている寄港拒否の理由は説得力を欠けているとの見方を示している。米国国防省の関係者は中国最高指導部の内部権力闘争は、本件と関連しているのではと、初めて指摘した。中国問題の専門家は一連の動きについて、具体例を挙げ分析を行った。

 キティホークなどは11月下旬、中国当局に香港寄港を求めていたが、初めは寄港許可がおりなかった。その後、日本の横須賀に向かった同艦隊に対し、中国当局は入港を許可したが、米国側は進路を変えなかった。また、同時にフリゲート艦「ルーベンジェームズ」の香港入港も断られた。同艦の入港は10月に決まっていた。 荒天回避のため香港寄港を求めた掃海艇パトリオットなども同様に入港拒否された。

 米海軍のラフヘッド作戦部長は11月27日、「(拒絶は)驚きであり、建設的でない」として、中国当局の対応を批判した。

 11月28日訪米した中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)外相は、ブッシュ米大統領との会談で、中国側の対応について「誤解があった」と釈明したが、「誤解」の具体的な内容については明らかにしなかった。その後、中国外務省の劉建超・報道官は、楊外相が上記の発言をしなかったと反論、寄港拒否の理由として、台湾へのミサイル売却のほか、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世への米議会の栄典授与を挙げた。 ワシントンの外交、軍事筋では、「いずれも連続して米艦の寄港を拒む理由としては説得力に欠けている」と疑問を呈している。

 中国当局内部の権力闘争が原因か

 ワシントン・タイムズ紙は11月30日、今回の問題に関する米国政府の注目点として、中国最高指導部の内部権力闘争を挙げ、寄港拒否の判断はだれが出したのか、どの派閥は中国当局の外交政策の主導者なのか、などと疑問を呈した。

 同報道は米国防省の幹部の匿名発言を引用し、中国の軍部と胡錦濤・国家主席の間に、著しい意見対立があると伝え、その根源は、胡錦濤と曾慶紅・元国家副主席の政治闘争である可能性を示唆した。同幹部は、曾慶紅は江沢民・前国家主席の心腹であり、今年10月の第17回党大会で定年による引退を強いられたことを上げ、同氏が中国軍部に強い支配力を持っているため、軍は曾慶紅に偏っている可能性を指摘、「中国軍は決断を下すとき、胡錦濤・国家主席の意見を求めないかもしれない、あるいは、同主席に知らせる必要すらない」と報じた。

 世界の超大国である米国について、中国当局の歴代指導者は、米国との友好関係の構築は、党内で威厳を樹立する重要不可欠の条件としてきている。

 2004年、胡錦濤が軍事委員会の主席の座についてから、江沢民派の管財人と言われている曾慶紅は胡の主要な競争相手となった。曾と江沢民派は政権内部の人脈関係を駆使し、胡錦濤・温家宝政権(下略、胡・温政権)の政策制定を強くけん制してきた。また、胡錦濤、温家宝が外国訪問する度に、様々な発端で騒ぎを起こし、胡・温の威厳を損なおうとしてきた。

 中国問題の専門家は、「これまでに、中国の指導者が重要な海外訪問を行う前に、政治犯釈放など友好を示す外交政策を発表するのは一般的だが、胡・温政権以来、両氏の海外訪問の際、これまでの外交友好姿勢がないほか、反胡錦濤派は必ず発端を起こし、国際社会の注目を集めさせ、胡温に恥をかかせるようとしている」と指摘、以下の幾つかの実例をあげて説明した。

 昨年9月、温家宝が欧州訪問中、中国当局のマスコミが海外メディアへの規制強化の政策を報道、司法当局も関連の条例を打ち出した。今年4月、温家宝が日本訪問前、曾慶紅が操縦した情報機関は突然、監禁中の高智晟・人権弁護士の情報を国外で流し、民主派の感情を煽いだ。その結果、温家宝・総理が日本訪問中、同弁護士の釈放を求める抗議活動が起こった。また、今年7月、香港返還10周年記念活動のため胡錦濤が香港を訪問した際、香港を主管する曾慶紅が香港政府に内部命令を下し、約千人の法輪功修練者を強制送還する事件を起こした。

 今年8月、胡錦濤が中部アジアとロシアを訪問する前、中国当局内部から、ドルや米国債を売ってドルの下落を招く発言を出され、国際金融業界に不安をもたらした。ブッシュ大統領は、この言論は胡・温政権の立場を代表しているかどうか疑問を呈していた。

 

 昨年5月初めに、胡錦濤が山東省青島市で軍を視察する際に、乗っていた軍艦がほかの軍艦に「誤射される」事件が発生した。胡は危機一髪で難を逃れたが、同乗の兵士は死傷したという。激怒した胡錦濤が視察を中止し、調査を命じた。後に、その「誤射事件」の裏幕は江沢民・元国家主席であるとの説が政権内部で流れていた。

 同様な事例は続発しているため、米国側も関心を示し始めている。今年1月、米国誌「国防ニュース」はここ数年で発生した米中両国の軍事摩擦の具体例を上げ、中国軍部は胡・温政権にコントロールされていない可能性と指摘した。

 米コロンビア大学の政治学博士、中国問題の専門家・李笑天氏は、「今回の一連の米軍艦寄港拒絶事件は、今年10月の第17回党大会後の中国当局内部の熾烈な権力闘争をさらに露呈した」との見解を示し、今回の米中摩擦で、曾慶紅に変わって、香港を主管する胡錦濤の側近・習近平が上位早々に難題を突きつけられ、胡・温政権も恥をかかせられた、と分析した。

 
(記者・王宇心、翻訳/編集・叶子)


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