≪医山夜話≫ (34-3) 拒食症

【大紀元日本7月31日】「しかし、病院は私の病気を根本から治すことができませんでした。あの頃から、どのように医者や看護婦に応対すればよいのかを身に付けました」

「病院では、このような病気の治療法はお菓子の生産のようにプロセス化し、患者はベルトコンベアー化された心理療法を経なければなりません。私は間もなく、その治療法を完全にマスターしました。医者の聞きたいことを答え、見たい結果を装い、無邪気で可愛く振る舞いました。私の心の中では、ただ一つのことを考えていました。早くここから自由になって、昔のように食べて吐いて、誰も私をどうすることもできない、と。結局、私の願いどおりになりました。治療は失敗したのですが、私は他人の考えを制御する方法を身に付けました。専門家から教授まで、私が訪れた医者のレベルと知名度はどんどん高くなりました。治療を求め、私は米国からヨーロッパまで回りました。先生、もし興味があれば、私を診断した有名な医者たちの経歴を先生に紹介できますよ」。彼女は自慢するでもコンプレックスを見せるでもなく、まるで他人事のように語りました。

性格の多様性もこの種の患者の特徴です。この特徴は、役者に多く見られます。時には完全に現実から離れ、やる気満々で計画を立てたりしますが、数分後には完全に興味を失います。

今は、彼女自らがこの病気から開放されたいと望む日を待つしかありません。毎回の治療で、私はただ静かに彼女の話を聞いていました。そしてついに、ある日のこと、私とハイジーの間に厳粛な対話がありました。

「人の一生において、一体何が最も重要なことですか? 他人に完璧な自分を見せることですか、それとも自分の感じ方がもっと重要なのですか」と私は彼女に聞きました。

「日中、他人に接するときの印象は大切だし、夜になれば自分の感じも重要で、どちらも重要です」と彼女は答えました。「ここは外見重視の社会です。先生、ショーウインドーの中の服を見てください。どんどんサイズが小さくなっていきます。そして至る所にダイエット広告、美人コンテストの募集、そして飛行機の座席のサイズを見てください……。これは目に見えないプレッシャーではありませんか。私にはほかの選択肢がないのです」

「見た目重視の社会で成功するため、抑えられない食欲を満足させるため、あなたはとても浪費的な選択肢を選んでいます。また、自分は仕方がないのだと言い訳しています。このような歪んだ心理を変えない限り、あなたの病気はどこへ行っても治りませんよ」と私は誠意を込めて言いました。

「私は、本当にこの心理を変えたいのです。それで先生を訪ねたのですよ。ある夜、私は誰かと会話をしました。今でもはっきり覚えていて、まるで昨日の出来事のようです。いいえ、実は自分は寝ていなかったのかもしれません。周りは静まり返っていて、あの声がそこにありました」

ハイジー:「どうして私はこの家庭に生まれたのですか」

あの声:「これはあなたが選んだことではありません」

ハイジー:「どうして母さえ私を受け止めてくれないのですか」

あの声:「では、あなた自身は自分を受け止めたのですか」

ハイジー:「私の人生はとても苦しいものです……」

あの声:「あなたは、楽しく生きるべきです」

ハイジー:「食べたものを全部吐き出すことは、神様の意思に背いていますか」

あの声:「はい、浪費は犯罪です」

ハイジー:「もし私がとても太っていたら 周りの人は私を受け止めてくれますか」

あの声:「大丈夫です、あなたが暗闇から出てくれば」

ハイジーはこの対話を私に打ち明け、「先生、今度こそ私は本当に変わりたいのです」と言いました。

病院では彼女の問題を解決できないと私には分かっています。私は、「ハイジー、修煉してみませんか? 人間はどこから来て、またどこへ行くのかを知りたくないですか」と言いました。

私からこのような言葉を聞くとは思っていなかったのでしょう。彼女は私を見つめながら、「どのように修煉すればいいのですか」と聞きました。

「今から、真実のことを言い、真実の事を行い、真実の人間になるのです」と私は答えました。

ハイジーはまだ自分の病気を修煉と結びつけていません。

「あなたの言うように、人間世界の方法を使い尽くしていますね」と私は言いました。

「修煉をしたら、私はこの悪い習慣を治せますか?これから私が太ることはないのですか?」と彼女は聞きました。

「あなた自身の意志によります。本当に改めたいのなら、本性の最も深い所から着手して、最後に返本帰真の境地まで到達してください」と私は言いました。修煉することだけが、彼女を助ける唯一の治療法だと私は信じています。

(翻訳編集・陳櫻華)