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【識者に訊く】チベット事件に潜む中共のねらい、少数民族孤立化への画策=中国民族問題研究会会長

 【大紀元日本4月4日】3月中旬に発生したチベット問題について、中国民族問題の専門家である殿岡昭郎氏(66)は1日、大紀元時報とのインタビューに応え、中国民族問題の専門家としての立場から、その識見と洞察を語った。殿岡氏は、今回のチベット動乱の原因が、中共側の圧力と誘導によるところが大きいとしながらも、若いチベットの世代には政治的な活力を求める動きもあり、現在インドに亡命中の精神的な核であるダライ・ラマ法王に万一、不測の事態があった場合には、さらに大きな暴動に発展する可能性を示唆した。さらに殿岡氏は、今回のチベット動乱を中共側がチベット地区を叩いてその他民族を沈黙させる「打草驚蛇」の戦術で、チベット人地区を孤立させ分断させるための画策であるとの洞察的な見方を示した。

 殿岡氏は、慶応大学法学部で政治学を専攻し、東京学芸大学で助教授を歴任、「現代新聞紙学(玉川大学出版部)」「言論人の生態(高木書房)」「侵略の歴史ー国際共産主義の100年(地球社)」などの著作で知られ、現在は
中国民族問題研究会会長の殿岡昭郎氏 (大紀元)
中国民族問題研究会会長を務める。

 -今回のチベット動乱について、専門家としてその原因をどのように見ているのか。
 
 「起こるべくして起こったかのように見えるが、中国側の挑発にチベット側がのってしまった形だろう。段々と証拠も揃ってきている。3月10日はラサ蜂起記念日であり、世界中で行事があるが、この日にはチベット自治区内でも寺院の中で僧侶たちが経文をあげて犠牲者の追悼を行う。中国当局は勿論このことを知っており、当日チベット僧11人程度が集団で市内を歩いたのをきっかけに武装警官がこれを暴行し、それを見た市民らが怒りにまかせて市内を荒らし回ったというふれこみだ…しかし、武装警察が市民や僧侶に扮して市内を破壊したとの報告もあり、五輪前にチベット地区を叩いてこの地区を孤立させ、他の民族との共闘を未然に防止したと見る方が妥当だろう…結局、チベット寺院やチベット一般人の家庭にまで家宅捜索が及び大弾圧になってしまった」。

 -チベット自治区では、宗教弾圧の他に同化政策が言われているが、具体的にはどのようなことが行われているのか。

 「中国には少数民族が55あり、漢民族を入れると56になるのだが、中国にはこれらの少数民族を併合して新しい中華民族を創りたいとの野望に基づいた大きな国策があるのが事実だ。チベット人自治区に関して言えば、その言語と宗教という二つの標的を攻撃し、チベット語は第二外国語として家庭内のみの限定的な使用に追いやられ、宗教は無神論が押し寄せて寺院での祈祷もままならなくなり、肉体的にも結婚奨励策などでかなりの部分で同化政策が進み民族的な危機となっている」。

 -チベットと同じようなケースとして、新疆ウィグル自治区の問題があるが、五輪が近づくにつれてこの地域でも動乱がありうるのか。

 「当然ありうるだろうし…無い方がおかしい。現在、内モンゴル自治区ではモンゴル人が12‐3%、これに対して漢民族が85%、新疆ウィグル自治区やチベット高原では、過半数余りが漢民族になっており、民族の壊滅は時間の問題となっている。新彊ウィグル自治区の住民はイスラム教を信仰するトルコ系の住民であり、その中には民族の自決権としてジハードを考えている人たちも当然おり、それ自体はイスラム教徒として共同体に献身するという信仰の力だ。それらの人たちは、決してそれ自体を望んでいるわけではないが、その時が近づいていると考えているのは事実だろう」。

 -今回の動乱には、青蔵チベット鉄道によって多くの漢民族が運ばれるようになったということも関係しているのか。

 「青蔵チベット鉄道がひかれてから一年が経ち、北京政府はこれによって文明へのアクセスがよくなったという触れ込みだが、チベット人はこれを別に喜んでいないし、平穏だけをかつて希望していたものだ。鉄道によって多くの漢民族、商売人、資本が押し寄せ、観光客の到来とともに文化的な施設も荒らされ、軍隊まで運ばれてチベット人(の生活)自体は圧迫されている。またその鉄道は、チベットの資源があるところに沿って敷設されており、あらかじめ調査した上でのチベット資源の収奪だという声も無視できない。この鉄道は、チベット人の壊滅を加速する手段になっている」。

 -これまでチベット人は、ダライ・ラマ法王の指示によって平和的な路線を歩んできたが、なぜこの時期になって爆発してしまったのか。五輪が近づいたという時期的なものが関係しているのか。

 「チベット人なら誰でもが、ダライ・ラマ法王を尊敬しているということはやぶさかではないが、その政治路線については若いチベット人世代に特に不満をもっている人たちが出てきている。現在、ダライ・ラマ法王自体は、インドに亡命しており、特に2002年から中国政府との対話路線に入っているが、いくら話し合っても実をあげることができず、この中道路線に不満をもっている海外のチベット人が増えてきているのは事実だ。また、現在チベットにいるパンチェン・ラマは中国政府が任命したものだが、チベットの人たちはそれが偽物であることぐらい知っている。それでもチベットの民衆は、彼に対して五体投地し礼拝しなくてはならない。その屈辱感は、チベット人でなくては分らないだろう。またそのパンチェン・ラマや中国政府が、海外にいるダライ・ラマ法王を批判しているのも問題だ。いずれにしても、海外にいるダライ・ラマ法王に万一にも不測の事態があって、その求心力に問題が生じるような場合には、内外のチベット人が爆発する可能性も大いにあるだろう」。

 現在、チベット人自治区には「中共軍」が出動して軍事的な制圧を行っているが、1989年六四天安門の虐殺以降、国際世論に叩かれた関係から、中共政府は人民解放軍を国内の治安出動には使役しないようにしている。しかしながら今回のチベットへの対応では、参加部隊の装甲車はいずれも新聞紙でその部隊番号を隠ぺいしており、もしこれが国軍としての解放軍の出動であれば、国内の治安を守るための出動ではなく、党の権益を守る軍隊としての「白色テロ」という意味であり、なお一層の世論の高まりが世界中で起こることが予測される。
                                                      
(記者・青嵐)

 (08/04/04 00:43)  





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