【バンクーバー通信】バンクーバーオリンピック関連の明暗

【大紀元日本1月23日】前回の記事でもお伝えしたように、聖火リレーのルートも発表され、ますますオリンピックへの関心が高まる中、世界経済を襲う金融危機の影響が、バンクーバーオリンピックにも現れ始めている。

財政難への危険性

バンクーバーオリンピック・パラリンピック冬季競技大会組織委員会(VANOC)は昨年12月、財政難回避への対応として経費削減を示唆した。VANOCの大会運営予算は現在16億ドル。これには競技施設建設費用の5億8000万ドルは含まれていない。この運営予算はスポンサー契約、チケット販売、放映権料などで補われることになっている。

ところが、メインスポンサーが相次いで財政危機に襲われている。ゼネラル・モーターズ、メダル作成用の金属を提供するテック・コミンコ、コミュニケーション機器のノーテルとベルなどの財政悪化が報道されている。実のところ、ノーテル社はすでに破綻した。

その結果、VANOCはまだスポンサー料の目標額を達成しておらず、今後もスポンサー獲得に向け困難が予想されている。現在のところ、すでにスポンサー契約した企業からの契約解消はないという。

フォールスクリークに建設中のオリンピック選手村は、バンクーバー市内最後のウォーターフロント。売り上げ状況は、750戸のうち約1/3の250戸が売却済み。オリンピック開催中に選手村として活用し、終了後に内装を完全に新しくしてコンドミニアムとして売却するというもの。(写真=春馨/大紀元)

カナダプレースの隣に建設中のメディアセンター(VCEC)が、メインプレスセンターと国際ブロードキャストセンターとなる。建設について、ゴードン・キャンベル州首相は、“On Budget, On Time”を合言葉に貫いてきた。しかし、11月初めの会見で、現在の予測では当初の予算4億ドルの2倍以上の8億8300万ドルになると発表。完成予定は2009年3月。(写真=春馨/大紀元)

オリンピック期間中のウィスラーでのスタッフとメディア用の宿泊施設がいまだ確保できていない。VANOCのサービス・宿泊担当のマードック代表は、2500~3000人のスタッフとボランティアの宿泊施設、さらにメディア用に400室あまりが必要と語っている。さらに、期間中警備にあたる警察官5000人分の宿泊施設も必要になる。これに関してRCMP(カナダ連邦警察)はバンクーバー港に豪華客船を借りて停泊させることを提案している。(写真/VANOC提供)

選手村

フォースクリークに建設中のオリンピック選手村は、バンクーバー市内最後のウォーターフロントという設定やダウンタウンにも近いという立地条件があり、2006年、1億9300万ドルという破格の値段でミレニアム・デベロップメントが落札した。土地はバンクーバー市の所有。

このミレニアムに6億8300万ドルの金融融資をしているのが、ニューヨークが本拠のフォーレスト・インベストメントグループ。

このフォーレスト・インベストメントグループはアメリカのヘッジファンドで、不動産関連などに多額の資金を出しているため、9月の金融危機の際、大打撃を受け、株価も低迷し、資金の調達、ファイナンス経営も苦しい状況にある。そのため、建設予算が膨大になることを懸念し、すでに昨年9月から融資を停止している。

去年、市がミレニアムもしくはフォーレストに1億ドルを融資することを10月中旬に決定していたことが、11月になって発覚。しかし、その前にすでに市はフォーレストに1億9000万ドルの融資を約束していた。これは秘密裏に行われたことで、なぜかというと11月15日はバンクーバー市長選が控えていたからだ。その後、全国紙“Globe and Mail”が素っ破抜き、市民の話題となった。

今現在、ミレニアムは7000万ドルの予算オーバーとなっているが、今年10月には選手村をVANOCに引き渡さなければならない。

リッチモンド・バンクーバー国際空港とダウンタウンを結ぶスカイトレイン。19億ドルをかけてキャンビーストリート沿いに地下鉄を建設中で、2009年11月に開通予定。現在、キャンビーストリート商店街が、工事中に多大な損害を被ったとして訴訟を起こしている。また、11月には南米からの海外労働者に対して、賃金やその他の経費で差別があったとして、損害賠償責任を問われている。(写真=春馨/大紀元)

VANOCの予算が不足した場合、BC州政府が補填することは、すでに決定されている。

キャンベル州首相は、オリンピックの招致活動の時点から、開催期間中、又その後もBC州にとって多大な利益になると強調してきたが、その時点では世界がこれほどの経済危機に陥ることが予想されていなかった。この先、BC州政府がどれほどの負担を強いられることになるかは予測できない。

この他にも、バンクーバーとウィスラーを結ぶ幹線道路のシー・トゥ・スカイ・ハイウェイの建設や低所得者への補償などさまざまな問題が、これから開催までの間に表面化してくることは間違いないとみられる。

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記者は最初に英語の勉強に来ていた頃から、わが町バンクーバーを“Sleeping Beauty”と呼んでいます。なのであまり変わってほしくないですね。

(記者=春馨)