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都内で講演するグルジアのマチャワリアーニ駐日大使(大紀元)

グルジア駐日大使、都内で講演

 【大紀元日本8月21日】北京で五輪競技が華やかに開催されるなか、ロシア軍との紛争で苦しむグルジアのマチャワリアーニ駐日大使(H.E.Ambassador Ivan Matchavariani)が20日午後、都内虎ノ門の日本財団で講演し、南オセチア自治州の紛争をめぐり軍事介入したロシアについて、「米国の中東介入を中途半端に模倣した」ソ連流の侵略であるのは明白だと厳しく批判、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)へ加盟し、西側への接近を志向するグルジアに「熱いお灸をすえたもの」との認識を示した。

 大使は、ロシアの事実上の支配者であるプーチン現首相はスパイの首魁であり、新しく多極化世界が再合成される中で、自らを強国の一角に位置づけようと欲しているものだと指摘、グルジアは欧米西側世界とロシアとの綱引きの渦中にあるパワーバランスの指標だとの認識を示し、国際社会の対応次第では、その矛先が西側への接近を目指すウクライナやポーランド、モルドバにも向かいかねないとの危機感を示した。

 2006年11月末、アブハジアでロシアの後ろ盾で住民投票が行われ、グルジアからの分離独立とロシアへの帰属を支持する住民投票が多数を示したとの報道がなされたが、あらかじめグルジア人を追い出してロシア人を多く移住させての住民投票であったので「出来レース」であった。大使によると、こうしたロシア側の同化政策は、南オセチアでも行われており、住民にはロシア側のパスポートが配布されているという。

 チェチェン政策に批判的であったロシア人ジャーナリストが、無残にもモスクワの自宅マンションで惨殺されたように、大使によると、グルジア国内でもロシア軍の侵攻を克明に伝えようとするNGO関係者や国際ジャーナリストらがロシア軍当局によって拘束され殺害されているという。グルジアなどの南コーカサス諸国はロシアにとって「服従しない厄介ものだが、軍事的・経済的に緊要な地域」なのであり、特にグルジアは北にチェチェン、西に黒海、南にトルコ、東にアゼルバイジャンという極めてキナ臭い地域であることは確かだ。

 グルジアの現政権は、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を推進しているが、特にトルコがメンバーとなっているNATOへの加盟が実現すると、トルコからグルジア、さらにアゼルバイジャンへとカスピ海に抜ける「NATO勢力圏」が構築される。もし、実現すると黒海に海軍の軍事的プレゼンスを有するロシアにとっては戦略的にジリ貧状態になるのが必至だ。

 エネルギー安全保障の点からも、グルジアが西側の一員になると、カザフスタンやトルクメニスタンを通ってグルジアに至る石油や天然ガスのパイプラインが、独占的なロシア・ガスプロム社の支配から解放され、グルジアからトルコ領内、あるいは黒海を経てEUに加盟したルーマニアやブルガリアを通って欧州圏内に安定的に天然ガスを供給できる体制が視野に入ってくる。

 ロシアがチェチェンやグルジアといった南コーカサスに触手を伸ばす一方で、米国にとっても、グルジアが市場経済を構築し、自由、民主、人権という民主的な価値を完全に実現することは、旧ソ連圏の諸国に米国流自由主義の楔を打ち込むうえで極めて重要なことだ。こうした事情もあって、米国は旧ソ連圏であったポーランドとMD構想を進めており、ロシア側との「冷戦タッグ・オブ・ウォー」が南コーカサスを舞台に再び展開されそうな気配だ。

 グルジアの人口は約460万人、国土の面積は約7万平方キロメートル、一人あたりの国内総生産は約3800米ドル、1991年4月に旧ソ連邦から独立した。「グルジア」という発音は、ロシア語表記から来たもので、現地の人たちはこう呼ばれることを好まず、「カルトヴェリ人が住む国」という「サカルトヴェリ」という言葉を使っている。グルジアの人たちは、宗教的にも言語的にもスラブ系民族ではなく、東方教会成立前からキリスト教化されていた特異の伝統を持っている。

(記者=青嵐)

 (08/08/21 21:00)  





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