印刷版   

(AFP/Getty Images)

人民元安、長期化か

 【大紀元日本1月16日】国際金融危機の影響を受けている人民元の動きについて、一部のメディアはドルが下落基調にあって、ユーロを除けば、人々が期待できる通貨は人民元であるかもしれないと報道している。 それについて、ウォールストリート・ジャーナル紙コラムニストの劉罡氏はこのほど、中国の現在の経済状況から見れば、人民元の動きは楽観できず、12月の輸出額などの経済指標から見ても、人民元がこの先大幅に下落する可能性がかなり高いと指摘した。

 *輸出の急減と失業人口の急増

 ウォールストリート・ジャーナル紙コラムニストの劉罡氏は1月8日に同紙で発表した『人民元は大幅に下落するはずだ』との文章の中で、12月の中国輸出額の急減を予想し、これからの人民元が下落基調に転じると示した。

 12月の台湾の輸出額は去年同期比で、史上最大の下げ幅41・9%を記録し、中でも対中国大陸および香港の輸出額は54%と下落した。台湾と中国大陸の輸出は連動している部分が多いため、劉氏は台湾の12月輸出の急減から、12月中国大陸の輸出額も台湾と同様に大幅に減少すると予想した。劉氏は、12月の中国輸出額は去年同期比で20%下落するだろうとの見通しを示した。仮に、輸出減少との状況が持続すれば、今年の輸出下げ幅はマイナス増長となった1998年よりも高くなる。

 劉氏は、輸出の急減は中国の外向輸出型産業に深刻な打撃を与えるだろうとする。08年1-10月において、各月の輸出上昇幅は約20%以上に維持されていたが、しかし11月と12月となると、輸出が突然大幅に減少し始めた。そのため、輸出を中心産業とする広東省では、去年年末まで、広東省に出稼ぎに出た地方労働者60万人が仕事を失ったという。

 したがって、輸出額の下げ幅が20%を超えれば、輸出産業において失業人数は100万人まで増加し、そしてそれに伴って、他の産業からの失業人口は何倍にも拡大するだろうと劉氏が指摘。また劉氏は、深刻な失業問題に立たされた中国政府はすぐにも、輸出を促進するため、人民元を切り下げるしかないと気付くだろうと示した。

 *資金流失傾向が強まる

 去年12月に中国国家外貨管理局は、中国の外貨準備高は10月時点で、03年12月以来初めて減少したと発表した。外貨準備高減少の原因について、一部のエコノミストは世界金融危機の影響で中国からの資本流出が増加していることを挙げている。金融危機が発生してから、財務赤字をカパーするために、バンク・オブ・アメリカやクレディ・スイスなどのグローバル金融機関は相次いで、保有する中国金融機関の株式を売却した。

 例えば、このほど、クレディ・スイスが香港株市場において保有しているすべての中国銀行H株を売り、バンク・オブ・アメリカは56億株の中国建設銀行H株を売却した。さらに、1月7日に香港大富豪・李嘉誠氏が率いる投資ファンドが20億株の中国銀行H株を売ったと報道されている。一方、市場において、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドがおよそ20億ポンド規模に相当する中国銀行H株の売却を計画しているとのうわさが流れている。

 1月7日、中国商務部は『海外投資管理方法』の草稿を発表し、国内企業の海外での投資額が1億ドルを超える場合、商務部からの批准を受けなければならないとした。これは、近年中国当局が行ってきた中国企業の海外への投資管理規制緩和の流れを変えられたと示した。

 劉罡氏は、資金流出の傾向が強まっている現在、人民元の対ドル為替レートを現状維持していくことは、中国経済に大きな打撃を与えるだろうし、また次期米大統領のオバマ政権が強いドル政策で、米国経済及び世界経済を復興することができない場合、中国政府が景気回復するのに人民元の切り下げを選択せざるを得ないだろう、と示した。

 *人民元は20%も下落するか

 このほど、中国経済紙の「第一財経日報」は報道の中で、過去3年間において元高を支えてきたのは、外需依存度の大幅な上昇と輸出主導の中国経済産業構造に原因があると指摘した。中国の外需依存度は1997年の42%から06年の78%へと急上昇した。中国国務院の報告によると、中国が対外開放をした産業において、各産業の企業ランキングのトップ5社はすべて外資系企業であり、また外国資本は中国の28主要産業の内の21の産業において、多くの資産管理権を持つという。海外からのホットマネーは、外資系企業及び中国企業との合資企業を通して、中国経済の動向を動かせるようになった。

 不動産バブルなどが始まった03年以降、国内では人民元は実質的に安くなったが、しかし、05年7月中国政府が人民元切り上げを実施し、国際市場においては、元は高くなっているという矛盾が続いてきた。通貨の為替レート水準はその通貨の真の価値に近づかない限り、安定に推移できない。中国の真のインフレ率と金利との差が大きくなればなるほど、金融市場において人民元が大量に売られるリスクが高くなる。人民元の急落で、中国の金融体系が崩壊する恐れがある。

 近年、一部のエコノミストはすでに人民元の暴落を警告してきた。人民元の為替レート水準は、市場が「強いドル」を強調するか、あるいは「強い人民元」を強調するかによって決められる。「強いドル」からは元を含める他の通貨を上昇に転じさせることができるが、「強い元」からはドルを含む他の通貨を上昇に転じさせることはできない。また、ドルと人民元が同様に強い基調にある場合、人民元は基本的に上昇ではなく、下落に転じることが多い。

 「第一財経日報」紙は、人民元が新たな長期下落基調に入り、人民元の下落幅は20%に達する可能性が大きいとの懸念を示した。

 
(翻訳・張哲)


 (09/01/16 07:33)  





■関連文章
  • 外資撤退激化、中国経済に大打撃(09/01/13)
  • 中国=11月輸出高、7年ぶり減少(08/12/21)
  • 中国社会科学院白書:深刻な就職難、社会不安増大(08/12/19)
  • 中国山西省:村の選挙現場に機動隊1500人出動(08/12/11)
  • 中国・中央経済工作会議、人民元切り下げか(08/12/09)
  • 人民元為替大幅の下げ、中国経済予想より深刻(08/12/06)
  • 金融危機に伴う中国サラリーマンの精神疾患(08/11/21)
  • 中国:石炭価格下落、業界真冬に突入(08/11/14)
  • 中国広東省:相次ぐ倒産の波、緊急事態に(08/11/14)
  • 日本大手電子部品メーカー、中国で大規模なリストラ(08/10/28)
  • 台湾で偽人民元札偽造グループ摘発、偽札発見器もすり抜け?(08/10/08)
  • ホット・マネーに翻弄される中国経済(08/09/05)
  • テロ組織送金疑惑、中国銀行反論(08/08/31)
  • イスラエル・テロ被害者ら、中国銀行を提訴(08/08/25)
  • 2008年中国国内失業者数、2・5億人に達する恐れ(08/07/21)