THE EPOCH TIMES

60年前に回帰、イギリスの鉄道に再び蒸気機関車が走る

2009年01月23日 00時41分
 【大紀元日本1月23日】フランスにTVG高速列車があり、日本には新幹線がある。蒸気機関車と近代工業革命の発祥地のイギリスには、今再び蒸気機関車が走り出した。

 BBCの報道によると、「トルネード」と名づけられた全く新しい蒸気機関車は、昨年末に乗客を乗せてイングランド東北の古い都市ヨークからニューカッスル市までの試運転を行ない、平均時速は75マイル(120キロメートル)に達したという。

 イギリスは蒸気機関車の故郷であり、多くの年配の人は蒸気機関車に深い感情を持っている。今回、試運転されたトルネードが汽笛の音の中をゆっくりとニューカッスル中央駅に入った時、プラットホームに集まった人々は興奮と喜びを抑え切れなかった様子だった。

 60年後の再登場

 ある年配の人は一家を連れて機関車を見に来たが、彼の話によると、彼の一家はずっとインターネットで機関車の製造進度に注目していたらしく、今日初めて機関車を目にして、とても感動しているという。

 イギリスでは、1949年に最後の蒸気機関車が生産されて以来、年とともに機関車が次々に淘汰されてきた。このトルネード号は、A1蒸気機関車信托会社によって、民間の寄付金を利用して造られたものである。1990年から始まったこの蒸気機関車の建造計画は、18年間の努力を経て、300万英ポンドの建造費をかけてやって試運転に成功した。2009年初めごろに、この機関車はイングランド東北部で客車専用車両の機関車として運行開始される予定である。

 A1 蒸気機関車信托会社理事長のマーク・アラータ(Mark Allatt)さんは、機関車試運転の結果について「すべて正常だったので安心した」と述べ、「時速は75マイル(120キロメートル)に達し、ヨークからニューカッスルまでの各駅には機関車の愛好者が溢れていた。この建造計画は東北地区の民衆から始まったもので、今日の沿道の人々の反応から地域の人々は蒸気機関車に対する情熱が依然とても高いと感じた」と語った。

 民間の努力

 この機関車建造のエンジニアであるグラハム・バンカー(Graham Bunker)さんの話によると、60年前の設計図どおりに造るために、ほとんどの部品を最初から作らなければいけなかったという。60年前に姿を消した蒸気機関車を複製して、再び乗客を乗せて走らせるのは容易なことではない。最初から最後まで、資金と技術の難問があった。建造費の300万英ポンドは、2000人余りの民間人の寄付に頼った。更に技術面でも、多くの技術は歳月とともにすでに失われており、世界を訪ねまわって、残存している部品を探し求めた。例えば、車輪上の金属タイヤは南アフリカから持って来たもので、蒸気発生の部分はドイツから、他の数え切れない部品はヨーロッパの各国から集まって来たものだという。

 環境保護に貢献できる

 世界中で環境が重視される今日、どうしてこれほど莫大なお金を使って、時代遅れでしかも低効率の古い蒸気機関車を造る必要があったのかと、人々は疑問に思った。これに対して、グラハム・バンカーさんは違う見方を持っている。「蒸気機関車で炭素の排出をゼロにするのは不可能だが、一台の機関車で13台の車両を牽引して、500名の乗客を乗せることができる。計算してみてれば、もしこの500名の乗客が自家用自動車で旅行に出かけるとしたら、炭素の総排出量はこの機関車よりはるかに多いことが分かる。こう考えてみれば、この新しく造り上げた機関車は環境保護にも貢献できる」。

 情熱により生まれた製品

 古い時代のものを再現する意味について、グラハム・バンカーさんはこう話した。「蒸気機関の時代は、多くのイギリス人にとって美しい時代だった。この製造計画に参加したわれわれにしても、完全に情熱によるもので、さもなければ、こんなにたくさんの人々がボランティアでやるわけがない、われわれは全部ボランティアだ。愛好者にとって、蒸気機関車はイギリスに創造力と活力が溢れる時代の代表だ。すでに60年も過ぎた今になって、元の図面を参考にして重さ170トンの機関車を作れたわけで、皆で力を合わせれば、難しいことをやり遂げることができるという証明にもなった」。
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