THE EPOCH TIMES

三鹿有害粉ミルク事件:責任問われた政府関係者、実質昇進

2009年04月19日 00時41分
 【大紀元日本4月19日】昨年9月に中国で発覚した有毒物質メラミン混入の三鹿有害粉ミルク事件で、責任を問われた一部の政府関係者は現職を退き、別の職場へ人事異動された。しかし、この人事異動は処分を受けたものではなく、実質上昇進であることがこのほど明らかになった。これについて、中国国内では、多くの民衆が反発した。

 中国国内で30万人に上る乳幼児が有害粉ミルクで腎臓結石に罹り、6人が死亡した事件で、三鹿が北京五輪のために事件を隠ぺいしたこと、さらに、三鹿グループの後ろ盾になっていた石家荘と河北省政府関係者には中国当局の責任追及はなかった。

 これに対して、責任追及と賠償問題の解決を求める被害者家族らは、関係者への訴訟を起こし、今年1月1日に被害者家族の訴えに対し、裁判所はようやく審理を行った。しかし、被告人には、重罪にもかかわらず軽い刑罰を言い渡した一方、原告人である被害者家族を拘束し、賠償要求訴訟や記者会見を開いたことで、大興県強制労働収容所に連行した。当時、記者会見に参加した外国と中国メディア関係者も多く、人権弁護士の呼びかけで、2日夜、被害者家族は全員釈放された。

 「南方都市報」によると、今回はインターネットの掲示板で「三鹿有害粉ミルク事件で処分を受けた政府関係者らが昇進した」の書き込みがあってから、ネット利用者たちは、重大過失のある中国質検総局食品生産監管司副局長・鮑俊凱氏はすでに、数か月前に安徽省出入国検験検疫局局長に就任したことが分かり驚いた。

 また、安徽省出入国検験検疫局のホームページでは、鮑氏は昨年12月、同局長と党組書記に就任したと示している。出入国検験検疫局局長は、元質検総局の局長に相当する職位であることから、鮑氏は実質上昇進したことになる。

 一方、三鹿有害粉ミルク事件で河北省紀委、省監察庁から処分を受けた河北省農業庁元庁長の劉大群氏は昨年11月に邢台市の市委副書記に人事異動され、さらに今年1月に邢台市市長に当選した。

 *処分を大袈裟に、昇進は密かに

 4月10日、中国複数の主流新聞社は社説で鮑俊凱氏の昇進を批判した。北京青年報の論評では、処分を受けながら昇進させることは、責任追及が見せかけだけになり兼ねないとし、強いては「政治ショー」に陥ってしまうと指摘した。また、新京報では、「処分を大袈裟に、昇進は密かに」のやり方は行政の責任追及の信頼度を損なうし、民衆が騙されたように感じると批判した。

 *責任追及制度を無力化している

 また、三鹿有害粉ミルク事件で被害者たちのために無料奉仕で弁護する弁護団の1人、李方平氏は取材に対し、「中国は政府関係者への責任追及制度を構築中であり、システム化されていない」とし、鮑氏の昇進はこの制度の中の新たな問題であることを示した。

 李氏は、「総じて言うと、責任追及された政府関係者は少なくとも、例えば3~5年の間に新たな任命を受けてはならない。やはり制度化すべきである。問題が発生したときに、表面上は責任追及して、世論が収まったときに昇進させるとは、まったく責任追及制度を無力化している」と指摘した。

 *責任追及制度の欠陥を追及すべき

 一方、中国政法大学憲政研究所所長の蔡定剣教授は、中国の公務員および幹部は離職の制度は確立していないため、辞職した政府関係者は職位および待遇はそのままに残っていると示した。中国青年政治学院の報道・コミュニケーション学部の展江教授も同じことを指摘した上、政府関係者への停職および復帰制度を明確化すべきで、透明性のある合理的な機制を構築すべきだと主張した。

 *中共政治体制下の常にある状態

 香港誌「開放」の編集長・金鐘氏はVOAの取材に対して、問題を起こした政府関係者が処分されずに、逆に昇進することは中国共産党(中共)の常套手段であることを示した。金氏は、1960年代の大飢饉のときに、人口500万人の河南省で、信陽地区だけで100万人以上が飢え死にした。当時の省長・呉芝圃氏本人も、自らの罪は万死に値すると白状した。しかし、中央当局は呉氏を処罰するどころか、他省の省委副書記に任命した例をあげて説明した。

 金氏は「過去の事案で残った問題を見ると、中共はこれまでに一部の政府関係者だけを処罰するが、多くのことについての責任追及は行っていない。中央から地方まで全てがそうである。これが中共政治体制下に常にある状態だ」と示した。

 中国大陸のネット利用者はブログで、食品安全事件として、国内外に悪影響を与えた三鹿有害粉ミルク事件で責任を問われ、処罰された食品安全主管政府関係者が、全国人民が怒りを覚えているときに、密かに昇進したことは、常軌を逸しており、一般人には理解されないことを嘆いた。

 
(翻訳編集・余靜)


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