THE EPOCH TIMES

漢方と武術

2009年08月17日 02時13分
 【大紀元日本8月17日】中国の伝統医学は悠久の歴史と奥深い学識があり、中国の武術は遥かに遠い源流と完備した理論がある。二者は生命の原理と医療の技術の面において通じ合うことが多く、相互に補完し、互いに参照する密接な関係がある。

 多くの大医学者は有能な武術家でもある

 大医学者が往々にして武術家でもあることは、医学と武術の融合が示されており、その源流は後漢の名医であった華佗まで溯ることができる。周知のように、華佗は中華の武術の先駆となる「五禽戯」(虎、鹿、熊、猿、鳥を真似て練習する)を発明した。唐代の名医であった孫思邈(そんしばく)は、かつて武術に精通し、武術の功夫である「一指点穴法」をもって大将軍・尉遅敬徳(585~658年、唐初の名将)の五十肩を治った。さらに南宋の末年に、全真教の道士である馬丹陽と丘処機は、武術にも医学にも精通していた。鍼灸医学の歴史の中に有名な「馬丹陽天星十二穴主治雑病歌」は、馬丹陽により編集されたものであり、一方、丘処機はかつてジンギスカンの医療健康顧問となっていた。

 清朝の時期に至ると、さらに大医学家でありながら大武術家でもある人物が多く現れた。随園の老人・袁枚が著した『小倉山房詩文集』と『随園詩話』の中でその時代の名医である徐霊胎と薛生白が武術の戦法を研究していたことを記載した。さらに『虞初広志』という書物の中に、明代末から清代初めに活躍していた大医学家でもあり大武術家でもあった傅山氏について詳しく記載した。史料の記録によると、傅山氏が格闘技に精通し、剣術に優れ、特に酔拳に得意で、『傅氏拳譜』を著したという。

 漢方医学の創傷医療や鍼灸医療は、武術と密接な関係がある

 香港の映画『黄飛鴻』に登場した黄飛鴻が実在の人物であった。黄飛鴻は小さいときからその父に従って薬草を採集して医者としての修行を積み、同時に武術をも練習していた。後に、父親がやっていた漢方薬店「宝芝林」を引き継いで経営した。多くの武術家が外家拳の拳法を練習するため、強い打撃により、怪我することがよくある。そのため、武術家は自らの怪我を治療するために、創傷外科の診断と治療方法を纏めた。黄飛鴻もこのような治療方法に精通していた

 創傷の治療は漢方医学の外科学の発展に促進作用を果たした。例えば、金創薬、続命丹、接骨膏等々の系列の医薬品がそのために発明された。一方、創傷医療は外科の保健方法として、武術家の創傷医療、健康保持のために大いに貢献した。例えば、練功した後、怪我した経絡の修復、疲労の解消のために薬浴と鍼灸を積極的に用いた。

 黄飛鴻の医術と武功は、福建省九蓮山南少林寺から由来したものであり、少林派の創傷治療術は世に知られており、浙江省紹興地区で広く伝わっている「三六九」創傷治療法は、「下方寺西里房傷科」から由来したもので、源はやはり少林派の僧侶が伝えたものである。少林派は医術と武功をともに研鑽し、鍼灸と按摩を併用している。

 武術と鍼灸に話が及ぶと、一代の名人であった黄石屏氏に触れないわけにはいかない。当時の袁世凱(1859年~1916年、中華民国大総統)が神経性頭痛を患っており、方々の医師に助けを求めたが、効果がなかった。鍼灸の真髄を得た黄石屏が往診して、鍼治療したところ頭痛はピタリと止まった。黄石屏は鍼灸家であった以外に、同時に大武術家でもあり、また気功師でもあった。武術と気功を鍼灸の中に結合させていたので、より良い効果を収めることができた。黄氏の祖父、父とも武術界の達人で、小さいときからすぐ祖父について武術の練習に励み、後に山東蓬莱県千仏寺の円覚大師に師事していた。

 黄歳松氏が著した『黄氏家伝鍼灸書』の記載によると、黄石屏の治療手技の特徴は少林拳法と気功に精通しなければならず、精、気、神という体の三宝を指先に集中させ、これによって不思議な効果が得られるという。どうして武術と気功を結びつけた鍼灸にこのような素晴らしい効果があるのだろうか? それは一般の鍼法に比べれば、振動と衝撃力がより強く、人体の経絡気血に作用して、より迅速に人体の潜在能力と免疫能力を引き出すことができると考えられる。

 漢方医学と武術は理論と実践などが多方面で密接な関係がある

 たとえば、武術家が武功を練習する時、精気を運ぶ道は、漢方医学の経絡体系である。大周天は十二正経を循行するものであり、小周天は任督二脈を循行するものである。武術でいう「三宝」の精、気、神は、漢方医学から由来した言葉であり、武術の動作名称も、多く漢方医学の用語を使っている。また、武術家のいう急所は、百会、天鼎、極泉、尺沢、太渊、章門、期門、腎兪、関元、委中、涌泉等などがすべて漢方医学の重要なツボである。

 それ以外に、武術家は用いている理論、例えば、陰陽五行、九宮八卦、子午流注、食養薬補、四気五味、昇降浮沈などが、漢方医学と切っても切れない関係がある。一方、漢方医学は病気を治す時に用いる点穴療法、導引療法、按摩療法、運動療法等々が武術の手技と密接な関係があるとも言える。

(翻訳編集・太源)

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