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(Getty Images)

本物のリンゴと偽物のリンゴ

著者:明月

【大紀元日本9月24日】

 古代ギリシャの哲学者ソクラテスはある日、弟子から「どのようにすれば、真理を守り通すことができるのか?」と質問された。ソクラテスは弟子たちを座らせて、カバンの中から1つのリンゴを取り出した。ソクラテスはそのリンゴを親指と中指ではさみ、演壇から降り、ゆっくりと弟子らの側を通りながら、「皆さん、まず気持ちを集中して、空気を吸ってみなさい」と話した。

 ソクラテスは全員の側を通ってから演壇に戻り、リンゴを高くあげて左右に振って、「リンゴの香りが分かった人はいるか?」と聞いた。

 弟子たちはお互いに確認するかのように顔を合わせながら、疑う表情で首をかしげた。暫く経って、一人の弟子が手を挙げて、「私はリンゴの香りが分かった」と答えた。

 ソクラテスはもう一度、「他に誰か、リンゴの香りがしたと感じた人は?」と聞いた。しかし、誰も声を出さなかった。

 ソクラテスは再び演壇を降り、手にリンゴを持って弟子たちの側をさらにゆっくりと通りながら、「皆さん、必ず全精神を集中して、空気中の匂いを嗅いでみなさい」と話した。演壇に戻ったソクラテスは、「皆さん、リンゴの香りがしたか?」と聞いた。今度は、大部分の弟子たちが手を挙げた。

 数分後、ソクラテスはリンゴを持って、3度目に弟子たちの側を通り、全員それぞれにリンゴを嗅がせた。再び演壇に戻ったソクラテスは弟子たちに「皆さん、リンゴの香りがしたか?」と聞いた。

 すると、殆ど全員が手を挙げた。最後の1人の弟子は皆に合わせて、慌てて手を挙げた。その慌てぶりで他の弟子たちの笑いを誘った。ソクラテスも笑いながら、「皆さん、何の香りがしたのか?」と聞いたら、全員が「リンゴの香りがした」と答えた。

 すると、笑みはソクラテスの顔から一瞬消えた。ソクラテスはゆっくりとリンゴを高くあげて、「非常に残念ながら、これは偽物のリンゴだ。何の香りもない」と言った。

 真理は人間の感覚または行為によって変わるものではなく、永遠の真理のままである。ソクラテスが持っていた偽物のリンゴは本当の香りは放たない。しかし、3回も真理を守り続けた1人の弟子は、やはり周りの人の影響で最後にはギブ・アップした。この話から、自分の言動は慎重にすべきであることと、現代社会の中で判断されている是非は、必ずしも真理ではないということを学ぶことができる。

(翻訳・豊山)


 (09/09/24 05:00)  





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